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音訳者養成講座のこと

今日は、音訳者養成講座で学んだことをお話ししたいと思います。
音訳」とは、視覚に障害のある方のために、文字(墨字)で書かれている書籍などを「音声」にして伝える活動です。

私は、今、おおごだ法律事務所で大胡田弁護士の秘書を務めています。
大胡田弁護士は、全盲で司法試験に合格した日本で3人目の弁護士です。
大胡田弁護士の秘書になった最初の頃、私は、裁判の書面やあらゆる情報をうまく伝えることができませんでした。
毎日必死に取り組んでいましたが、全然うまくいかず行き詰っていたとき、
母が昔話してくれたことを思い出しました。
「お祖母さんはね、朗読ボランティアをやっていたのよ。他の方は、今流行りの小説を読んでいたけど、お祖母さんは『誤った裁判』という本を読んでいたの。法律に興味があったのね。」という話です。
私は、祖母が朗読のボランティアをやっていたことに思いを寄せました。
そして、自分もできる!と言い聞かせて、一から勉強してみようと思いました。

その頃(6年前)は、音訳者養成講座は昼間にしかやっていなかったのですが、偶然にも、夜間に開催している講座を見つけて、すぐに参加しました。

音訳者養成講座では、次のようなことを学びました。
〇発声練習
〇音訳の発声の留意点
〇音訳の注意点
〇アクセント、鼻濁音、無声音、連音
〇共通語を意識して読む
〇調査と校正
〇音訳の処理(注の入れ方、難読単語の読み)
〇グラフ・図・写真の読み方
〇対面朗読実習
〇著作権法の理解
〇DAISY(デイジー)と音訳機器について
〇音訳図書をつくる(音訳図書の決まりごと)
〇録音実習

ある日のグループワークでは、2人1組でペアになり、1人が目をつぶり、もう1人が紙に書いてある図を言葉で説明します。そして、説明を聞いた目をつぶっていた人が実際に図を描いてみるという実習がありました。
図や写真の説明は、特に難しいと思っていたので、とても勉強になりました。

法律事務所では、実際には、言葉だけでなく、例えば、裁判の証拠写真をお伝えする時は、こんな風に右手で相手の肩をつかんでいますよと、大胡田弁護士の体を使って写真の人物の動きを再現してみたりもします。

音訳者養成講座は、「読む」ことを中心に、音訳者の活動について、基礎から身につけることができたので、受講して本当に良かったと思っています。

「音訳」は、聞き手が情報を得るために利用するものなので、内容が正しく伝わるように、書いてあることを書いてある通りに読まなければなりません。
そのため、解釈で原本を読み替えたり、余分なことを付け加えたりすることはできません。
正しく情報を伝えること、正しく伝わること、が大切になります。
正しく伝えられるように、工夫したり、試行錯誤して、これからも取り組んでいきたいと思います。

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