「『RRR』があまりにも暴力的で怖すぎてトラウマになった」の記事について
はじめに
数日前、多くの方に読んで頂いた、「『RRR』があまりにも暴力的で怖すぎてトラウマになった」という記事につきまして。
自分の表現の過激さや説明不足な部分、そしてそもそもの映画との向き合い方に至るまで、様々な面で未熟であり、それによって『RRR』ファンの皆様、映画好きの方々、それ以外にもたくさんの人に不快な思いをさせてしまったこと、心からお詫び申し上げます。
そもそもの記事の内容も本当に良くないものでしたし、自分が直接意図した内容以外にも、言い方、対象の取り方、論点のブレ方、そういったものの全てが、とにかく必要以上に敵を作り、嫌な気持ちを増幅させる文章になっていました。このように多くの人から批判・指摘されて然るべき記事だったと思っています。
コメント、ツイート、もちろん全ては見れていませんが、ある程度は目を通して、受け止めています。
本当に仰る通りだと思うものも数多くあれば、事実や意図と異なる形で捉えられている部分もありましたが、それも全て自分の説明不足が原因で、それに対して反論したいわけでもありません。
その一方、そんな中でも自分の意図を拾って、擁護や共感の声をあげてくださる方も少なからずいて、その方たちには感謝してもしきれませんし、
それと同時に、もっと自分が適切な言葉選びをしていれば、そのような方々の考えていることをより広く理解される形で届けられたかもしれないのに、という意味でも申し訳なく思っています。
騒動からやや時間が経ってしまいましたが、自分の表現方法の問題で本意を伝えられなかった部分と、その記事の反応を受けて考えを改めた箇所について、一人でも多くの方に、より適切な表現で伝えられたらと思い、改めてこの記事を書いています。
もう既に興味を失っている方がほとんどだと思いますし、多くの人にとっての印象が今から変わることもないでしょうが、それでも興味があるという方だけ読んで頂ければ幸いです。
事前に知りたかったのはバイオレンスなシーンだけだった
まず初めに、元々の『RRR』に関する記事の中で、最も言葉足らずであった箇所について。
元の記事の反省点を挙げると本当にキリがないのですが、その中でも特に良くなかったと思っているのが、
「トラウマになるほど苦手な表現(血が出るような凄惨なシーン、バイオレンス)」
「別にトラウマになるほどではないが not for me な表現(悪人が出てくる、ハラハラドキドキ、など)」
という2つを並列に語った上で、その直後に「こんなものを全人類に見せようとするのはおかしい」という展開をしてしまったことだと思っています。
私は、悪人が出てくる映画(作品)が全てダメなわけではなくて、悪人が出てくることや潜入ミッションのシーンがあることについて事前に知りたかったわけでもありません。
あの記事だけを読んだ方に、「そんなに苦手な要素がたくさんあるのに前情報なしで観に行く方が悪い」と思われてしまったのは当たり前なのですが、
私としては、暴力的なシーン以外は最悪避けられなくても(自分には合わない映画だったなと思うだけなので)良いし、耐えられないほどバイオレンスな表現が出てくるなら年齢制限されているだろうという考えがありました。
そのため、前情報なしで観に行ったのも、その時点で私自身はリスクだと捉えておらず、事前に回避する発想も、あの時点ではありませんでした。
一応、本文中には「ストーリーもハマらなかったが、それだけなら自分に合わない映画というだけなので別にいい」みたいな文章も入っていて、私の脳内ではそこは別の話として書いた気になっていたのですが、そこの部分の説明が全く足りていないので、全体の印象としては『RRR』にまつわる要素全てに対して同列に怒っているようにしか見えません。
これは「誤解を招いた」みたいな話でもないと思います。真っすぐ読んでそう受け取れるので、シンプルに自分に落ち度があり、この点で怒りを覚えた方は何も間違っていません。
どうしてああいう論理破綻した構成になってしまったのかというと、これは本当に単なる言い訳になってしまいますが、
元々あの記事を書いた時点では、とにかく感情が昂っていたので、「広く共感されるよう内容を絞って問題提起をしよう」みたいなつもりが全然なく、自分が考えていること・思ったこと全てを書きたい、吐き出したい、という欲求を優先させてしまいました。別に自分が匿名で問題提起したところで誰の目にも届かないだろうし、あえてそれを狙い澄ましたような記事を書くのもダサい、みたいな感覚もどこかにありました。
