和室を洋室風に変えてみた
私の住む家は、築40年ほどの義父の建てた家。夫と私が出会うより以前、その前にお付き合いをしていた女性との結婚を想定して設計された二世帯住宅で、家の随所に義母と元カノの希望が詰まっていた。
こんな風に言うと、『何でそんなところに住めるの?』と言う人がいる。が、捻くれた私は、『おうちまで建てたのに、逃げられちゃったんだー。結婚前に両親と設計しててこの人たちのサイコパスに気付いちゃったんだろうな…』と思って、心の中で笑っている。そんな自分が、自分でもちょっと気味が悪い。
それはさておき、今回は、20年間長女が耐え続けて、漸く和室から洋室(っぽい)へとDIYする全容を披露しようと思っている。
本当は、そろそろリフォーム時期なので、夫に言ってみたのですが却下され、長女は自己資金で自分の部屋だけを変えてしまおうと言う算段だ。用意周到な長女は、入念な下調べをして、最低予算で計画を立てた。
最初に取り掛かったのは壁と柱。これがどうしても昭和の和室感を漂わせる。どれだけ可愛いカーテンやカーペットで誤魔化そうとも、ベッドや洒落た家具を置こうとも、鶯色のザラッとした壁面と柱や襖によって、和室とはっきり判ってしまう。
壁の修繕は、壁紙を剥がして張り替える方法と、壁紙のまま塗装する方法があるが、今回長女の選択は後者。ザラッと感も鶯色ではなく白であれば良しということだそう。手順としてはこうだ。
①壁の埃と汚れを落とす
②パテを使って、穴などを修復する
③下地材を塗る
④ペンキを塗る
ざっと言えばこんな感じの流れになるが、①では、クイックルハンディの後、中性洗剤を使うため、水拭きでの拭き上げ作業で洗剤残りがあってはならない。②でしっかり平らにしないと壁に欠けができてしまう。③の前にはマスキングテープと畳保護のビニールシートを隙間なく張り付けなければならない。更に下地を丁寧に塗らないと仕上げのペンキがデコボコしてしまう。④均一に塗らなければ半端にムラのある壁になる。結構気の遠くなる作業だ。今回、鶯色の壁に白色を重ね塗りしているため、一度塗りでは薄らムラができてしまうため、重ね塗りをする。ペンキの残り具合で、二度塗りが三度塗りか決める予定。
休日の朝8時から、次女と私は借り出されて作業を始めた。長女は、その前7時から既に始めている。
壁の埃は、掃除機で吸い取ってからクイックルハンディで綺麗さっぱり埃を落としていた。
バケツに水と中性洗剤を混ぜて、硬く絞った布で拭き、そのあと水だけで絞った布で拭き。仕上げに乾いた布で乾拭きした。
長いこと箪笥を置き続けた箇所は、多少色が変わっているし、ずっと絵を飾っていた部分は埃があった。テレビの後ろは、静電気の発生か多少黒ずんでいた。他にも、幼少期に誰かがした落書きが隠れていたり、何かをぶつけた後がくっきりと残っていたり。何かと子供たちとの歴史を感じながらの作業となった。
続いて、パテを用意。段ボールをB5くらいの大きさに切り、親指大の穴をあける。左利きの長女は、右手の親指をその穴に通し、抑えつけた段ボールにパテを乗せる。まるでパレット片手に絵を描くように左手にはコテを持ち、小刻みにリズムを取りながら壁の穴と傷を埋めていく。こうすることで、完成時に凹凸の無い綺麗な壁になる。
次の工程に移る前に、マスキングテープを張る。今回、柱など木の部分にもニスを塗るため、この時点では、コンセントやスイッチ、畳のヘリに1.5ミリ幅のものを、ヘリから畳には保護ビニールの付いたものを使用。畳の橋から端まで完全に覆った。
マスキング作業終了のころパテが乾き、下地材を塗る工程へ。50倍に薄めたためほぼ水状の下地剤をまんべんなく塗り付ける。水状なので刷毛を運ぶたびに周囲に飛び散ってしまうので、この作業が最も難航した。しかし、難航したおかげで、最後の壁を塗り終えた頃には、最初の方は乾いている。念のため、休憩をして暫く放置。どうでもいい情報だけれど、サーティーワンでアイス食べちゃったくらいのんびり休憩をした。
下地材の二度めは、原液のまま行なう。刷毛やローラーにたっぷりつけすぎてしまうと、液だれの筋ができるので要注意。同じ個所を何度も塗ってしまうのも、そこだけこんもりしてしまうのでNG。ゆっくり時間をかけすぎも半端に固まってしまうからダメ。これらの失敗は、仕上がりに大きく差を出すことになるので気を付けて。
下地材を塗り切ったら、夕食のためにダイニングへGO。食事をしながら、下下地材が乾くのを待つことに。
満腹になったところで、いよいよペンキ…とはいかず、先に木部分にニスを塗る。不器用な長女には、部分的に細めの箇所は上手く塗れなくて、全面的に次女の仕事になった。ニスを塗り終えてもまだかなりの量が残っていたため、次女は勝手にベランダに置いた木製の椅子にもニス。あとで気付いた長女からの絶賛を浴びて、次女満足気。
ニスを乾かして、いよいよペンキ塗り。大雑把な長女は、ローラーを使って壁全体を塗り、次女が高いところの壁を刷毛で、私は長女の後追いで、ローラーで塗れていない端っこを小さ目な刷毛で塗っていく。塗り斑は、至近距離だと見えにくいので、三人それぞれがお互いを遠目でチェック。結局、三度塗りして完成。
元の壁紙のザラッとした質感を残した真っ白い壁に、ニス塗りのこげ茶色が、何とも大正チックで、おしゃれな仕上がり。と言うことで、畳の上から、木製カーペットを敷いた。柱の出っ張りもカッターを使って、丁寧にカットして、ピッタリサイズへ。ついでに汚れていた襖も張り替えようとp言うことだけど、襖の張替えはなかなか難しいので、壁の質感に寄せたシールタイプの真っ白を張ってみた。
もう完全にどこから見ても、立派な洋室が完成。女子三人で2週間かけて、およそ4万円でのなんちゃってリフォームが終了した。