モンゴルに5年間住んでいて驚いたこと
日本語教師としてモンゴルに5年ぐらい住んでいましたが、モンゴル人は顔が似ているとはいえ、文化は違うことがたくさん!毎日驚きとツッコミの日々でした。
足が当たったら握手をする
道や校内などで、足が当たってしまうことありますよね。そんな時、モンゴル人からは手が伸びてきます。一説によると喧嘩を避けるために握手するそうです。がっちり握手、というより、軽く手を握ってしゅっ、と放す感じです。これができるようになったらモンゴル人の仲間入りかも。
授業中、席が前後の二人の足が当たったら、前の子が後ろを振り返らず手だけ差し出していることも。器用だね〜と思いながら見ていました。道では知らない人でも握手するそうです。
好きな人にはわざと足をぶつけるという噂も…
そんな人たちなので、日本に来ると、足が当たった時に日本人に対しても手を差し出してしまい、気まずい思いをするモンゴル人が続出します。
先生の筆箱からペンを借りていく
「人のものは私のもの」というか、所有の概念が弱いらしいです。遊牧民は土地を所有しないですからね。テスト中の消しゴムの貸し借りもしょっちゅうで、困りました。
極め付けは、私が授業をしているときに、教卓の目の前に座っていた生徒が私の筆箱をゴソゴソしてペンを使ったこと。びっくりしました〜
許可なく持っていかれるので、大切なものは学校に持っていかないことにしました。先生の机に置いておいても、他の先生が貸し出しちゃったりね。
友達のスマホのパスワード知ってる
これも「人のものは私のもの」エピソードですが、友達のスマホのロックを解除できる人が多い。あんまり気にしないみたいですね。
電話番号覚えがち
これは今どうかわかりませんが、家族、友達などとにかく電話番号をよく覚えています。モンゴルの電話番号は8桁なのですが、職員室で「◯◯先生の電話番号…」というと、他の先生が番号をさっと言ったりするんです。モンゴル人はもともと文字を持たない民族だったから記憶力が高いのか、覚えていた方が合理的だからなのかわかりませんが。
計画立てない、火事場の馬鹿力がすごい
計画を立てて物事を進めるのが苦手なモンゴル人。私もそんなに計画が得意な方ではないですが、それでも何度も「なんで計画してないの?ちょっと考えればうまく行くじゃん」とイライラしていました。逆に、私が普通に働くだけで「すごい」と言われる始末。
その分、火事場の馬鹿力はすごいです。直前になったら(ちょっと無理してるところもあるけど)ものすごいスピードで物事が決まり、ちょうどいいところにおさまります。まあ、効率的といえば効率的か…
ちなみに、火事場の馬鹿力はモンゴル特有のものではなく、他の国でも見られるようです。
肉を食べないと元気じゃない
私は野菜を食べないと元気じゃないと思っているんですが(小さい頃「野菜食べなさい」って言われますよね)、モンゴルでは肉らしいです。
私が初めてモンゴルへ行った日の夜、私は野菜が食べたくてサラダを食べていたのですが、肉を食べたらモンゴル人(レストランに連れて行ってくれた)が満足そうにうなづきました。肉を食べて欲しかったらしいです。
車でちょっと走ったら草原
首都ウランバートルは都会ですが、それでも車で30分走ると草原です。羊や馬がいるので、初めてモンゴルに来た人は大興奮。ちなみに、草原に出たらそんな景色ばっかりですぐ飽きます。騒がなくなるけど、やっぱり草原の景色はいいですね。
みんな馬に乗れるわけではないが、乗れる率は高いし、車を馬だと思ってる
モンゴル人って遊牧民だからみんな馬に乗れるんでしょ?と思いますが、最近のシティーキッズは馬に乗れない子もいるそうです。それでも、馬に乗れる率はかなり高いです。
それに付け加えると、車を馬だと思っている人が多くて、すれ違えないような細い道でも、とりあえず行けるところまで前に進めます。それで、対向車が来てどうしてもすれ違えないってわかったら、どちらかが譲ってバックするか、喧嘩するかするみたいです。日本なら「そろそろ無理だな」と思ったら止まって先に対向車を通しますが、馬は後ろに下がれないからね。普通に走っていても空きあらば割り込んでくるので、怖いです。本当にモンゴルで運転できる人はすごいです〜
