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キャンパス内の庭園で、待ち合わせの相手を探す。照り映える芝生の青に春を感じる。 髪をさらう風が冷たくなってきた。もう陽射しが傾いているのだろう。学生同士のお喋りもあまり聞こえてこない。 レジャーシートに座っている人物が、こちらに気づき手を上げていた。 「フアン!」 紺色のジャケットとスラックスの上下に白の襟付きシャツ。そつのない彼らしい。 「ヒロ、久しぶり」 ブーツを脱ぎ、彼の隣に座る。 「どう、新しい学校には馴染めてる?」 「茶化してるでしょ。 同じ大学の同じ研