彼女の話をしなかったのも新規アカウントを作って書いたのも、最初から完全な炎上狙いではなく、「念のためそうしておこう」くらいの気持ちで、そもそもあまり深く考えていたわけでもありません。
なぜオススメの仕方に対して文句を言いたくなったのか
ただ、そのような「暴力的なシーンの有無」に限った話をしていたと仮定しても、「それを言わずにオススメした人たちは何らかの罪に問われるべき」というような一連の過激な言葉選びについては、全くもって不適切であり、他に表現のしようはいくらでもあったと思います。
自分の感情の大きさを表現する手段として安易に強い言葉を使ってしまったことは全て自分に非があるし、それが全て良くない方向に転がってしまって、反省と、強い自責の念に駆られています。
ただ、それでも、観た直後の自分が数日眠れなくなるほどの恐怖体験であったというのは事実でした。このことを改めて伝え直そうとするなら、「もし自分がこういう映画を誰かに勧めるとしたら、絶対に但し書きなしでは勧めない」、という言い方になるのかな、と思っています。
この感覚をもう少し共感されそうな形で例えるなら、(あくまで自分にとっての)『RRR』は、先月話題になったホラー小説『近畿地方のある場所について』と同じカテゴリーの作品にあたる、と思っています。
この小説、私は怖がりつつもとても面白く読むことができました。(何でRRRが無理でこれが大丈夫なのかと言われても説明できないのですが……)
なので、他の人にも勧めたい気持ちはあったし、できれば何の情報も入れずに読んでほしい、という思いも抱きました。
しかし、もしこれを他人に勧める際には、「本当に怖い」「怖いのが苦手なら読まない方が良い」という説明は絶対に付けるし、怖いものが苦手な人、読んで眠れなくなりそうな人には勧めません。おそらく私以外の方の紹介ツイートも同様であったと思います。
それと同じように、『RRR』についても、「観る前に最低限知っておくべき情報として、バイオレンスなシーンについての警告が付随していてほしいかった」、という気持ちが、「全人類観るべき」とだけ書いたツイートに対して怒っている、という言い方になってしまったのだと思っています。
当時の自分がここまで考えを整理することができていたら良かったのですが……、結果的にあのような表現を選んでしまったことは深く後悔しています。
また、いくら伝え方や表現を変えたところで、そもそも感想を書いた人たちに対してそのような怒りを覚えること自体も筋違いだったということも、今は納得しています。
『RRR』を観てもそういう感覚を持たない方が多く、また実際に観たところでそういったショックを受ける方も決して多いわけではない以上、自分の感覚が一般的なそれから著しくズレていただけなので、今回『RRR』を事前に避けられなかったのは自分の経験とリサーチの不足に問題がありました。
今後はたとえそういう注意やそれを想起させる文言がなかったとしても、特に実写映画については念入りに情報を探ることを心がけようと思います。調べるのに適したサイトをいくつか教えてくださった方、ありがとうございます。
他人の好きなものに対して軽々しく口出しすべきではなかった
自分の感情的な怒りを他者に責任転嫁してしまったということ、自分が伝えたい内容を整理できなかった論理構成の甘さという2点によって必要以上の批判を呼んでしまいましたが、
それ以外の箇所で自分が書いた内容は、それだけであれば個人の感想として受け入れられる範囲だったのかもしれません。
ただ、それとは別に、元々の記事にあった、「あそこはこういう展開の方が良かった」「このシーンは要らなかった」などの発言は、個人の感想であったとしても一切言うべきではなかったので、全て撤回します。『RRR』を好きな人に対する配慮と、作品へのリスペクトがあまりにも欠けていました。
自分は『RRR』という映画のどこが良いとされているのか全くわからなかった、それ自体は今もわかっていないし、そんな何もわからない奴に自分の好きな作品について何か言われるほど腹が立つこともないはずで、
記事を書いた時の自分がどれだけ怒っていたとしても、そういう他者の存在を軽んじて良い理由にはならず、本当に良くなかったと今は反省しています。
彼女もいたし、口コミも参考にしていた
Twitter上で、一緒に観た彼女の存在が(真偽不明ながら)明らかになって以降、「コイツはSNSの口コミを信じて『RRR』を観に行ったのではなく、彼女に勧められて観に行って、その怒りの矛先を彼女に向けられないからTwitter民にすり替えたのではないか」という推測が多く出ることとなりました。
結論から言うと、これは半分正しくて半分誤りです。
