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 ピルってどんなお薬?知っておきたい作用と副作用


以前薬局で働いていたとき、
中学生の女の子に低容量ピルが処方されたことがありました

月経不順か生理が重いといった症状だったと思います

その子のお母さんがお薬を取りに来られたので、
お子さんがお薬を飲むの心配ですよね?
とお話ししたところ

きょとんとして、『いえ、別に』と。

私は内心とてもショックでした

親世代のお薬への認識が軽くなっているなぁ
副作用ちゃんと伝わっただろうか


テレビのCMで頭痛薬や生理痛の薬を飲むことがまるでトレンドのように

きれいな女優さんが私も痛み止め飲んでます♩っていうのを毎日見ていたらお薬へのハードルは低くなるよなぁ

などと考えてしまいました

数年前にも、NHKのあさイチで女医さんがピルをすすめるようなコーナーを見かけて驚きました

最近では有名なタレントが起用され、スマホで産婦人科医にピルの相談をできたり、LINEで低用量ピルの処方を受けられるというCMがテレビで放送されていて

若い女性のあいだでピルがカジュアルで可愛い、おしゃれなどの認識になっているのではないかと心配に感じてしまいます


今回、30代の女性より

10年前に子宮内膜増殖症の対症療法でピルが処方されて副作用(吐き気、頭痛、めまいなど)でのたうちまわり、脳外科でCTを撮る事態になったので、ピルについて知りたいと相談がりました

また、現在も婦人科の先生に「10年前とは違うよ(副作用は少なくなっているよ)」と言われ

情緒の安定や経血量が減るなど
生理で苦労してきた自分には魅力的な効果もあるので服用を迷ったそうです

そこで、今回は

◇ピルの種類
◇作用や副作用
◇血栓症になるのはなぜ?
◇子宮内膜症と低容量ピル

についてまとめてみました

ピルがどういうものか納得して飲みたくないですか?
お役に立てれば嬉しいです


ピルとは?


女性ホルモンである
卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の合剤

ピルは昔は避妊のための薬というイメージがありましたが

現代では
月経痛、月経不順、月経過多の改善、PMS(月経前症候群)の改善

子宮体がん、卵巣がん、大腸がん予防効果、肌荒れ改善効果などがあると
お薬を飲みはじめる女性が増えています


ピルには
【高用量ピル・中用量ピル・低用量ピル・ミニピル】の4種類があります

高用量ピルは深刻な副作用等のリスクから現在では殆ど処方されません

そのため、一般的に処方されるのは
【中用量ピル・低用量ピル・ミニピル】の3種類

使用用途や使用方法など様々な違いがありますが、
主に配合されている女性ホルモン(エストロゲン)の含有量や含有成分による違いがあります


中容量ピル


【プラバノール】

エストロゲン量 50μg 
緊急避妊効果・月経の移動・月経不順、月経困難症の改善、子宮内膜症、月経過多の改善


低容量ピル

【マーベロン、トリキュラー、アンジュ、シンフェーズ、ルナベルなど】


エストロゲン量50μg未満
黄体ホルモンの含有量により第1~4世代に分類
避妊効果・PMS(月経前症候群)、ニキビ、月経痛、月経不順、月経過多、子宮内膜症の改善

主に経口避妊薬として使われている低用量ピル

月経困難症など、
生理に関するマイナートラブル改善の他、
肌荒れの改善を目的として使われることもあります

中用量ピルに比べてホルモン量が少なく副作用が出にくいが

ホルモン量の少なさから飲み忘れた際に避妊効果が大幅に低下したり生理に関する症状が再燃したりすることもある

ホルモンの含有量が一定の一相性OC
月経周期を模してホルモン量が3段階に変化する三相性OCがある

21日間は活性成分を含み、その後7日間は休薬する21錠タイプ

飲み忘れないように7日間のプラセボ(効果のない薬剤)を含む28錠タイプがあります

ミニピル

【ヒスロン、プロペラ、デュファストンなど】

エストロゲン含有なし、黄体ホルモンのみ含有
避妊効果、月経困難症、子宮内膜症の改善


エストロゲンが含有されていないため、血栓症のリスクがほとんどないとされ、
医師の指導のもとに、肥満の方、35歳以上の方、喫煙者の方、授乳中の方にも処方することが可能