すぐ風邪引く
「風邪予防」って概念があまりないみたいなんですよね。風邪をひいてからどうするか考える、みたいな。コロナで少し概念が変わってるといいですが。
ちなみに、風邪をひいたときはラクダのミルクがいいとかなんとか…
一人っ子でも「お姉さん」がいる
前、一人っ子だと聞いた生徒から、「私のお姉さんが〜」という話を聞いて驚くこともしばしば。よく聞いてみると、(従兄弟の)お姉さん、とか(親戚の)お姉さんとか、(血縁的にはおばさんだけど若いから)お姉さんとか、そういうことらしいです。確かに、モンゴル語だと「お姉さん」って呼んでます。それがそのまま日本語になってしまうんですね。その辺りの細かい関係性はどっちでもいいらしいです。
ちなみに、モンゴルのレストランのウェイトレスさん(死語)も私は「お姉さ〜ん」って呼びます。男の人だと「お兄さん」。日本のレストランでもつい「お姉さん」って日本語で呼びがち。
外国語はロシア語
1990年に民主化したモンゴル。それ以前は外国語といえばロシア語で、ロシア語が流暢な人が多いです。英語でコミュニケーション取れないなぁ、と思った先生は実はロシア語がペラペラだったり、年配層から私が「外国人」だからと、ロシア語で話しかけられたりしました。ロシア語わからんのよ〜。
90年代以降に教育を受けた、最近の若い人は英語が第一外国語です。
ピクルスの汁飲んでる
これもロシアの文化の影響なのでしょうが、ピクルスをよく食べます。瓶詰めのピクルスが、スーパーに売っています。羊の肉に、さっぱりしたピクルスがよく合うので私も大好きですが、ピクルスの漬け汁をごくごく飲む人を見てびっくりしました。確かにおいしいけど、ごくごくは飲めないかなぁ…
知らない人から肉が届く
これは地方からウランバートルに来て勉強していた学生の話ですが、「知らない人から電話がかかってきた」と言って電話を取りました(知らない人から電話がかかってくるのもよくあること)。後で聞いてみると、「(田舎に住んでいる)家族からの肉が届いたから、取りに来てと言われた」と。どういうこと?と聞くと、
田舎の家族が、ウランバートルに行く人(知り合いか知らない人かわからないけど)に肉を託した
↓
肉がウランバートルに着いて、運び主が肉の包みに書いてある番号(娘)に電話した
↓
娘が指定された場所に受け取りに行った
あまり宅配便が発達していないモンゴルならではですね。こうやって、持ちつ持たれつ、助け合いで成り立っているのです。ってか、家族から生の肉が届くってのも謎でしたけど。日本だと実家で採れた米が送られてくる感覚なんでしょうか。
住所が謎
住所っていう概念がないらしく(あるけど)、郵便物は家ではなく近くの郵便局の私書箱に届くシステムらしいです。私は学校の敷地内に住んでいたので、学校名だけ書いておけば届くようになっていました(一応住所も書くけど、住所書かないで手紙を送ってきた日本人がいて、学校名だけで届くことが証明された)。そういう大きめのランドマーク的なところはいいですが、個人だと郵便物が迷子になることもあるそうです。怖い。
困るのは、人の家にお邪魔する時。「この地区のこのお店の裏の…」みたいな説明をされるので、かなり難しいです。アパートは同じような入口ばかりだし、知っている人と一緒じゃないと訪問できないです。
やっぱり、まだ土地所有の概念が希薄なのかなぁ…遊牧民は土地を所有しないからね(2回目)。
まとめ:合理的といえば…
合理的といえば合理的、もうちょっとなんとかなるんじゃない、と思ったことも何度もあります。でもさ、このなんかちょっと大雑把な感じが、細かいことを気にする日本から比べると生きやすくもあります。困ったら誰かが助けてくれるのは心強かったですね。