小学生男子 絵本から児童書までの長い道のり
絵本の読み聞かせを続けていれば、本を読む子に自然と育ってくれる・・・とは限らないのか〜!?(ぺこぱ風)と気づいた小1の春から3年間。
サッカーと虫捕りと給食を愛するやんちゃ男子のムスコくんに、何とか人並みに本を読む大人に育ってもらいたい、という地道な努力のお話です。
☆やんちゃ男子がトットちゃんに出会えた日
先日、「窓ぎわのトットちゃん」を読んだ小4のムスコくんが、「この本、今まで読んだ本の中で、いちばんおもしろいっ!」と叫んでいました。
おぉ〜。
息子の読書ライフが、ようやくここまでの域に達したか・・・。
ハハにとってはかなり感慨深い瞬間でした。
というのも、我が家の子育てにおけるハハの役割は、保育園時代から続く絵本の読み聞かせ。
(詳細はこちら→)https://note.com/chihirototoro38/n/n9d0017e74e00
せっかくだし、本好きな子に育ってほしいなあ、と下心があったわけですが、「絵本から児童書へのステップアップって、どうすればいいの?」という素朴な疑問がずっとありました。
ここ数年、ワタシなりに地味に試行錯誤してきたからです。
ワタシ自身の小学生時代は、絵本→おばけのアッチ→ちいさいモモちゃん→クレヨン王国シリーズ・・・という流れでだんだんと本の世界が広がっていった記憶があるのですが、何しろテキは男の子。
恐竜とサッカーとカブトムシで頭がいっぱいのヤツに、ハハの愛読書をオススメした挙句に「つまんない」と言われるのは絶対に避けたいし、どうしたものか。
ちなみに、ワタシの子ども時代のラインナップのひとつ「はれときどきブタ」は、ムスコくんにヒットしました(読み返しましたが、コレは名作ですね)。
そのムスコくんが。
とうとう一般書籍を読めるようになったか・・・。
すごく感慨深かったので、経緯をまとめてみることにしました。
同じ疑問を持っている皆さんもいるかもしれないし。
ちょっと長くなりますが、おつきあいいただけたら嬉しいです。
☆サッカーと恐竜が好きなムスコくん
ちなみに、我が家のムスコくんがどういう子か、ご参考までに説明しておきます。
土・日曜日、放課後はサッカー三昧のため、春夏秋冬いつも真っ黒。
好きな科目は図工と理科。
保育園時代は新幹線、小学生の今は恐竜にハマっています。
クラスでいちばんのチビくんで、見た目も性格もコザルみたいな子です。
学校のクラス担任の先生との個人面談では、ほぼ毎年、「給食をよく食べます」「生き物係で、メダカの水槽掃除をがんばっています」という2点を評価される、という状況。
ほかにホメるところは・・・残念ながら、そんなにないようです。
つまり、元気でイイ子ですが、学業優秀というキャラではなさそう。
ま、そんな感じの子です。
☆ゾロリ先生のトリコになる〜小1
小学校に入学して間もなく、本屋さんでムスコくんが「これ読みたい」と言って選んだのが、「かいけつゾロリ」シリーズでした。
どうやら学童保育で大人気らしく、すでに何冊か読んだとのこと。
絵本以外の本をムスコくんに買ったのは初めてでした。
とりあえず寝る前に絵本と同じノリで数ページずつ読み進めましたが、次第に勝手に読むようになりました。
かいけつゾロリ先生は、オナラが登場しすぎるとの批判もあるようですが、基本的には愛と勇気の冒険モノです。
絵と文章、そしてマンガページのバランスが絶妙で、はじめて読んだワタシは「すごいな、これ」とびっくりしました。
子ども達に人気なのは、超納得。いわゆる児童書よりも、だいぶマンガ寄りのイメージです。
しかし、この絶妙さこそが、なかなか悩ましいポイント。読みやすさバツグンゆえに、他の本に手が伸びない、という現象が起きます。
小1〜2は、「ゾロリ先生ばっかり読んでる」という時期がしばらく続きました。
さすが人気シリーズ、何冊買っても続きがあり、まさに沼です。
同じ時期に、「ほねほねザウルス」シリーズにもハマりました。
これも、絵と文章とマンガのリミックススタイルです。
☆「ざんねんないきもの」と最強生物の襲来〜小2〜3
そしてやって来た「ざんねんないきもの事典」ブーム。まんまと我が家も乗りました。
言うまでもなく名著です。絵も文章もユーモラスで可愛い!
