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#6.アナウンサーたちはどうしてアナウンサーになったのか。


「きっかけ。なんてのは大抵どうってことないものなんだろうけども、まさしくこれがきっかけになったんだろうな。」


大好きなアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の第1話で、主人公キョンが言うセリフだ。

そう、最初はなんてことなかったきっかけが、人生を大きく左右することがある。
今日のお話は、わたしの興味から始まった分析結果のお話。
少しでも誰かの人生のヒントになったら良いけれど。


さて本題へ。

自分のことは棚に上げて書くのだけど、
わたしはずっと気になっていた。
一緒に働いてる同僚、全国の放送局のアナウンサー、キー局で人気のあの人は、なぜ、アナウンサーになったのだろう。
いつ、どんなきかっけでアナウンサーという職種を目指したのだろうか。


なぜならば。
アナウンサーは、テレビやラジオに出るのが仕事の大部分を占める。
自分の顔と名前をさらけ出して(いや、さらけ出すというと少し違うかな、はっきりと出して)仕事をする。
タレントではないけど出役ではある、というなんとも不思議な立ち位置で、非常に目立つ仕事であることに変わりはない。
こういう少し特殊な、ドキドキする職種を自ら選択することは、大きなエネルギーが必要なのではなかろうか。

一体どんな出来事が彼らを突き動かしたのだろう、とそんなことをぼんやり考えながら日々過ごしていた。

そんなわたしにとって、ありがたいことに同僚に話を聞ける機会は何度か訪れた。

例えば飲み会の席。
「なぜアナウンサーになったのか」という話の流れには割となるし、むしろ新人アナの歓迎会ではド定番の話題でもある。

けれど、こういったライトな場では、気恥ずかしさもあってか、なかなか本音で語る雰囲気にはならなかった。
確かに、自分の中の大切な思いが大きければ大きいほど、場所と人と空間を吟味し、その空気感に合わせた話の仕方をする人は多い。
皆が答えてくれたシンプルな回答ではなくて、わたしが聞きたいのは、もっと本質的な部分というか、どんな衝撃が走ったかだった。


そんな思いもあって、今度は直接聞いてみることに。

誰かと2人きりになったタイミングで、「〇〇さんはなんでアナウンサーになろうと思ったんですか?」とド直球の質問をぶつける。
面と向かって質問すると、皆うまくかわしたりせずにきちんと話してくれた。

が、しかし。
アナウンサーになるまでの紆余曲折を細かく話してくれた結果、かなりボリュームのある話になり、せっかく聞いたエピソードを忘れてしまうことも…

そりゃそうだ。
中継の原稿を覚えるのだって涙が出るほど必死な私が、皆の素晴らしいエピソードを、一言一句、しかも長い時間覚えていられるはずもない。(しょぼん)

記憶が新鮮なうちにすぐに記録するようにしたものの、他のことをしてしまうとどうも思い出せなくなる。


悶々とする中、わたしはひとり考えていた。

「皆の本音を探り出せる公式的な場、かつ、本人の目の前で堂々とメモできる場が欲しい。」と。

そう憂いていたわたしに、なんともずる賢いアイディアが降ってきたのだ。

〝そうだ、これをそのまま番組のコーナー化してしまえ〟と。


…なんと。
これを番組の私物化、というのか。笑

でもきっとわたしのように、アナウンサーの人生について気になっている人は多いのでは?と、根拠のない謎の自信に満ち溢れ、堂々と実行することにしたのだ。


お昼のラジオ番組で、アナウンサーの人柄や人生を紹介するコーナーを設け、部員を1人ずつ紹介していく。
本人に取材し、どんなきっかけでアナウンサーになったかや今ハマっているものなどを聞き、それをわたしが伝えた。
これだと聞きたいことが堂々と聞けるしメモもできるし、さらには同僚にじっくり取材するというのはなかなかない経験なので、個人的にはとても楽しい時間になったのを覚えている。


