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ちはやふる小倉山杯出場選手インタビュー 川瀬将義選手

競技かるた会のトップ選手が集う ちはやふる小倉山杯
出場選手のこと、もっと知りたい!ということでお話しを伺いました。
今回ご紹介するのは、三島せせらぎ会所属、現名人の川瀬将義選手です。

川瀬将義選手紹介

段位:六段
所属会:三島せせらぎ会
名人戦では初防衛というプレッシャーを跳ね除け、フルセット、さらには運命戦にて2期目の名人位を手にした。昨年、名人として迎えたちはやふる小倉山杯では1回戦で三好八段に敗れた。競技かるたの普及活動もYouTube等で積極的に発信しており、競技面、精神面などあらゆる面で充実期を迎えている。名人戦の勢いそのままに3回目のちはやふる小倉山杯挑戦で頂点まで駆け上れるか。

所属かるた会について教えてください。会でどのように練習していますか?練習相手についても可能なら聞かせてください。

「三島せせらぎ会」に所属しています。水曜日18:00〜21:00に2試合、土曜日15:00〜18:00に2試合、毎週合計4試合取っています。予定が入ってたりすると行けませんが、基本的にすべて参加しています。。
試合は西郷さん(西郷直樹 さいごう なおき 七段 永世名人 三島せせらぎ会)とやることが多いです。強いし、上手いです。……まだ手加減されてる感じがするんですよね。「この札は取れないよ」と思わされる超一流の取りを何枚も何枚も見せつけられるので、たまに自分が取れた札は「手加減してもらってるんじゃないか」みたいな感覚に陥ります(笑)。もちろん、全部の札を超一流の取りで出来るわけではないでしょうから、手加減は自分の気のせいだとは思います。でも、本当に鍛えられています。

かるたの師匠と呼べる人はいますか?エピソード等あれば。

やはり先ほどもお話に上がった西郷さんです。それ以外と言われると悩ましいですね…。実は、私のかるたは、割とつまみ食いなんですよね。多くの人から、いろんなことを聞いて吸収しています。それを自分の中でまとめあげて、良くなってきたと思っています。いちばん大きい要素を西郷さんから教わり、名人になれるレベルまで強くなれた、そんな感じです。
 多くの人の中からあえて挙げるとすると、やはり伊藤孝男さん(いとう たかお 八段 愛知県かるた協会 会長/※著書『伊藤孝男の百人一首・競技かるた―速く・強く・そして美しく』思文閣出版)です。私は高校生まで「愛知県かるた協会」にいまして、その時に練習相手をしていただいていました。たくさんのおもしろいお話をしてくださって。ただ、あんまり「こう取れ」とか「こうしろ」みたいなことを言われたことはないです。「お前の好きなようにやれ」というスタンスだったのかなと思います。
また、春野健太郎さん(はるの けんたろう 六段 第61期準名人 豊田かるた会)にも同じく愛知で強くなる時にいろいろ教わりました。名人戦にも挑戦している、すごく強い方です!私に攻めがるたの基礎を教えてくれました。

これからかるたをやってみたい人や初心者に声をかけるとしたら?

「とにかくいろいろ試してみなさい」でしょうか。自分自身が、いろんなことを試した結果、引き出しが多くなって強くなっているので、これから始める方も時間があるのならばいろいろ試してほしいです。最終的には、長いスパンでかるたを楽しんで、いろいろ試した人が強くなるかなと感じています。
 それから、勝ちよりも「できる」にこだわってほしいですね。「自分が新しくできるようになった」みたいなところです。勝てないとおもしろくないのは確かなのですが、かるたのおもしろさは勝つことだけじゃないはずです。「勝てないとつらい」と感じる方が多いと思うんですけれど、それだと勝てなくなった時につらくなっちゃいます。だから、かるたのおもしろいところを勝ちとは別にちゃんと見つけて、そこを楽しむのがいちばん大事かなあと思います。

和装での戦い方で工夫していることはありますか。

和装は戦いにくいとはあまり思いません。ちゃんと準備して、いろいろ調整して身軽にすれば、運動着の時とあんまり変わらない気はします。着つけが面倒と思われがちですが、それも準備でだいぶ軽減できます。
まず、帯。私はちゃんと巻いておらず、マジックテープです。それだけでもだいぶ楽になります。あとは着崩れないようにコーリンベルトをアレンジして着物につけています。これは取りやすさというより、見た目を重視してのことです。名人戦などの大舞台場で着崩れないようにするための工夫の一つです。着物の丈も切っていますし、襦袢はTシャツ、袴は股が分かれている馬乗り袴から、スカート型の行燈に変えました。それでだいぶ取りやすくなりましたね。
あれこれ話しましたが、いちばん大きいのは帯だと思います。ちゃんと閉めなくていいだけでもかなり楽になりますよ(笑)

名人戦を終えてのお気持ちをお聞かせください。

慌ただし過ぎて、喜びを落ち着いて噛み締められていないというのが正直なところです。名人位を維持できたからこそ、取材、表敬訪問など嬉しい依頼が増えています。会社員をしながらかるたの選手をして、Karuta ClubのYouTube・ウェブサイト・SNSでかるたの情報発信をして、オンラインかるた部を通じた普及やかるた指導をして……とやることが盛りだくさんなので、調整しながら日々忙しくやっています。
選手としての気持ちでいうと、名人戦の防衛がギリギリ過ぎたので、改めて気合を入れ直して「ちはやふる小倉山杯」に向けて練習しないといけないと感じています(※インタビューは大会1ヶ月前頃に実施)。今まで通りのペースで練習はできていますが、プラスαができていない、と少し焦りを感じています。大きな大会が終わった直後に実力が落ちるのは必ず通るところだとは思います。ある程度は仕方のない状況だとは思いつつも、しっかり自分をコントロールして臨みたいです。

お話を伺って

川瀬名人と初めてお話ししたのは、確か第二回のちはやふる小倉山杯の時でした。試合を見てくれているファンの方にもう少しわかりやすく伝えるにはどうしたら?というのをちはやふる基金のメンバーで話合っており、決まり字かるたで取るのはどうですか?取りにくいですか?と尋ねたところ、「そんなことないですよ!選手はみんな気にならないんじゃないかなぁ」とお話ししていただいたのを覚えています。
その時から、新しいこと、かるたを楽しく見てくれる方のためになることに対して柔軟に受け止めてくださる姿、かるたの魅力をたくさんの方に知ってほしいという思いにとても共感し、応援させていただいています。

記事にもあるように、競技かるたの魅力を伝える活動を積極的に行っている川瀬名人。
その活動もさることながら、なによりもお強い!そして試合が面白い!
川瀬名人が面白い試合を繰り広げてくださることこそが、「かるたって楽しい」ということを伝えてくれているなぁと思います。
ちはやふる小倉山杯でも名勝負を観られることを期待しています。

Karuta ClubのHPでは、競技かるたの魅力や観て楽しむためのコンテンツが盛りだくさん。こちらもぜひご覧ください!


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