おそらくこれについては、後からどう取り繕っても納得して頂けない方はいると思うのですが……できるだけ丁寧に経緯を説明してみます。
元の記事にも書いた通り、『RRR』については、公開直後から物凄い評判であったと記憶していて、観た人たちが大絶賛している感想を目にしていたし、自分が普段聴いているラジオ等でも『RRR』をオススメする著名人の方がたくさんいました。そういった熱気のある感想の影響を受けて、彼女に誘われるずっと前から「観てみたいな」とは思っていました。
そして、この時点では「怖い映画かもしれない」とは本当に微塵も思っていませんでした。
家にテレビがないため、ニュースやCMで何らかの映像が流れていたのかどうかもよくわかっていないのですが、少なくとも私は、Twitterやラジオなどの映像のない媒体のみでこの映画の情報を得ていたので、具体的な画は一切浮かんでいませんでした。
映画に詳しい方はそれでも、ポスターやインド映画といった周辺情報、「派手なアクション」などの表現だけで最初からああいう画を想像できるのかもしれませんが、
私が「派手なアクション」と言われて想像したのは、例えばスパイダーマンが高層ビルを次々に飛び回って戦うとか、そういう血が出ない(出てもそこまでリアルではない)範囲のカラッとした何かであったし、ポスターに映っているような「炎と水を持った2人がぶつかる」というビジュアルの印象からは、鞭や棍棒を用いた残虐なアクションは想像できていませんでした。
そして、「どうやらとんでもなく面白い映画らしい」というぼんやりとしたポジティブイメージが刷り込まれていたので、あえてそれ以上の情報や悪い評判を調べようとも思わなかった、というのも事実です。結果的にはこれが大きな間違いだったのですが……。
この映画を観て、そしてあの感想記事を書いた後であれば、「観た人がアクションを理由に褒めている映画を好きになるわけがない」というのは、確かに自分でもその通りだと思うのですが、正直、当時の自分はそこまで深く考えていませんでした。そういう要素について自己分析するためにあの記事を書いた面もあって、事前に全てを熟知していたわけではなかったので……。
このような口コミや感想が定期的に流れてくるのを見て、凄く気になるなと思いながらも、上映時間の長さと映画館に足を運ぶハードルの高さだけを理由に観に行かないまま数ヶ月が経過していました。当時のことをいま思い返してみても、2時間映画だったら昨年中に1人で観に行っていた可能性が高かったと思っています。
そろそろ上映も終わりそうだし、結局観ないままになってしまう。でも、「絶対に映画館で観た方が楽しい映画」みたいな感想も多かったから、このまま上映期間が終わるのも勿体ない……。
そんなことを考えていたタイミングで、彼女に「2回目の鑑賞に行くからぜひ一緒に観よう」と誘われました。これも事実です。
ちょうどその週にアカデミー賞を取ったというニュースもあって、自分の興味も再燃していたので、これは絶好のタイミングだと思い、観に行くことに決めました。
……アカデミー賞とノーベル賞は、本当に素で間違えました。指摘されて確認した私自身が一番びっくりしました。いくら何でもそんなミスするわけないだろうと。
頭で考えている内容と口に出した内容が真逆になることってたまにあると思うのですが、それの文章版です。
もちろん実際アカデミー賞に大して興味がなかったから間違えるんだと言われると、それは確かにそうなのでしょうが……ノーベル賞を取ったと思っていたわけではないんです……。信じてください。もう二度と間違えません。ただただ恥ずかしいです。
話が逸れましたが、以上が私が『RRR』を観に行った経緯です。
上映前の時点では本当にワクワクしかしていなかったし、その期待値は彼女に誘われる以前から上がっていて、もちろん彼女が絶賛している映画だからという理由での加点もされているのだけど、同時に数多くの口コミや感想ツイートの影響も間違いなく受けていました。
1人で観に行っていたら途中退席していたかどうかについては、正直、わかりません。
今まで1人で映画を観ていて途中退席をした経験は一度もないし、そういう発想が浮かんだこともありませんでした。
とはいえ、それでもあそこまでキツいシーンが続いていたらさすがに途中で飛び出していたような気もするし、逆に1人で観ていたらもっと純粋に怒り100%で記事を書こうという一心で最後まで観て、もっと酷く炎上していたかもしれません。そこは本当に何とも言えないです。
ただ、今後は途中退席という選択肢があるのだと知ることができたというのは、今回の騒動を通して良かったことの1つです。