ということで、
無事に本音を聞けた仲間だけでなく、全国の同期など他のアナウンサーの回答結果も含めて、わたしが考えるアナウンサーたちの動機分析を書いていく。


アナウンサーはなぜアナウンサーになったのか。
果たしてそこに何があったのか。


その答えがこちら。

①元々違う職種目指していたけど途中でアナウンサーに気付くパターン

学校の先生とか、芸人とか、将来のなりたい職業が元々別のもので、自分の夢はなんとなく決まっていたけれど、たまたまイベントでMCをしたら面白かったとか、たまたまテレビでアナウンサーの仕事ぶりを見て感動した、などで突然アナウンサーという職種があることに気が付いて、急に路線変更するパターン。
なんだかこれ、長年付き合っていた恋人とは結婚しないけど次に付き合った人とスピード結婚する、とかいうエピソードに似ている。自分にとっても突然やってきた出会いの衝撃が大きすぎて、それが莫大なエネルギーに変換されて突き進むパターンですね。


②間接的に好きなものから派生したパターン

直接関わるわけではないけど、間接的でも好きなものを仕事にするパターン。スポーツが好きなんだけど、プロ選手にはなれないから、そうだ実況で関わろう、とか、声優が好きだから同じく声で表現する職種でアナウンサーがあるなぁ、とか。好きの延長線上にアナウンサーという職種があったパターン。
夢を叶えようと頑張る学生さんに良く伝えているけど、結局どこかで好き同士が繋がることがあるよと。今目指していることと違う未来になったとしても、いつかどこか繋がるかもしれないから好きを無駄にしないでね、という話。


③第三者からの影響パターン

家族から、恋人から、恩師からふと言われたあの一言を思い出す。「きみ、アナウンサーに向いてそうだね」「音読がうまいね」「声が素敵」って突然褒められたがために、その言葉が耳に残って離れなかった。「もしかして、わたし、、、」と、その気になるパターン。もしくは自分の好きな人が「アナウンサーっていう職業良くない?」と言っているのを聞いて動いたり。そういえば加藤綾子アナウンサーも、当時の恋人に言われたとかでこのパターン。
何気なく発した言葉が、誰かの運命を左右するかもしれない。そう思うと言葉のパワーって改めてすごいものだなあ。


④具体的に憧れ像がいるパターン

これはもうすごく羨ましいパターン。
気がついたら、あの人いいなって思っていた。幼い頃から毎朝見ていた情報番組、深夜にこっそり聞いていたラジオなど、自分の日常生活に、いつの間にか入り込んじゃうほどアナウンサーの存在が大きかった。その圧倒的な存在感に自然と心惹かれていくパターン。
だから、「アナウンサーになりたい」というより、「あの人いいな」って思ったその人の職種が、たまたまアナウンサーだった、という結果論に近いような気もする。やはり、憧れは強し。(←前回記事参照)


以上、大きく分けてこの4パターンかなと。
この4つのうち、複数併用パターンもみられた。
自分の好きなものがあって、その好きなものを活かして〇〇アナがこんなことをしていた、という②×④とか、
誰かに褒められたあとに、よく考えたらわたし〇〇好きだな、という③×②とか。


なるほど。
わたしが気になっていた、アナウンサーたちのアナウンサーを目指したきっかけ。
確かに回答としてはこの4パターンかもしれないけど、それ以上に、急に路線変更したり、ハッと気付いたり、その気になったりと、そんなすごい日が突然やってくるのか、と。

それはつまり、彼らにどんな衝撃が走ったかというより、日常生活の中に生まれた“気付きの力”の作用が大きく関わっている気がする。
ということは、誰もが明日、アナウンサーを目指す気になってもおかしくないのだな。それ相応の何かに気付いたのであれば。



「きっかけ。なんてのは大抵どうってことないものなんだろうけども、まさしくこれがきっかけになったんだろうな。」


冒頭のこのセリフが、なんだか現実味を帯びて聞こえてくる。

人の人生を聞くのはとても面白い。
自分には感じられない体験や感情がそこに潜んでいて、自分の人生のヒントに繋がるからだ。

そうだ、明日、何か起こるかもしれない。気付けるかもしれない。
こう思えるだけで、皆の素敵な話を聞いた甲斐があるというものだ。

このnoteも、誰かのヒントになりますように。
さ、明日はわくわくして起きようっと。

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