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短歌 2023.11

もう12月も残り少なくなってきました。
むしろ、今年が終わろうとしています。驚き桃の木。
…さて。
文字たちが集まって「モドキ」をなんとか形作ろうとしている。
そんな始まりの8月から時は巡り、11月のまとめです。
相変わらずの「モドキ」の中で、顔つきが変わってきた「モドキ」も居るように感じています。
有象無象の文字たちは、落ち葉の下でうごめき、ひしめき。
今まさに「短歌」になるため、繭を作り始めた。
そう。なんか、そんな感じ。そうでありたい。
良かったら見ていってください。

※Instagramのストーリーに「短歌日記」として掲載していたものを中心に、未発表のものも含みます。



車にも部屋にも街にも溢れてる君と繋がる君の感性

人生のピークは絶対ここじゃない どんな幸せも糧にして行け

立ったままキーボード鳴らす秋 出窓 ここが実質わたしのスタバ

仙骨に寄り添ってくれるあたたかさ化学反応に守られている

秋桜の欠けた一片の行方に思いを馳せる如雨露の雫

十数年 ケーキ数十個君の分いつか天国できっと返すね

朝早く舞い戻りたる封筒に古い切手のパッチワーク

白やぎさんから久々のメッセージ味気なくただ「年賀状じまい」

次こそはオムレツでなく鍋にならん生まれなおした表情(かお)の豆苗

たとえホームビデオの再編集でも君に会うため何度も夢へ

遠い砂漠に埋まっている我が骨を自ら探しているような日々

「秋だな」と「冬だねぇ」の間には太陽のため息一つ、二つ

「この川の匂いをどうか忘れるな」帰らぬ父の声 鮭は戻る

カラー破棄 グレースケールの日々を超えDIC選び抜くダブルトーン

動けない何もできない寒すぎて赤血球が冬眠している

砂利を踏む音だけで其処に猫は無くにゃあと鳴きしは人である我

泡よ立て 夜の私を洗い去り今日も泥纏う獣となるため

たった数百年前の事だよと地球は今日も沈黙する青

見上げると玉どめのような一番星 夜空は星座を刺繍し終えた

露よりも脆いと言われるこの命抱える体はガラスケース

図書館と約束をしていたいから人質みたいに選んだ2冊

フレームやレンズを通した人生はこんなに綺麗 なら私だって

我が言葉誰がためでなく我のため誰にも渡さぬ 月よ尖れ

人類が君と僕との2つなら土の脆さよ宇宙の青さよ

「こんな風にしてください」インスタのあの子が欲しいから僕を捨てる

ユーザーを認識できぬパソコンが唯一他人とみなしてくれる

長文のライン連なり思い積む列車になって今走り出す

「炬燵には永遠がある」冬の底沈む私に君は囁く

君という木が舞い落とす葉の下で眠れたならば 雪はまだ来ず

ピザが好き 満月を分け合うようでまた満ちる時会える気がして

ふさふさとキツネ一匹歩道行く 私「かわいい」君「狡賢い」

真夜中が君に言わせた「死にたい」に細胞一つ掠め取られる

店先に魂一つ転がして誰かが買ってくれるのを待つ

君だけの幸せの形になりたいクリスマスケーキ選ぶみたいに

君からの宝石みたいなリプライをスクショした音 惑星(ほし)の走馬灯

片寄の浪凍てる碧切り裂いていのち生まれんエンケラドスよ

「あたたかい」そのリズムさえ温かい「たたたたん」父とヴァージンロード 

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