件の記事で、当初、彼女の存在に一切触れなかった理由としては、上記の通り口コミきっかけで観に行こうとしていたのも本当だし、そのイメージと映画の内容の落差にやり場のない怒りを覚えたのも本心だったので、そこで一緒に行った身近な人の存在に触れることで、「口コミは関係なくてその人が気をつければ解決するはずだ」という話になってしまうのを避けたかったからでした。
あとは、論点を絞る意図とは別に、見知らぬ人から彼女が悪く言われる可能性があるのが嫌だったので書かなかった、という理由もあります。アカウントが特定されるされないとか、実際にどちらが悪いとかは関係なく、彼女だからです。
ただ、この記事の内容に対して「なぜ途中退席しなかったのか」という意見が大量に出ることは(途中退席すべきだったという発想がなかったので)想定できていなかったし、
まさかそこに彼女が自分の知らないところで勝手に名乗り出て反論する展開になるとは夢にも思わず、それが結果的に、「事実と異なる憶測をベースに叩かせた」という構図を作ってしまったのは心苦しく思っています。
それでも、該当の記事の内容が全くの嘘だったかというと、自分ではそうは思っていません。
「自称彼女とnoteの内容に矛盾があるからどちらかが釣り」みたいなツイートもいくつか拝見しましたが、真相はこのように、どちらも本当で、どちらも相手の非が少なく見えるように書いただけだと思っています。本当に面白くないオチになってしまいますが……。
ちなみに、彼女に文句を言えなくてnoteを捌け口にしたのかと言われると、全然そんなことはなくて、彼女にもめちゃくちゃ文句を言ったし、上映終了後にはちゃんと少し険悪になりました。
それでも今はとても良好な関係に戻っています。
私と彼女の関係について、いろいろなご意見を頂きましたが、本当に、第三者に心配されるようなことは何もないです。これまでに彼女から勧められて好きになった作品ももちろんあるし、1つの映画の趣味の合う合わないだけで人間の相性が決まるわけではないと思っています。あまり気にしないで頂けたらありがたいです……。
『名探偵コナン 黒鉄の魚影』を観に行きました
件の記事についての説明および謝罪としては、基本的にここまでになるのですが、もう少しだけ書きたいことがあるので、良ければお付き合いください。
木曜日、自分が書いた記事を削除した翌日、自業自得ながら精神的に限界を迎えた私は、余っていた有休を使って会社を休みました。
とはいえ、突発的な休みでやることもなく、何をするか考えていたところでふと、「こういう日の昼下がりにこそ映画を観ると良いのではないか」と思いつきました。
『RRR』を観て受けたショックからも1ヶ月経った今なら、よほど怖い映画でなければ観れそうだと思ったし、何よりも、今回の騒動によって自分が抱いてしまった、映画というエンタメ全体に対するネガティブな印象をどこかで払拭したい、それはできるだけ早い方が良いはずだと思いました。
そこで、今やっている映画を眺めて、どれが観たいか、どれなら観れそうかと考えた結果、『名探偵コナン 黒鉄の魚影』を観に行くことにしました。
この映画を選んだ理由は、近所の映画館で今やっているラインナップを眺めた中で、面白そう、自分でも楽しめそう、明確にキツいシーンがなさそう……などいろいろあるのですが、
何よりも、私が名探偵コナンの映画も漫画もアニメも一度も触れたことがなかったので、良い機会だと思ったからです。
……ええと、こんな騒動があった上でこんなことを言い出したら、「いよいよ嘘松すぎる」「注目を浴びたのが嬉しすぎてオオカミ少年になった」と思われてしまいそうなのですが……、本当です。
「一度も」はさすがに盛っていて、子どもの頃に夕方にやっているのをたまたま観たことはあった気がするし、サンデーを買った時にパラパラと目に入ったことも多分あります。映画は本当にテレビでも一作も観たことがありません。
黒の組織に子どもにされたとか、ドラえもんみたいなキャラクター構成の少年探偵団が出てくるとか、コナンが出かけた先では必ず殺人事件が起きるとか、そういう一般常識? のような知識は入っています。灰原哀や安室透などのキャラクターについては、名前だけは知っていたり、名前すら知らなかったり、いろいろです。
そのくらい触れてきたエンタメに偏りがあるんです。本当に……。
一応、これだけ注意されたのに予告編を確認せずに観に行くのは良くないと思って観てみたのですが……正直、人物名すら曖昧な状態では、何らかの事件が起きる以上の情報は掴めず、判断材料にはできませんでした。
事件が起きるという要素に対しての若干の不安はありましたが、それでも本当に目を背けたくなるような表現は出てこないだろうし、
