マガジンのカバー画像

小説

19
運営しているクリエイター

#短編小説

人喰いデジタルサイネージ(短編小説)

みずきは、自分の背丈もあるその動画、デジタルサイネージの表面をタップした。 すると、みず…

千縁
8か月前
16

ナユタとAI猫ロボットの弥太郎【短編小説】

ぼくたちの目の前には青い地球が浮かんでいた。 「きれいですね」 弥太郎はぼくの隣に並んで…

千縁
9か月前
15

金魚と君とぼく(短編小説)

ぼくの家には金魚がいる。 金魚の「きんちゃん」と娘が名前をつけた。 きんちゃんは娘が縁日…

千縁
1年前
11

その花が咲いた日(短編小説)

ぼくはある日拾われた。 ぼくを拾ったのは、まさよさん。 今、カチャカチャいわせながら、キ…

千縁
11か月前
12

あやかしと柳ぎんと町娘(短編小説)

「きゃひゃひゃひゃ〜」 椿が声のする方を見ると、柳ぎん(やなぎん)がの廊下や庭木に飛び回…

千縁
1年前
11

作家のふやけた米粒(短編小説)

作家は人生の天と地を経験したほうが、より濃く鮮明で深い感動を与えることができるのか。 す…

千縁
1年前
9

分子再構築の果て(短編小説)

 ぼくはドーム型の機械に体を横たえた。今回のプログラムに必要な電子線はすでに蓄積させておいた。 あとはぼくがここに体を横たえて眠るだけ。 肉体を変貌させるのに必要なカロリーと体組成に必要な栄養分は、この人口ポートから輸液で賄う。 一週間後にはぼくはプログラムされた肉体を手に入れるだろう。 「さて、いこう」 ブッン……。ウィーーーン。カシャ。 ぼくを包むドームは光のベールで一瞬包まれてから、蓋が自動でしまった。 ぼくは分子再構築、自動操縦モードで、まず、脳波に当てら

お弁当箱の四隅(短編小説)

お弁当箱を洗っていた。 四隅に汚れが残っていないか、すすぎながら指の腹で確認する。 ヌルヌ…

千縁
1年前
17

一瞬の恋(短編小説)

その日は雨だった。 ぼくは、雨の商店街を行きかう人の中に、その人をみつけた。 傘で隠れて…

千縁
1年前
12

夢のあと咲き(短編小説)

「おかあさん、またね」 声が聞こえた気がした。 ハッと目が覚めると、私は病室にいた。 なん…

千縁
1年前
9

土曜の夜の恋人(短編小説)

彼女がくるのは、決まって土曜の夜だった。 私の店はカウンター席のみの小さな居酒屋で、通り…

千縁
1年前
19

ハコフグ型手乗りロボット、ハコやん(短編小説)

「モード。再開」 わたしが言うと、ピピっという音とともに胸ポケットから小さなロボットがと…

千縁
1年前
12

スマホっ首外来(短編小説)

皆一様に猫背で、斜め下を見つめ、手の先にはスマホを握りしめている。 外来の診察室前にはそ…

千縁
1年前
11

あなたといつものテーブルで(短編小説)

未来の日本、東京21××年 「あなた、朝ごはんですよ。」 70もすぎた老婆が、夫を朝ごはんのテーブルに呼ぶ。彼女の夫は有名な元物理学者の権威だ。5年前、脳出血で帰らぬ人となった。 「ああ、いまいく。」 しかしよばれた夫は機械の音をさせながら近づいてくる。 ほら、ここに座って。優しく妻が食卓の椅子をひくと、夫はぎこちない動きで腰をかける動作に入った。 座ると新聞を広げ、頭をかく。新聞を見たまま、頭をかいた手で湯呑み茶碗に手を持っていく。湯呑み茶碗を持って口に運ぶ。湯呑