「障害当事者とクリエイターの共創の場を増やしたい」with 一般社団法人PLAYERSタキザワケイタさん
W Innovators :障がい当事者とクリエイターが企画チームを作り事業開発に取り組む場を増やしたい、中塚智恵です。
↓詳しく知りたい方は、前回の記事に書いています。
そこで、6月の第一回目のオンラインワークショップ開催に向けて、たくさんの方にアドバイスをいただいたり、意見を参考にさせていただいています。
今回、一般社団法人PLAYERS および PLAYWORKS株式会社の代表であるタキザワケイタさんに「障害者と事業創発する」事業の裏側を伺うことができました。タキザワさんの考え方に共感した点や参考になった部分が多く見つかったので、まとめさせていただきます。(タキザワさん、ありがとうございます。)
共感ポイント:アイディア初期から当事者を巻き込む事業開発で、熱狂を作るスタイル
PLAYERSさんのホームページに行くと目に留まるのが、こちらのミッション。視覚障害・聴覚障害などの障害当事者とクリエイターが一緒にブレストし、プロトタイプを作り、実証検証まで行います。リサーチ・コンセプトデザイン・UXデザイン・プロトタイプ開発をアジャイルで実行することを得意とし、ブレスト中も、目隠しをしたり、耳栓をしたり、参加する人全員が同じ体験を共有することで、困りごとやワクワクすることを膨らませていきます。
その中で印象に残っている言葉は、
「マイナスをゼロにするだけではなく、マイナスからプラスを生み出す」
「熱狂するものを作る」
「できないことをできるようにする」視点だと、コンセプトが小さく収まってしまうのですが、そうではなく、
「本当はやりたかったこと、熱狂できるものを考える」視点。いつの間にか、できないと諦めてしまっていた心の箍を外し、夢幻な可能性でブレストしていくことで、想像を超えた斬新なモノが作り出せる。
革新性を追い求めるには、この考え方だ!と改めて軸の確認ができました。
&HANDの経験より
一般社団法人PLAYERSさんで取り組まれている、&HANDプロジェクトの中で、とても興味深いお話をいただきました。
&HANDとは、妊婦さんに電車で席を譲りやすくなるよう開発されたデバイスです。妊婦さんは席に座りたくても満員電車だとお願いしにくい。席を譲りたいと思っている人も、お腹が明らかに大きくないと声を掛けにくいなんてこともありますよね。そんな時、&HANDデバイスを持っていれば、席を譲りたい登録者にLineで通知が行き、気兼ねなく席譲りができ、
そして、席譲りで人が繋がることを可能にしました。
ご覧の通り、東京メトロで実証実験も行われました。しかも、このデバイスを届けてみると、視覚障害のある方にとっても画期的なサービスであることがわかりました。普段、席を譲られる側になりやすい視覚障害のある友人から、「このデバイスがあると、妊婦さんが近くにいることが通知によってわかり、自分も席を譲ることができる」と喜ばれていたそうです。
そう、障害者も、手を貸してほしいというニーズだけではなく、人の力になりたいと思っている方も多くいます。そんな当たり前のことを可能にし、手を貸したいあらゆる人の思いを繋げるデバイスになっていました。
PLAYWORKS Inc.のファシリテーション力にも注目です
現在は、必要不可欠なオンラインワークショップでのファシリテーションスキルを磨ける、「ONLINE WORKSHOP」を開催されているので、覗いてみてくださいね。グラレコやレゴを使ってビジョンメイキングするファシリテーションは、一般の人だけでなく、障害のある人が参加されてもコミュニケーションが活発に進む方法を、自身で開拓されています。
W Innovatorsとして心得たこと
・当事者とクリエイターが共創する確信が持てた
・関わる人全員が熱狂できるものを見つけていくこと
・「障がい」という概念ではなく、人間としての感性を突き進めると目標に近づきそうだということ
・「デザイン思考」を共通言語として企画チームを作ること
・プログラム内容は自身で開発していることに勇気をもらった
・障害者とクリエイターとの関わり方には違いがあった。
→W Innovatorsの最大のチャレンジは、「障がいのある人もない人もクリエイターとして企画チームに参画する点」であり、強み(磨く部分)だとわかった。
という決意ができ、方向性の再確認ができました。
改めて、タキザワケイタさん、ありがとうございました。
情報協力
一般社団法人PLAYERS: https://www.players.or.jp/
PLAYWORKS株式会社: https://keitatakizawa.themedia.jp/
&HAND: https://www.andhand-project.com/
調査・アドバイスのお願い
引き続き、共創の裏側や当事者経験を伺い、共創の場を盛り上げていきたいと思ってます。アドバイスを頂いたり、参考にさせて頂きながら、共創の在り方を共に考えていけたら嬉しいです。当事者とクリエイターとの共創に携わっている方、商品開発に携わっている方、当事者の方、一緒にモノ作りを盛り上げてくださる方、こちらよりご連絡ください。
https://2020.etic.or.jp/actions/w-innovators/
責任者:中塚智恵
理学療法士・障がい者向け旅行スタッフを経て、障がい者・介護者の視点を事業開発に繋げる視点を養う。W Innovatorsを立ち上げ、障がい者と障がいのない人のクリエイティブの掛け合わせをデザイン・対話から生まれる進化を手がける。企業・起業家・クリエイター・障がいのある人の挑戦をバックアップ、W Innovatorsの事業化を目指す。