しかし、これを一般書籍としてカウントしていいものかどうか・・・。
時期を同じくして、ムスコくんは「最強生物」にもハマりました。
ポケモン図鑑のノリの書籍がたくさん出版されていて、低学年男子のハートをがっちり押さえた内容・構成になっています。
そんなこんなで、読み物というよりも、イラストメインの図鑑みたいな感じの本が、どどーんと増えました。
そうねえ・・・。
興味があるものは、もちろん読めばいいけど。
でもねえ、とハハは思います。コマ切れの豆知識も楽しいけど、やっぱり読書の醍醐味は、主人公の気持ちの動きとか、思いも寄らないストーリー展開とかでは?と。
小学校生活にも慣れてきた頃だし、そろそろ「フツーの本」も読んでくれないかな、とハハとしては焦ってきた時期でした。
☆「字だけの本」を読み聞かせてみる〜小2〜3
さて、ムスコくんが小2の夏に、我が家にはムスメが生まれました。
ムスコくんは、初めて「兄」というポジションになりました。
一人っ子陥落は、彼にとってそこそこ試練だったようで、精神的にアップダウンした時期でした。
どうしてもムスメに手が掛かる時期の中、寝る前の読み聞かせの時間は、ハハ&ムスコくんのラブラブタイムとして、それまで以上に重要な意味を持つことになっていました。
(詳しくはこちらです→)https://note.com/chihirototoro38/n/n8c4906616bd2
しかし、もう絵本っていう年齢じゃないし、どうしたものか。
で、ムスコくんに読んで欲しい「フツーの本」をハハがセレクトし、毎晩数ページずつ読む、という作戦にしました。
はれときどきブタ、おおどろぼうホッツェンプロッツ、エルマーとりゅう、西遊記(意外と難しくて、途中で挫折)、チョコレート戦争、エーミールと探偵たち。
ウケが良かったのは(ムスコくんが自分で読み返すのですぐわかります)、はれときどきブタ、おおどろぼうホッツェンプロッツ、チョコレート戦争といったところでしょうか。
男の子の「フツーの本」選びって、けっこう難しいなあ、と思いました。
「ちいさいモモちゃん」みたいな、優しくも本気な児童文学独特の世界を味わってほしいなあ、と願うのですが、ムスコくん興味なさそうだったので諦めました。
同じケストナーでも、エーミールよりもふたりのロッテのほうが絶対に面白い気がするんですよね。
男が女が、と区別する気持ちはないのですが、ハハとムスコでは、やはり好みが違うもんだな、と思いました。
☆ドラえもん&キャプ翼のノベライズ小説で活路?〜小3
ムスコくんのメンタルもだいぶ落ち着いた、小3の後半戦。
ハハとしても、読んであげたい「フツーの本」のネタが尽き、読み聞かせは次第にフェイドアウトしていきました。
最強生物モノが5冊を越えたあたりで、「もうハハは、この手の本は買わない」と宣言しました。お年玉やお小遣いで、ムスコくんが自分で買うのはオッケーだけど、と。
字が中心の本なら買ってあげるよ、と本屋で言い渡したところ、ムスコくんが選んできたのは「スタンド・バイ・ミー ドラえもん2」と「キャプテン翼〜中学生編」のノベライズ(小説バージョン)でした。
なるほど、ノベライズか。
しかし大丈夫かな?と不安がよぎります。
やや字は大きいですが、どちらもなかなかの長編。大人の読む新書ぐらいのボリューム感です。
そしてハハの経験上、ノベライズがマンガやアニメの原作を越えることはないのだぞ・・・と思ったのですが、「字が中心の本ならよろしい」と宣言した以上、買うしかありません。
結果、ハハの杞憂でした。
ムスコくんは、帰るなりガンガンと「スタンド・バイ・ミー ドラえもん2」を読み進めていました。
映画では割愛された細かい設定がノベライズ版には書いてあるらしく、読み応えがあるとのこと。(たとえば、出来杉くんがのび太の結婚式に欠席したのは、宇宙ステーションへ出張だったから・・・とか)
どれくらい頭に入っているのか謎なのですが、本人いわく「面白かった」そうです。
ノベライズものは本屋さんにいっぱいあります。
ドラえもんはもちろん、ディズニー、名探偵コナン、ポケモンも。子ども向けの映画はだいたいノベライズも出ているみたい。
このノベライズブームは、小4の現在も絶賛続行中。
我が家では名探偵コナンくんのシリーズをメルカリさんでまとめ買いつつ、何とかしのいでいます。
☆そして、「窓ぎわのトットちゃん」〜小4
そして小4の春。
Z会の通信教材で、国語の読解問題に「窓ぎわのトットちゃん」の一節が登場していました。
トットちゃんがトモエ学園の電車の教室に初めて出会うシーンです。
電車好きのムスコくんが、このシーンに食いつきました。
「それ、本当にあった話だよ」とハハが振ってみると、「まじで!?」と上々の反応。「面白い本だよ。買ってあげようか?」と言うと、「読む!買って!」とノってきました。
青い鳥文庫のふりがな付きバージョンを買って帰ると、「何コレ超面白い!」と一気読みしていました。戦前の日本の話ですが、わからない言葉は「チンドン屋さん」くらいだったとのこと。
ハハも久しぶりに読みましたが、わかりやすくて、ユニークで、一生懸命なトットちゃんが可愛くて、本当に面白かったです。
トットちゃん、すごいなあ。
ちなみに、Z会国語教材からの「その本、買ってあげようか?」作戦で、星新一の「きまぐれロボット」もムスコくんのお気に入りとなったのでした。
ありがとう、Z会。マイペースながら続けていて良かったなあ。
☆親の役割、ひとつ終了?〜振り返って思うこと
もはやカバーを紛失するほど、読み込まれた「窓ぎわのトットちゃん」と「きまぐれロボット」を見て、ハハとして「これで、親としての役割は、ひとつ終了だな」なんて思いました。
ピアノで言えば、「自分で楽譜を読んで、両手でそれなりに弾けるレベル」まで到達した、という感じでしょうか。
ここから先は、本よりも面白いエンターテインメントがあれば、そっちに夢中になるだろうし、それならそれでもよし。
ただ、読みたい本があったときには、臆せず読破できる力があってほしい。
その基礎的な力を付けるところまでが、なんとなく自分の親としての役割である気がしていたので、良かったなあ、と思いました。
もちろん、ハハとしては「本が好き」→「国語の成績良し」→「読解力が活かされて他の教科の成績も向上」という、偏差値アップ的な効果も望んではいるのですが・・・。その辺りの効果は不明です。
ついでに言うと、漢字力も、以前よりはマシになりましたが、イマイチです。
でも、まあ十分さ。
ムスコくんが生まれてからもうすぐ10年。試行錯誤が実ってよかったな、と思うことにして、ひとりで乾杯します。