オペラ:ミュンヘン・ゲルトナープラッツテアターのビゼー作曲《カルメン》新制作初日(10月18日)
ミュンヘン・ゲルトナープラッツテアターの今シーズン最初の新制作、《カルメン》のプレミエを観ました。
この日はバイエルン州文化大臣など多くの知名人、批評家が詰めかけていました。
プレミエは今でも社交の場であり、業界の人たちとの重要な情報交換の場でもあります。
プログラム。
初めて観るオペラとして何が良いか、尋ねられることがあります。
私は《カルメン》を勧めています。
まず誰でも聴いたことのある曲が揃っており、それが傑作ぞろいです。
ストーリーもわかりやすい(しかし実は作品成立した時代や人物像を勉強するとどんどん面白くなる)。
演出家バリー・コスキーは、「オペラ演出家にとって演出がとても難しい作品が3つある。それは《魔笛》、《ラ・ボエーム》、《カルメン》」と言っていました。
この三作はプロダクションも公演回数もとても多く、当然観た人の数も多いので、作品に対するイメージや思い、考えをそれぞれ抱いて劇場に来ます。
そして作品の分析もやりつくされた感があり、演出コンセプトも新しいことがやりにくい。しかしスタンダードな演出だとつまらなくなってしまいます。
これまでどれだけ《カルメン》のプロダクションを観てきたか・・・
あまりに多すぎてわからないのですが、その中で強い印象を持ったプロダクションは二つあります(たった二つです!)。
90年代、ケルン・オペラのジャン=ピエール・ポネル演出、これはケルンでの上演が終わった後、チューリヒ・オペラで上演していたので、ケルンで何度見たかわからないのに、チューリヒまで出かけたりしました。
今でも鮮烈に覚えているのは、まずカルメンの登場シーン。
みんなが待ち望んで見ている方向からは登場せず、その真逆の2階からまず花びらを落とす。これが音楽とピッタリあっているし、そして、この花びらは当然〈花の歌〉の伏線です。
みんながその花びらに気がつき、気を取られている間に、まったく違う方向から現れて〈ハバネラ〉を歌い始める。
もうこれだけでカルメン像が提示されるわけです。
そして最後、ホセに殺される直前、ホセからもらった指輪を歯で挟んで抜き取り、ホセに向かって吐きつける(多くの演出では指で挟んで抜き取り、投げつけるか、捨てるんですが)。
もうひとつは2016年6月プレミエだったフランクフルト・オペラの《カルメン》(コスキー演出)。これはロンドン、コヴェントガーデンでもかかりました。
ポネル演出はもう観ることができないと思いますが、コスキー演出はまだ上演されると思うので、ぜひどうぞ!
上演が終わって。中央は同劇場の音楽総監督ルベン・ドゥブロフスキィ。
FOTO:(c)Kishi
以下、劇場提供の写真です。© Markus Tordik
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