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しつこい湿疹を治す方法と、ロンドン医療センターの坂田先生の話 その2
ロンドンに来てまもなくのわたしは、生活のセッティングがスムーズにいかないことばかりで、ストレスマックスな状態だった。そのことがどう関係しているかはわからないが、また湿疹が出た。
やれやれ、またステロイドをもらいに行かないといけないな。調べると近所にロンドン医療センターという日本の病院があったので、そこへ行くことにした。
診てくれた女性の先生は、わたしの話をゆっくり聞いてくれたうえで、いろいろと生活のアドバイスをしてくれた。
わたしはもうロンドン生活が七年になるけれど、やっぱり日本に比べると不便よね。来ない宅配を一日中待つのは大変だから、そういうのはもう待たないでいいやって、外に出てしまうのよ。で、来ちゃったらしょうがないな、って、慣れれば流していけるようになる。慣れるしかないの。
とてもありがたい、お言葉だった。銀行口座がなかなか開けないとか、開けないと電気代も払えないとか、そういう細々したことが、何しろいろいろちぐはぐで、大変な時期だったので、この先生が家の近所の病院にいてくれるということに、かなりラッキーというか、安心な気分になった。
そしてこの先生は、ステロイドより、保湿剤をたくさん処方してくれた。石けんの代わりに使えるダーマルクリームと、全身どこでも塗ってよい、セトラベンというクリーム。それにワセリン。
髪の毛があたると、そこに湿疹ができてかゆかったのが、このダーマルとセトラベンというクリームで、全く大丈夫になってしまった。
保湿ができていれば、刺激が刺激になることもないから、湿疹もできないという、きわめてシンプルな理論だった。バリア機能というものかもしれない。
以来この保湿クリームを塗るだけで、今のところは、ステロイドはいらなくなってしまった。かゆいところができても、これを塗ると、本当にすぐに治ってしまうのである。これはわたしの例にすぎないので、念のため。
病気を治すというより、環境を整えるというか、保湿をするというだけのことで、他の外的刺激やストレスは、お構いなしになってしまったのだ。
その対応の常識的な正しさもさることながら、彼女はいつも三十分くらい、こちらの話を、聞いてくれる。それを聞いたうえで、さらに、せっかくロンドンにいるんだから、大英博物館のツアーとか行ってみたら、人生変わるかもよ。パンを焼く地域のサークルとかに入ってみたら。などと、いろいろと提案をしてくれるのである。
大きな病気もストレスからきていることが多いかもしれないが、もちろん大きな病気になってしまったら、それ相応の本格的治療が必要になる。
大事なのは、そうならない前に、未病のうちに、治すこと。
ロンドン医療センターの坂田先生のようなかかりつけの先生が、調子が悪いくらいのときに話をきいてくれ、アドバイスをしてくれたら、世の中の大病率は、すこし減るかもしれない。
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