これだけ毎年流行っているということは、きっと初見でも楽しめる作りになっているに違いない、逆にここまでまっさらな状態でコナンを観るというのも貴重で面白い体験になるはずだ、と考えました。
そして何よりも、今回の一件で、「合わなかったら途中で劇場を出ても良い」と教えて頂いたことは、観に行くと決める上での大きな後押しになりました。
『名探偵コナン』という作品を意図的に避けてきたわけではないにせよ、例えば金曜ロードショーなどで放送されている時にそれをあえて観ようと思わなかった理由に、「殺人が出てくる話が苦手だから」という要素は決して無関係ではなかったと思います。
しかし、そういった自分の好きではなさそうな要素を一つ一つ避けていった結果、フィクションで起きる出来事に対するストレス耐性が著しく低くなり、それが自分の『RRR』への過剰反応に繋がったのだとしたら、途中退席というセーフティーネットを準備した上で、あえてそういう作品を観てみるのも一つの手だな、と。
なのでおそらく私が、あの映画館にいた人間の中で、「俺は高校生探偵、工藤新一!」から始まる一連の説明を最も真剣に聞いていたのではないかと思います。
一字一句逃すまいと必死でしたし、実際あの説明に相当助けられました。遊園地に遊びに行っている最中……みたいなところから丁寧に説明してくれるおかげで、与えられた情報を頭の中で整理することもできたし、灰原哀がそこまで重要な人物だったことなどは全く知らなかったので驚きました。
あの説明がなかったら、その後の話を理解するために必要な設定に気づくまでにもっと時間がかかったはずで、コナン映画の親切さに感動しましたし、あらすじだけでもう面白いのでワクワクが大きくなっていきました。
『黒鉄の魚影』を観た感想
で、その感想なのですが……とても面白かったです!!
もちろんこの流れで観てきた映画を悪く言えるわけもないのですが、本当に面白くなかったらこの記事であえて触れていないので……。そういうお世辞抜きに面白かったです。
……ただ、「なるほど、コナンってこういう話だったのか!」という面白さが多分に含まれていたので、純粋な映画の評価とはズレているかもしれません。
本当にコナンという作品の中身を一切知らずに生きてきたので、「コナンってこういう風に事件現場に入り込んでいくのか」とか、「あの真っ黒で目だけ見えてるキャラクターって、犯人を隠すための表現だったのか」とか、「あっ、これがあの麻酔銃で眠らせて代わりに推理するシーン!」とか、自分がこれまでの人生で何となく見たことがあるもの、気になっていたものを答え合わせされていく気持ち良さを味わえました。
逆に、蘭が普通に強いとかは全く知らなかったので、急に蘭も戦闘に加わったことにすごく驚いたりしました。事件の最中は待っているだけのポジションなのかなと勝手に想像していたので……。
そういう些細なところまで含めて人一倍予想のつかない展開の連続で最後までずっと楽しむことができました。
そしてもちろん、そういうコナン初体験の驚きを差し引いた1本の映画としても本当に面白かったです。
推理で解決する部分とアクションで展開していく部分が交互に訪れるので、緩急があって、退屈なシーンが全然ないし、今作の主役ポジションと思われる灰原哀の細かい心の動きにずっと惹かれ、登場人物全員に活躍する部分があって、最後までどうなるかわからない。
……いや、ここまで、たぶんコナン好きな人にとってはずっと当たり前のことしか言っていないんだろうなとは思うのですが……本当に全てが新鮮でした。
それはいくらなんでも実現不可能では……? みたいな疑問を抱く部分も多少ありましたが、コナン世界の設定を全く知らないおかげで「まあ映画内では説明していない背景設定がきっとあるのだろう」と思って呑み込めたというのも、細かい部分が気になってしまいがちな自分にとっては凄く良かったのだと思います。
『名探偵コナン』の映画を一度も観たことない人でも楽しめますよ! という意味でもこの映画はぜひオススメしたいなと思いました。誰が誰にオススメしているんだという話ですが……。
暗い気持ちを一時的にでも忘れさせてくれる、最高の2時間でした。
ちなみに、明らかに悪役が出てくるストーリーなのにどうして楽しめたのか? とツッコまれると、自分でもどうしてだったのだろうと思うし、いろいろ理由を考えてはいるのですが、ただそれについて細かく説明すると本当に全部ネタバレになってしまうので……。
『RRR』と違って公開直後だし、何よりこの記事をコナンの感想目当てで読みに来た方なんているわけないので、ネタバレ前提に書くわけにもいかず、すみません。
そして何よりも怖いのは、コナンの知識が全くない私は、何をどこまで喋ったらネタバレになるのかさえわかっていないネタバレバーサーカーであるということです。
