夜賀千速

十五さい

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しにそこねた

校舎四階の自習室、見上げた空が怖いくらいに青かった、ふらついたホームで女子高生が自撮りをしていた、包丁を持った夜にお父さんの手術が成功した、ODだって結局中途半端で終わった、僕は死ねなかった、僕は死にそこねた、どうしたら誰も傷つけずに死ねる、どうやったら綺麗に消えることができる? 思い出なんて作らなければよかった、誰とも話さずひとりで死ねばよかった、小説なんて書かなければよかった、ネットなんて始めなければよかった、大切な人になんか出会わなければよかった、中三の冬に死ねなかった

    • 知らない貴方の言葉を見ていた

      朝がやってくるのが怖いから瞳を閉じずに空を見た月は少し欠けていて星は見えなかった 歩いた夜道はただ冷たくて、愛することを忘れていたことに気がついた 何もない私は真夜中にこんなことを考えている 空気は張り詰めていて冬のような気温だった ずっとずっと貴方のことを考えている  ろくに話したこともない貴方のことを  自分のことが気持ち悪くなって、石ころを蹴ったら電柱に当たって跳ね返ってきた 意味もなく外にいるのはやめて大人しく家に帰って毛布にくるまってみただけど何もあったかくなかっ

      • 罪咎

        私のいない教室はいつも通りでしたか放課後の喧騒もくだらない会話も 購買のフラペチーノも化学の先生の愚痴もいつもと変わらない平坦な日常でしたか古典の小テストも学校から歩いて15分の海岸もただそこにあるだけでしたか 10分遅れで来る電車も少し青みがかった夕焼けも吊り革が揺れる帰り道も目が痛くて読めない文庫本も家に帰った時の張り裂けそうな胸の痛みも朝が来てしまった絶望感もそしてそのまま続く次の日の学校も今はログアウトしていてもう一回手に入れたいけど明日から手に入れられるけど弱い私

        • 白痴

          あのね、わたし、今とても辛いんだ。孤独なの、どうしたらいいかな。理由もわからないし、頭も痛いし、課題も終わってないし、明日の小テストの勉強だって何もしてない。それなのにどうしてか、3%しか充電のない学校用のiPadでこんな文章を打ってる、ピコンさんのファーレンを大音量で溺れるように聴いている、頭痛薬を飲まずに軽い自傷を繰り返している。 よくわからないの、わからないけど辛いの、どうして、どうしてかな。ごめんね、本当は大切な貴方に、こんな文章を読ませる気なんてなかった。画面の向

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        しにそこねた

          夏は幻、春は永

          夏を想う。八月を想う。 夏が過ぎ、秋が来た。振り返れば夏、本当に自分がそこで生きていたのかと不思議になる。それほどまでに、私は夏を神格化してしまっているらしい。春も夏も秋も冬も、生きるということ自体、息を吸って生活するということは変わらないのに。それすらも信じられなくなるくらい、私は夏を盲目に愛している。 普通に生きていたはずの夏、その期間の記憶や想い出が神隠しにあっているような、そんな気がする。前の記事にも書いた通り、私が本当に好きなのは概念的な夏、イデアとしての夏だ。

          夏は幻、春は永

          すーぱーむーん

          十月だ、嘘みたいに夏らしい十月だ、あたしは無性に消えたくなって、それで外に飛び出した。ただそこに月があった、霧で覆われた月があった、雲間から漏れた光が地上を照らしていた。月光で砂利の夜道が歩けた、裸足のまま履いたスニーカーが冷たくて痛かった、ポケットの中の頭痛薬をお守りのように握りしめていた。真っ白な服を着て歩いた真夜中はあたしだけの愛だった、何にも変換されることのない愛だった。誰にも奪われない、あたしの中であたしだけが知っている、照らしてくれる月のような愛だった。でもそんな

          すーぱーむーん

          余命があれば愛されるらしい

          退院してきた父にお前は俺が死んでもいいと思ってんだろって叫ばれたから自分も頭痛で死にそうだし何も考えられないって言った、そしたら俺の病状を理解してないのはお前だけだし、俺はもうすぐ死ぬのにそんな痛みごときで何言ってんだって笑われた。言っちゃいけないのはわかってるんだけどさぁ、余命があればどんな人間にだって生の価値が生まれるらしいよ、余命があれば愛されるらしい。あーー気持ち悪い、ふざけんなまじで。余命のない苦しみは苦しみじゃないってねぇ、まぁそうかもしれないけどさ、お前が死ぬ前

          余命があれば愛されるらしい

          死にたいが言えるだけよかった

          いつか、死にたいさえも言えなくなったらどうしよう。だんだんと、助けを求めることさえも億劫になってきちゃった。必死のSOSだって誰かに届ける気にはなれなくて、ただTLに放つことしかできない。助けてほしいと、未来を見たいと思えるほどの気力がもう残っていない。死にたい辛いしんどいといった感情は何をしていても抜けないのに、もう全部どうでもよくなってしまった。 自分ひとりで解決すればいいだけなのに、わざわざ他人に救ってもらおうだなんて傲慢にもほどがある。それに、人は救いだけでは生きて

