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保育士の遊びのタネ〜素話・すばなし

騒がしく忙しくも楽しい1日を終えて、我が子はフカフカのお布団に入ります。
我が子が目がキラキラさせてこちらを見ているのが分かります。
可愛らしい口からは止めどなく言葉が溢れています。
お布団に入っても我が子に眠る気配が感じられません。

この子がスヤスヤ寝入ってくれれば、残された家事を終わらせられるのに……
ゆっくりできるのに……

そう思うとだんだん眉根が寄ってきます。
もやもやしてイライラしてきます。
明るくすると余計に目が覚めてしまうと思うと、絵本も読めません。
さて、どうしよう。
こんな時こそ「素話」です。

■素話って?

物語を語り手の言葉で聞かせる、それが「素話」です。
本が貴重だった時代、囲炉裏を囲んでおじいさんやおばあさんが子ども達に昔話を聴かせている、そんな情景をイメージしてください。
これこそまさに「素話」です。
これは保育の現場でも生かされる技術の一つです。

■可愛い挿絵もないのに楽しいの?

本の挿絵は子ども達の興味を惹くのに大事な要素の一つですね。
でも子どもの興味を刺激しているのは挿絵だけではありません。
言葉遣い、話し手の声のトーンや話す速さ、表情、それらを総合して全身を耳にして聴いているのです。
そこから「挿絵」がなくなるとどうなるのか。
子どもは話し手から全てを読み取ろうとします。
主に言葉の情報で想像してお話を聴くことになります。
幼い子どもに集中して聴くことは難しいですが、特に想像の花開く4歳児から5歳児、その頃になるとそれが楽しめるようになるのです。
音の世界から言葉の世界への入り口に素話があるのです。
子ども達にとっては夢の世界への入り口のようですね。

■物語を覚えないといけないの?

さて、いざ聞かせるとなると「物語」が必要です。
ちゃんとしたものを聞かせたいし、間違って覚えたらどうしよう。
真面目に考えると不安もあります。
でも大丈夫。
主人公は我が子でいいのです。

■主役は我が子?

そう。
我が子です。
例えば、桃太郎の物語に我が子を当てはめてみる。
我が子が「花ちゃん」だとすると、
『おじいさんとおばあさんは「花ちゃん」と名付けました』
となるわけです。
ここで花ちゃんはニヤッとするわけです。
桃太郎と思って聞いていたら、主人公はなんと私だ!

花ちゃんは鬼退治をして宝物やさらわれた人たちを連れておじいさん、おばあさんの元へ帰るのでした。
めでたし、めでたし。

ああ良かった。これで花ちゃんは安心していい夢が見られるかもしれません。
ここで語られる物語は、我が子と自分の間に語られる唯一の物語になるのです。

■気負わず、思いつくままに

童話には「?」がつきものです。
完成された物語でも登場人物、出来事の全てを語りません。
それが想像を生むのです。
だから寝る時の読み聞かせも「?」にあふれていいのです。

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■新しいお楽しみ

素話に限らず、本を片手に「読み聞かせ」をするという方法もあります。
文字ばかりのお話でも、字が読めない子どもも耳から楽しむことができます。
小学校低学年向けの童話なんかどうでしょう。
我が子との時間を読み聞かせの時間にするのも、遊びのアイディアの一つです。
しばし言葉と想像の世界に浸るのはどうですか?

ー読み聞かせのおすすめ

・ロボット・カミイ〜古田足日・堀内誠一
・びゅんびゅんごまがまわったら〜宮川ひろ・林明子
・ドリトル先生アフリカ行き〜ヒュー・ロフティング・井伏鱒二
・モチモチの木〜斉藤隆介・滝平二郎

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