経口避妊薬としての効果は低用量ピルと殆ど同じ

正しい服用方法で服用すれば高い避妊効果が期待でき、子宮内膜症の改善等を目的として処方されることもあります

プロゲステロンのみを配合しているミニピルは自然に生理が起こります
(低容量、中容量ピルは生理は起こらない)
生理期間中も服用を続け、1シートが終わったらそのまま次のシートの服用を始めます

3時間以上服用時間がずれてしまうと効果が失われてしまう可能性が有り、12時間以上ずれると避妊効果がなくなります
規則的な服用が必須!

【低容量ピル(OC)の作用機序】

①排卵をストップ
 排卵を促すホルモンの分泌を抑え卵巣からの排卵を止める

②受精卵の着床を阻止
子宮内膜が厚くならず、着床環境が整わない

③子宮の入口で精子をブロック
子宮頸管の粘液を変化させ精子を子宮内に 入りにくくする


【低容量ピルの効果】

〇避妊率99.7%
○子宮内膜症の改善
〇生理痛、過多月経の緩和
〇月経周期が規則正しくなる
〇生理前のイライラなど
〇月経前症候群(PMS)の緩和
〇卵巣癌、子宮体癌の予防 など


【低用量ピルの副作用】


よくある副作用に

多いのは悪心・嘔吐 1.2~29.2 %
めまい 0.2~1.0 %
ふらつき 0.3 %
頭痛・偏頭痛 3.4~15.7 %
にきび 0.1~2.9%
他に浮腫 1.0~3.2 %
体重増加 0.8~2.2 %

などがあります。そして、

重大な副作用のひとつが血栓症!

喫煙は血栓症のリスクを高めます
35歳以上、15本/日以上の喫煙者は血栓症になりやすいのでピルを飲むことはできません!


その他の注意事項

●内服初期は不正出血が起きやすくなる→内服を継続する事で徐々に軽減

●子宮頸がんのリスクを上げる可能性がある

●乳がんのリスクを上げる可能性がある

なんでピルで血栓症が起こるの?

低用量ピルに含まれる卵胞ホルモン(エストロゲン)には、血液を固まりやすくしてしまう“凝固作用”があります

そのため、低用量ピルの服用で血液中のエストロゲン濃度が高くなると血液が固まってしまい、血栓ができやすくなるのです

喫煙は血管を収縮させるので更に血栓症のリスクが高まります

喫煙や高齢(35歳以上は)血栓症になるリスクが高くなるので注意が必要だということ!

子宮内膜症ってなんだろう?

子宮の内側を覆う「子宮内膜」に似た組織が

子宮の内腔以外の場所(腹膜、卵巣、卵管、腸など)にできてしまう病気です


子宮内膜症も通常の子宮内膜と同じように女性ホルモンの影響を受けて増殖


月経のときには出血が起こりますが、その血液を外に出すことができないため、たまった血液が炎症や周囲の組織との癒着を引き起こします


子宮内膜症は月経がある女性の約1割に発症するといわれ、20~40代に多くみられますが、10代後半からも起こる病気です

子宮内膜症とピル治療

ピルは卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を阻止して、子宮内膜の肥厚を抑えます

このことは生理痛を緩和したり、生理時の過多出血を防ぐことになります

肥厚した子宮内膜には、子宮を収縮させるプロスタグランジンがあります

このプロスタグランジンが過剰に分泌されることで子宮収縮が強くなり、
生理痛や過多出血の原因になります


ピルを飲むと、子宮内膜の肥厚を抑えるため、プロスタグランジンを減少し痛みなども緩和させてくれます




月経過多やPMS(月経前症候群)のために処方されることも多い低用量ピルですが、なぜそのような症状が起こるのか考えたことはありますか?

なぜ月経痛が起こるのか?
冷え、食べもの、骨盤、、、
実はさまざまな要因があり
根本治療にはその原因に合わせた対処が必要になります

こちらの記事で月経の仕組みと併せてお伝えしています
有料になりますがよかったらお読みください

https://note.com/chiharu0302/n/n8d755ddea998







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