正直「麻酔銃で眠らせるシーンがあった」「蘭が強かった」という感想も書いたら怒られるんじゃないかと思って、事前に毎年のお約束かどうか確認してから書いています。なので、これ以上の感想は割愛させてください。
この一件を通して、映画を以前よりも楽しめるようになった
ただ、もう1つ、これは自分でもびっくりしたことがあって。
これまで私は、フィクションであっても人が死ぬシーンがあまり得意ではなくて、できれば見たくないと思ってしまうし、その後しばらく引きずってしまってストーリーが入ってこなかったりしていたのですが、
今回の映画を観ている最中は、そこでは割とダメージを受けずに観ることができました。
もちろんそれは描き方や演出の違い、アニメと実写の差などもあると思うのですが、『RRR』という(私にとっては)とんでもない映画を観たことで、人が死んだり傷ついたりするシーンへの耐性が多少ついたんじゃないか、と思っています。
これは特にコナンがわかりやすくそういう作品であっただけかもしれませんが、今起きたこの死はストーリーの進行上で必要なイベントであって、でもフィクションの中の1つのシーンに過ぎないのだ、という意識を持つことで、
その登場人物に対して必要以上に心を痛めたり、「いま殺された/酷い目に遭わされたこの人にも自分と同じように家族がいて友人がいてそれぞれの人生があって……」みたいに思いすぎる必要はないんだな、みたいな、そういうところの距離の取り方が、少しだけわかってきましたし、
今までできていなかったそれが多少できるようになったのは、『RRR』という、全てのシーンを完全なフィクションとして消化しないと楽しむのが難しい映画の存在を知った影響なのかもしれない、と考えています。
そして同時に、『RRR』を当たり前に楽しめた人たちというのは、そういう1つ1つの戦闘であったりアクションであったりシリアスなシーンで、「自分に置き換えたら痛そう」みたいな感覚と切り離すという所作を、自分と違って特に意識せずとも自然にできる人たちなのではないか、という考えにも至りました。
なんでそんなことも今までわからなかったのかと言われると、わからなくてすみません、としか言えないのですが……。そういった部分での、他者の価値観と自分の感覚との相違については、今後も少しずつ、一生をかけて学んでいくしかないと思っています。
で、さらに考えていくと、今回の炎上を通して、様々な方から「お前の映画の見方はおかしい」というお叱りを受けたことで、映画を観ている最中に、自分の感覚と切り離して映画のストーリーをフラットに楽しもうという意識が強烈に働き、それが結果的に程よい距離感になったのではないか、とも思うようになりました。
自分の直感に反するような展開に対して、少し引いて物語を楽しむというのが、今までは本当にできていなかったんだなと。
なので、『RRR』を勧めてくれた方と、記事について意見をくださった方のおかげで、映画に対する見方を少しだけ広げることができたかもしれないと思っていて、これは皮肉ではなくて本当に感謝しています。
……と、ここで終わると綺麗なのですが、正直、この炎上でメンタルがめちゃくちゃになって感覚が麻痺しているだけという可能性も少しだけあります。1日経って冷静に思い返してみると、『黒鉄の魚影』、まさに私が『RRR』の記事で書いたような苦手要素ばかりだった気もするので……。
今たまたまそういうシーンを観ても感情が動きにくくなっていただけで、数ヶ月経ったらまた楽しめなくなっているかもしれないし、もしくは、あの記事に書いた内容が実は自己分析としても全然正しくなくて、私は潜入モノも悪役も苦手ではなかったのかもしれません。
ただ、少なくとも今回のコナン映画はとても楽しめたし、非常に充実した2時間を映画館で過ごすことができました。そのことがとても嬉しいし、それはたぶん『RRR』を観ていなかったらそう思えなかったかもしれません。
というかそもそも炎上していなかったらこの映画を観に行っていなかったと思います。コナン映画を観るという発想も、映画館に行くことありきで観たい映画を探す体験も、これまでの自分の人生で一度もなかったので……。
そういった偶然の出会いによって面白い映画に出会うことができたのも良かったなと思うし、その体験の嬉しさをどうしても書きたくて、元の記事とは直接関係ない映画の話を無理やりしてしまいました。
今後の映画との向き合い方
今回観た『黒鉄の魚影』によって、人が死ぬシーンの出てくる映画に対する苦手意識は多少なりとも払拭することができましたが、
では今なら『RRR』を楽しめるかと訊かれると、それはやっぱり難しいんだろうな、とも思っています。
