音楽プロジェクト:シェーンベルク生誕150年《13日の金曜日》、Theater an der Wien 07.05.24
5月7日、ウィーンでシェーンべルク生誕150年記念の音楽プロジェクト《13日の金曜日》を観ました。
初日は4月26日、全6回公演、売り切れでした。私はやっと最終日の公演を観ることができました。
これはテアター・アン・デァ・ウィーンのプロジェクトで、ただし上演は劇場ではなく、Reaktor でした。
Reaktor (レアクトーァ)は1830年頃、ホイリゲを飲ませる酒場でした。
バシリカ式の空間を備えた建物はその後、変遷と修復を経て、2018年から芸術の場所として使われています。
今年はシェーンベルク生誕150年にちなんで、演出家のヨハネス・エラートと指揮者のミヒャエル・ボーダーが共同でシェーンベルクとシェーンベルクに因む作品を選択、構成してオペラ・プロジェクト《13日の金曜日》として新制作しました。
ボーダーは日本でもよく知られていると思います。
彼は、4月7日、急逝してしまいました。65歳でした。
公演指揮はアンナ・ズーションが引き受けました。
エラートは元々ヴァイオリニストです。ウィーン・フォルクスオーパーとウィーン・フィルのアカデミーでヴァイオリンを弾いていたのですが、オペラ演出家に転向しました。
プログラム。
下記が演奏された曲です。
さて、通常の劇場と違い、客席はありません。
客は3つの空間を移動しながら上演を観ます。約100分、休憩なしです。
1つ目の空間は「待合室」のような雰囲気で、ここで歌手のホフマンの語りで上演が始まりました。ホフマンは下の写真、右側に見える譜面台の場所に現れました。
2つ目の空間は映画館のようなつくりになっており、そこに入っていくと、合唱がところどころに陣取っていて、いきなり歌いだします。
3つ目の空間は最も大きく、そこには細長いステージが設られ、その短い一辺にオーケストラがいます。歌手とコーラスはこのステージと観客がいる同一平面上で歌い、演技をします。ここには壁際やステージ横に椅子があり、そこに座ることができました。
終演後、大きな拍手で讃えられるコーラスはアーノルト・シェーンベルク合唱団。
左奥にオーケストラが配されています。
オーケストラはウィーン・クランクフォールム。
左からクリスティーネ・シェーファー、マグダレーナ・アンナ・ホフマン、アンナ・ズーション、ヨハネス・エラート。
これはプログラムに掲載されていた『ミヒャエル・ボーダーへの手紙』。
写真は4月4日に撮影されました。これがボーダーの、リハーサルを撮った最後の写真となりました。
終演後に会ったエラートが、「ちょうど1か月前のこの日にミヒャエルが亡くなった・・・本当にショックだった」というので、「公演が大成功に終わったのも、彼が天国で見守っていてくれたおかげだと思う」と話しました。
本当に一寸先は闇、何があるかわかりません。
「今しかない」のです。
FOTO:(c)Kishi
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