R. シュトラウス:明日(終わらせる)
晩夏、素敵な響き。夕方の風が夏の終わりの気配を含んでいることに気がついたときはとても嬉しい。それはたいがい部屋の中が薄暗くなって、そろそろ水撒きをしなくてはと外にでた時で、ヒグラシがカナカナカナカナと鳴き、赤く染まった雲が紫とピンクの空に浮かんでいる。
今年もずいぶん暑かった。灼熱の日々は永遠に続くかと思われたけれども、夏はちゃんと終わりに向かっているのね。
どんな「終わり」にも「慰め」が含まれていることを感じる。夏の終わりの夕暮れはピンクで優しい。ぼんやりして、何が終わったのか、終わっていないのかわからなくなっていく。クリアに見つめないほうがいいこともあるのだ。
おそらく問題は残したままだが、とにかく終わる。とにかく終わって、暑い夏は来年までこない。また来年、未解決の問題に圧倒されるとしても、どう耐えるかは来年考えよう。とにかく、それまでは棚上げでいい。今年も難局に耐え、急場をしのいだから。「また後で考えよう」そう誰かに慰められれば終わらせられる。
いずれまた戻ってきて奮闘する。未来の私よ、健闘を祈る。根拠のない期待に祝福あれ。何もかもぼんやりするピンクの空に包まれて希望を抱けることに感謝を。ピンクの夕暮れに乾杯。
夏の夜は、そもそもそれだけで夢の中のよう、世界のディーヴァ(歌姫)ディアナ・ダムラウが登場したパリの夏の音楽祭の野外ステージもピンクの照明が印象的だった。
ディアナ・ダムラウ R. シュトラウス:明日
2017年7月14日のパリ祭でルノー・カプソン(ヴァイオリン) ワレリー・ゲルギエフ指揮フランス国立管弦楽団
あまりに美しいので、何を歌っているのかしらと思い、ちょっと調べてみました。
R.シュトラウス:明日
Und morgen wird die Sonne wieder scheinen,
und auf dem Wege, den ich gehen werde,
wird uns, die Glücklichen, sie wieder einen
inmitten dieser sonnenatmenden Erde . . .
明日もきっと明るい陽射しが降り注ぐでしょう
私が歩むこの道の上に
幸せな私たち二人は、その時また一つになる。
陽射しを吸い込むこの大地の真ん中で・・・。
うーん、うっとり。
昔気に入って切り取った雑誌のページ。淡いピンクのテーブルクロスに、たくさんのピンクのキャンドル、濃いピンクのカメリア、遠くにぼんやり映るピンクの海と空。夏のピンクの夕暮れ。