特に実写映画での、痛そう、辛そう、という感覚については、フィクションの出来事だといくら頭でわかっていても、どうしても自分と切り離して観ることが難しそうだし、他にも自分が苦手なままの描写はたくさんあると思います。
そういった作品を絶対に観なければならないわけではないというのも事実なので、それは今後は気をつけて上手く避けながら生きていきたいと思います。
ただ、映画自体を二度と観たくないという気持ちは、『RRR』を観た直後には確かにありましたが、今はそこまでではありません。
むしろ、今まで自分が苦手なジャンルだと思い込んで避けてきた『コナン』が楽しめたことで、これまで触れてこなかったエンターテインメントの中で自分が楽しめるものはもっとあるんじゃないか、という期待も少し膨らんでいます。
なので今後も、そういうものへの興味を完全に失いたくはないと思っています。もちろん念入りに下調べして、明らかに合わなさそうなものに出会ったら無理せずすぐに退席する、という前提の下、ですが……。
ちなみに、「そんなに苦手なものが多くて普段いったい何を観て生きてるの?」というツイートをいくつか見かけましたが、これの答えとしては、そもそもフィクションをあんまり観ていない、ということになるのかな、と思います。
具体的な作品・人物名を挙げることは控えますが、音楽、お笑い、ゲーム、テレビ、ラジオ、YouTube、ライブなどのエンタメは凄く好きだし、そこに毎日かなりの時間を使っていて、そのライフスタイルが自分に合っているというのもわかっています。
だから普段、映画やドラマなどはほとんど観ないのですが、今回の『RRR』はまさにそういうラジオやYouTubeで名前を耳にする機会が妙に多かったんですよね……。
普段映画を観ない人がたまたま『RRR』を観に行くなんておかしい、みたいなツイートも見かけましたが、普段映画を観ていないからこそ、それがおかしいことにも気づけなかったのかな、と思っています。
この記事を書いた理由について
ここまでの内容で、元々の記事と今回の件について頂いた疑問や批判に対する説明、謝罪したい部分について、私の中ではある程度書き尽くしたつもりなのですが、いかがだったでしょうか。
拾えていない部分があったら申し訳ないですし、これでもまだ言葉足らずな点があったらそれは私の至らなさによるものです。申し訳ありません。
ここからはさらに余計な自分語りになってしまいますが、本当は、最初に炎上が始まった段階では、この件について自分からこれ以上言及するつもりはなかったし、もっと言えばそもそも記事を消すつもりもありませんでした。
あの記事自体に対して寄せられた大量の反応を見て、すぐにでも訂正したい、説明したいと思うところも多々ありましたが、
それを後から追記したり、今さら謝ったりしたところで、一度炎上したものがどうにかなるわけではない、むしろ火に油を注ぐだけだろうから、自分の中で反省して、今後の自分の糧にすれば十分だと考えていました。
ところが、その後、彼女が名乗り出て補足してしまうという、想定外の事態によって、記事の内容が、ある特定の人物間で起きた特殊なケースにまつわる話に変わってしまい、こうなると、これ以上記事を残していても単なる個人批判になってしまうのではないかと不安になりました。
また、自分が一切のリアクションを起こしていない中で彼女に何が起きるか全く想像がつかず、正直テンパってしまって、どうにかこれ以上話が大きくならないようにという一心から、彼女にはアカウントに鍵をかけるようお願いして、私も記事を削除することにしました。
しかし、その一連の事後対応によって、炎上というネット上の人格に起きた出来事と、自分や彼女といった実在の人間との距離が接近し、批判の内容がより生身の人間に向けられたことで、その内容をダイレクトに喰らってしまい、精神的にかなり疲弊してしまいました。
炎上から距離を取るという当初の方針も守れておらず、ただ自分を否定された事実が残っただけになるし、私はそれでも別にnoteのアカウントごと消せばそれで終わりなのですが、匿名ではない形で注目を浴びてしまった彼女にとっては、今後もその汚名が残り続けてしまいます。
であれば、こういう展開になってしまった以上は、まるで炎上なんて気にしていないかのように立ち回ろうとしても意味がなく、それよりも、今の自分が考えていること、謝りたいこと、説明したいことをちゃんと書きたい、と思いました。
特に、あの記事の内容について共感や同意のコメントをくださった方、そこまで行かなくても配慮あるコメントをしてくださった方に対する感謝は伝えられていないし、好意的に捉えてくださった方々には反応したいな、という気持ちも生まれました。