          死にたいが言えるだけよかった

          確かに、明けない夜はないけれど

          躁鬱は呪いだ。希死念慮にも、波がある。 時間が経てば大丈夫になるということを知っているのに、繰り返すから嫌になる。楽しいことが続けばその分の代償として苦しみに襲われ、鬱が続けば躁がやってくる。確かに、明けない夜はないと思う。止まない雨もないと思う。だけど、明けっぱなしの日中だけが人生じゃないから。晴れ渡る空が続くわけないことを、もう知ってしまっているから。すぐに雲で覆われ、孤独の波に攫われる時が来るから。だから、真っ暗な未来が怖い。 ずっと幸せでいることを、許されない呪い

          確かに、明けない夜はないけれど

          ひとり浜辺を歩くだけ

          数日前、海に行った。学校のすぐ近くにある海岸だ。学習室で勉強していたが全く集中できず、心を覆う霧が晴れなかったため外へと飛び出したのがきっかけだった。 ふと思い立って、海に行こうと決めた。空は晴れ、風はやわらかく吹いていた。プレイリストにお気に入りの曲を入れ、白いイヤホンを耳に装着した。流れ出すピアノの高音が頭蓋に直接響き、僅かに痛みが走った。構わず、足を進め続けた。少しだけ回り道をすると、見た事のない景色に何度も出会うことができた。工事現場の作業員さんが、道行く私を不思議

          ひとり浜辺を歩くだけ

          どうして。

          ねぇ、どうして生まれてきちゃったんだと思う? よくある反発に過ぎないと思うけどさぁ、産んでなんて頼んでないよって、そう叫びたくなっちゃう。どうして?どうして生きなくちゃいけないの。どうして勝手に産み落とされたこの身体と、一生付き合っていかないといけないの。どうしてこんなに苦しいの。どうしていのちの電話は繋がらないの。あなたのいばしょもお悩み相談ダイヤルも役になんて立たなかったよ。大丈夫大丈夫って、気持ちの悪い大人は言うけれど。苦しくても大丈夫だった人が、今大人になっているだ

          どうして。

          詩がかけない大人にはなりたくない

          もう一生、高校生のままでいいです。一生病んでていいです。 今このまま、辛い十五歳の心で、ずっと文章を書いていたい。 誰のことも救えていないけど、繊細な揺らぎを言葉に乗せることができるのなら。激しい感情を昇華させて、少しでも多くの物語が紡げるのなら。 苦しくてもしんどさを抱きしめて、ずっとこのままの私でいたい。 詩がかけない大人にはなりたくないです。 私の詩は、心の崩壊から生み出されるものです。詩は、SOSが鳴り響いた直後の衝動によって完成する自然の産物だと思うから。自分の

          詩がかけない大人にはなりたくない

          誰かにとっての一番になる前に

          こんばんは、もう神無月ですね。 最近は小説を書かず、noteばかり更新している気がします。 (ごめんなさい、今日も暗い話になります) 大切にしたい人も大好きな人もいて、だからその人にとっての一番になりたいと願っていました。 誰かにとっての特別になりたい。必要とされたい。そう思って、人との関わりを少し増やした時がありました。でも、何人もの友達の話を聞いているうちに、なんだか後ろめたくなってきてしまったんです。何人もの友達を作って、言葉をかけて寄り添って。馬鹿みたいな偽善者

          誰かにとっての一番になる前に

          死ぬにはいい日でした

          死にたい、と願うとき、ここではないどこかへいきたいと願うとき。それは決して辛い時限定ではなく、幸せな時ほどそう思うことが多い。 この感覚は、健全な精神を持っている人にはあまり理解されないらしい。人生に、その先の未来に希望を持って進んでいける人に、こんな考え方などないのだろう。常に希死念慮を抱え、寂しさをやり過ごしながら生きている、僕のような人間がおかしいのだ。 確かに、あまりに楽しい日だったらもっと生きたいと思うかもしれない。明日も明後日もこのまま、絶頂が続くという保証が

          死ぬにはいい日でした

          夏のイデアに囚われて

          こんばんは、涼しい夜になりましたね。 中秋の名月も秋分の日も終わり、葉も落ちてゆくばかりです。 もうすぐ、いや、あと数時間で十月になります。さよなら長月、そんなことを考えているとどこか寂しくなってしまいます。 突然ですが自分は、夏のイデアが好きです。 単純に夏が好きなのではなく、概念的なものが好きなのだと最近気が付きました。 イデア、という言葉を教えてくれた友達がいます。夏の終わり、季節が過ぎ去るのが寂しい、と言った時のことでした。私はそれぞれの夏だけでなく、夏のイデアに

          夏のイデアに囚われて

          ぜんぶ傷痕、脆弱な青

          ひとりじゃないよ。 あぁ、吐きそうだ。 ひとりじゃないよ、みんな一緒だから。私たちがついてるよ、だから大丈夫だよ、って、そういう言葉。気持ちが悪い。暴れる感情を、どうしようもない絶望を共有することなんてできないのに。 こんなことを思ってしまう自分が、単に捻くれているだけなのかもしれないけど。 死にたい気持ちを否定しないでほしい。月並みだけど、こう思う。生きてればいいことがあるだとか、そういう励ましなんてこれっぽっちもいらなくて、ただ何も干渉しないでいてほしい。肯定は嬉しい

          ぜんぶ傷痕、脆弱な青