【岐路10】シフォンケーキの研究
それから月日は流れまして、それなりに焼けていたシフォンケーキのスキルは徐々に向上しまして、17cmから20cmへ、20cmから23cmへとサイズアップしていきました。その間、ベーキングパウダーを使わなくても焼ける様になったり、シフォンケーキナイフを開発したりと活動範囲も広げながら、作っては振る舞って、作っては振る舞っての日々を送っておりました。
そんな頃、事件は突然に起こりました。『サプライズパーティーで4台程欲しいんだけど…』と言う依頼を受けたある日、ものの見事な大失態をしでかして、一台も納品できない事態に陥ったのです。原因は、その前日に仕入れた『冷凍卵白を使うと良いメレンゲができる』と言う情報でした。確かに、半冷凍の卵白を使うとコシと艶のあるメレンゲができたのです。大成功を確信しながら、型から取り出したにもかかわらず、シフォンケーキは、底上げ大空洞の燦々たる状況でした。
『工学屋がこの安定性のなさって、どうよ?』
この瞬間、Snowcafeのシフォンケーキの研究が始まりました。