炎上の最中はどうしても批判的なコメントばかりが目に付いてしまったのですが、改めて元記事に寄せられたコメントを読むと、暖かい言葉をかけてくださった方もたくさんいて、そのことにとても救われたし、この記事の内容がそういった方に届けば良いなと思っています。
もちろん、あの記事を読んだ方の多くが怒りや不快感を覚えるのは当然で、それは何もおかしくないし、そういった方はおそらく私がこれ以上何をしても余計に嫌な気持ちにさせてしまうだけだと思います。
この記事を読んだことでますます不快になった方も間違いなくいらっしゃるでしょうし、しかも謝罪記事でありながら全然関係ない別の映画の話までしてしまっているし、この騒動と自分のことを一日でも早く忘れてもらうことだけ考えたら、絶対に書かない方が良い記事であることもわかっています。
それでも、たった1人であっても、この記事を読んで、今回の件についての印象が変わった、納得できた、という方がいることを願っています。
これで印象が変わらなくて批判的なコメントがたくさん来たとしても、それも自分が引き起こしたことなので仕方ない、とも思っています。
……という覚悟を一応してはいるものの、今回の記事はもう本当に自分の考えていることをそのまま書いたので、何を言われてもダイレクトに傷つくに違いなく、正直上げるのも怖くて仕方ないです。お手柔らかに扱って頂けたら、とても嬉しいです。
これだけ多方面に喧嘩を売った身で今更そんなことを言うなんて都合が良すぎるというのは百も承知なのですが、それでも、
こういう文章の向こう側にいるのが、心のないAIでもなければ、炎上商法でお金を稼ぐことを狙っている故意犯でもなくて、こんな、誰が見ても本人に非がある馬鹿な炎上でしっかり傷ついて仕事を休んだりする、ただの人間であるということは、少しだけでも配慮してもらえたら嬉しいです。
今回のことは明らかに自分が気をつけていれば避けられた炎上であり、全面的に自分に非があるので、他の誰かに責任転嫁するつもりは全くありません。当然、件の記事について寄せられたコメントについても、全て自分が招いた種であり、何を言われても仕方がないと思っています。
それでも、例えば記事を削除した後に来たコメント、
なんかは、たとえ相手がどんな人間であったとしても、言っていいわけがないと思うので……。どうかよろしくお願いします。
おわりに
元の記事の2倍近くという長さの記事にお付き合い頂いた皆様、本当にありがとうございます。ここまで読んで頂いただけでも感謝の意に尽きます。
最後に、1つだけ。
件の記事の本文は既に削除して読めない状態にしていますが、それについて、「読みたかったのに消された」などの声を少数ながら頂きましたし、後からこの騒動を知って、「結局大元の記事はどんな内容だったんだろう」と思っている方や、今回の記事を読んだ上で改めて読み返したいという方が、もしかしたらいるかもしれません。
そこで、この記事の有料部分に、元の記事の内容を全文掲載することにしました。
まず、ここまで書いてきた通り、私自身、あの記事の内容や表現については深く反省し、多くの部分を撤回したいとも思っているので、それを再び誰でも読める状態にするのは明らかに適切ではないと思います。
しかし、ここまで多くの方に読んで頂いた文章を、完全に読めない状態にしてしまうのも違うのかな、という気持ちもありますし、
今回のこの記事が単体では成立していないので、これを公開する以上は、元の記事についても読む方法はあった方が良い、そして、この記事を読んでもらった上であれば、そちらを読んでもらう価値もあるのではないか、と感じました。
元々無料で公開していた記事であり、追加の情報も一切ありませんが、興味のある方や、この記事を読んだ上で改めて読み返したいという方がもしいれば、ご購入頂けると幸いです。
この記事をここまで読んで頂いた上で、これを炎上商法だと言われるのであればそれはもう仕方ないと思っています。こんなことを最初から計算して仕掛けられるような人がいるわけないし、いたとしてもこんな記事は書けないと思うので……。
万が一この記事の有料部分がたくさん売れるようなことがあったら、その時は……彼女と映画でも観に行こうと思っています。どうかよろしくお願いします。
最後に改めて、元々の記事の内容によって嫌な気持ちにさせてしまった方、申し訳ありませんでした。そして、そのような騒動の後でもなお、このような文章を最後まで読んでくださった皆様に、心からの感謝を申し上げます。
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