オペラ:ワーグナー《タンホイザー》プレミエ、フランクフルト・オペラ Oper Frankfurt 28.04.24
4月28日にはフランクフルト・オペラの新制作、ワーグナー《タンホイザー》のプレミエを観ました。今回はウィーン版でした(前回の制作はドレスデン版)。
フランクフルト・オペラは23年秋、〈最優秀オペラハウス〉に選ばれています。
1993年、インターナショナルなオペラ専門誌『オーパンヴェルト』がその年鑑で選ぶ賞ですが、これで6回目の受賞です。
公演前に開かれる説明会は用意した椅子が足りず、立っている人も大勢いました。
プログラム。
上記キャスティング表で、歌手名のあとに⚪︎がついているのはフランクフルト・オペラへのデビュー、*は役デビュー。
フランクフルト・オペラはスター歌手が直前に来て、ビデオでさっと演出を学んで、さっさと帰るという劇場ではありません。
オーケストラ・ピット。
劇場グッズを販売しています。
劇場インテンダントのレーベは熱狂的なサッカー・ファン、もちろん長谷部選手がいるアイントラハト・フランクフルトのファンです。それもあり、アイントラハト・フランクフルトのファン・マフラーにオペラのロゴを入れたマフラーが。
指揮は今シーズンから音楽総監督をつとめるトーマス・グッガイス。31歳です。
彼の前任は読売日本交響楽団のシェフのセバスティアン・ヴァイグレでした。
演出は今回フランクフルト・オペラにデビューしたマシュー・ワイルド。
この若い2人が素晴らしい仕事をしています。
フランクフルトは金融の中心地であり、観客にはどこかスノッブな雰囲気の漂う人が多く見受けられます。
また、ワーグナー作品のプレミエではだいたい大ブーイングの嵐になるのですが、カーテンコールでは熱狂的な拍手のみ。これにはインテンダントのレーベさん自らが驚いていました。
公演の中身については6月中旬発売の『音楽の友』誌の海外レポートに書く予定なので、ここで触れることができません。
とはいえ、誌面の都合で、たくさん書くこともできず、このジレンマにはいつも悩みます・・・
少しだけ言うと、歴史を背景に、文学的引用が縦横無尽、キリスト教への批判を真っ向から行い、そして過去と現在と未来をつなぐ、主張のはっきりした素晴らしい仕事だったと思います(といっても説明がないとわかりにくいですよね)。
ここでは下記に、劇場から提供された写真を掲載します。
演出コンセプトについては、日本では、ワーグナーの専門家と称する方たちは、音楽学よりドイツ文学を修めた方たちが多いと思いますので、写真を見ただけで、ピンとくる方たちが多いでしょう。
《タンホイザー》はとても難しく、演出上うまくいくことがとても少ないと思います。
私がこれまで観てきた経験では、2019年バイロイトでのクラッツァー演出が素晴らしかったのですが、ただ、この時はゲルギエフの指揮が大きく足を引っ張りました。
また、2008年エッセン・アールトムジークテアターのシュテファン・ショルテス指揮ノイエンフェルツ演出がきっぱりとした主張で面白かった(2人とも亡くなってしまいました)。
これからしばらく、フランクフルトでこのレベルのプロダクションを見ることができるのは嬉しいことです。
FOTO:(c)Kishi
以下は劇場提供の写真です。(c)Barbara Aumüller
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