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令和元年元日は、パリ暮らしではじまった

平成最後はロンドンで過ごし、令和元日に、パリ入りした。火曜から金曜は、カーンでリサーチ。

ここ1ヶ月は、重いスーツケースを持ってあちこちに移動するノマド生活だったのだが、ようやく短期でないアパルトマンに、落ち着くことができた。じつは火事で話題だった、ノートルダム寺院の近所である。

まわりには、10ユーロや15ユーロでコース料理が食べられる、昔ながらのレストランが、ひしめいている。前菜、メイン、デザートというのは、フランス料理の基本中の基本なのだということが、こういうレストランを見ていると、つくづくと分かる。

写真は近所のレストランで「令和元日」に食べたコースの前菜の、ド定番のオニオングラタンスープ。これに、仔牛のクリーム煮(ライスつき)とタルトタタン(あっさりしたクリーム付き)がついて10ユーロ。

昔のお値段でがんばっています、という感じの、お安さである。なんとなくカードが使えないのではないか、と「忖度」し、現金で払った。

パリ最大の本屋のひとつGibert Josephや、アート系の映画をやっている映画館がいくつかあるシネマ通りも、すぐそこだ。

ここはセーヌ左岸、つまり南側で、右岸つまり北側に行くときは、橋を渡っていく。ノートルダムはシテといって、その間にある島みたいなところにある。5月1日に、右岸に買い物に行って、メーデーで休みだったのでそのまま帰ろうとしたら、ノートルダム寺院の前は封鎖されていて、警官がスタンバイしている。遠回りをさせられた。

カフェは別だが、とにかく祝日は、本当に徹底的に、どこの店も開いていない。マクロン大統領が、仕事の日です、と言っていたのを、フィガロ紙が、仕事の日じゃなくて仕事人の日だよ(つまり仕事を休む日ということか)、とおちょくっていた。

引っ越し荷物がまだ来ないので、そういう意味では落ち着かないが、とりあえず置くところがあるのでものを買えるのは、うれしい。ロクシタンL'Occitaneで、シャンプーとクリームを買った。ホテルにあった旅行用のを、使っていたのだ。

独立したアパルトマンを借りたつもりが、2ベッドルームの1部屋が貸し出されていたことがわかって、パニックだった。しかし入ってみると、部屋と部屋のつながりはL字型になっていて、その間にバスルームがあるので、部屋どおしがつづいているわけではない。

今まで住んでいたconverted flat(家をアパートに改造した建物)と、あんまり変わらないかも、と思いはじめた。わたしはわりに環境に慣れてしまう方なのだ。いや、これから困ることがあるかもしれないのだが。

そして大家さんつまり、バスルームの向こうに住んでいるひとはなんと、映画監督なのである。明日からローザンヌの映画祭に行くから、いないという。映画を正式出品している上、選定委員?もしているらしい。出品しているのに選定委員をどうやってするのか、よくわからないのだが、そういうようなことを、言っていた。モデルもやっているという。なんだかすごいひとで、結構親切でもある。

Monoprixという最大手のスーパーが、そばにある。買い出しに行ったら、1Fはデリみたいになっていて、テーブルもたくさん置いてあり、そこで食べられるようになっている。奥には化粧品や傘なども、いっぱい置いてある。夜も12時近くまでやっているらしい。日曜祝日は、開いていないようだが。

フランスにはコンビニがないから、傘もなかなか買えません、とか日本の人に言ったりしていたが、なんとコンビニがあるじゃないか!?と驚愕。でもそこら中にはないので、やっぱり「コンビニ」ではない。そこら中になければ、コンビニエンス(便利)じゃないから。

ただのコンビニではなく、地下にちゃんとフードホールがあって、普通の買い物もすることができた。ああ、よかった。

21世紀のはじまりのとき、わたしはイギリスに住んでいて、なぜかヴィデオで北野武の映画ばかり見ていた。計算していたわけでは全くないのだが、令和元年元日は、こんなふうに、パリ暮らしではじまった。

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