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短歌 2024.1

2月も半分を過ぎてしまいました。
漠然と慌ただしく、時間が空いても何もできずに過ごしてしまった感。

「やっほー、先月ぶり?」
既視感と共に突然やってきたソイツは、得体の知れない倦怠感。
作り笑顔で会話しながら、焦燥感。悪寒。嫌悪感。
ソイツのこと、PMSと言ってしまえばそれまで。
でも”ていの良い言い訳”なんて言われてしまえば、それもまたそれまで。
それでも、1月のやり残しがなんだか妙に気持ち悪くって。
そう思えるってことは、私はまだ、私を取り戻すつもりがあるんだな。

なんて少し自嘲しながら、インスタのストーリーにほぼ毎日載せている短歌日記、1月分をまとめてみたのでした。
1月は東京と愛媛に行ったので、旅っぽい言葉が多め。数も多めです。


迫り来る新年に今対峙して父は闇夜に竹刀構えた

年越して間もない私の持ち物 疼くニキビと未読のライン

ドラえもんの秘密道具みたいだね「懐中しるこ」口に出してみる

元旦のドリップコーヒー滴々と三日坊主の予感は苦し

我無力なれど枯野の凧よせめて高く昇れと祈り空見る

貰いしは珈琲の豆のみならず毎朝のこの時間と今知り

千両の赤い実一つ転がって真夜中が今目を覚ます音

樅の木が立ち続けたる年月を思えば御神籤の結果など

夜空発朝焼け経由あなた行 思い出はロストバゲージにて

振り袖は私の身代わりとなって旅立つ君を抱いただろうか

私にも何か役割があれば良かった 道祖神のように

見上げたり指をさしたら「バレる」とか神か怪異か都会のビルは

出会い別れ再会も我が身一つで改札前のチャイティーラテ

魔法など存在しない世界でもホグワーツの日々 君は僕のロン

白鳥が飛来をやめたその訳を川も私も知らないでいる

車窓から生まれいでたる起承転 乗り換えの間に雑踏と消え

雪は降る 山覆う木々その枝葉ただここに在ると知らせたくて

雪雲に天使の階段輝いて寒そうなんだ今日は逝かないで

結露する車窓はまるで君のこと無人駅から隠したいみたい

夕焼けが山の向こうへ消えていく私にはこの空しか無いのに

ごめんなさい きっと私の手袋が東京に雪を運んだのです

(件名なし)君と君との放課後は車両ごと青く切り離されて

「時は来た」探し続けた背表紙を今日捕まえるためのジェルネイル

ジョバンニとカ厶パネルラの眼を持って少年(かれ)らは車窓に生まれ続ける

飛行機の離陸時刻を反芻し異物じみてる生への執着

遺書を書く代わりに買って旅に出る未だ見ぬ友MacBookよ

この痛み何か生むなら耐え抜こう子宮の底の賽の河原で

YouTube彷徨う獣 飢え 渇き 好奇心と呼ぶには余りにも

思い出の本屋は跡形無く消えたGoogleMapで知りたくなかった

いつの日か木漏れ日纏う鹿となり君の愛した野山に逝こう

洗濯機 歴史の姫の名を冠し二十数年 若武者は来ず

鋏鳴る 黒髪が床へ散る度にフォロー欄からイメチェンしてく

海がきれいなんでどうして海はきれい一生癒えてやる気はないのに


今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
しょーもないやつもありますが、なんか愛しいから不思議。
どれが好きとか、もしよかったら教えてください。

こうしてみると、エッセイやショートショートに広げたいなと思って作ったものも多め。
仕事がひと段落して、体調や筆のノリ?が戻ったら書きたいです。

あと、田舎での地道な活動が実って、ご縁が繋がり…
なんと展示とワークショップのお話を頂いています。
3月以降に詳細をお知らせできそうです。
がんばらなあかんけど、今はただ楽しみです。

たておきちはる

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