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【マンガ感想文】初めて『悪役令嬢転生おじさん 第1巻』を読んだら、誰も悪人がいない優しい世界が広がっていた話。
どうも!
普段は主に小説の感想文をしたためている遅読です。
そんなわたくしですが、最近気になっているアニメがあります。
それは、『悪役令嬢転生おじさん』!
いやだってねぇ……
こんな動画がTLに流れてきたら、観ないわけにはいかないっしょ。
井上和彦さんとM・A・Oさんのマツケンサンバ!
作画もいいし、歌声もいい。
TLで流れてくるツイート ポストも、賞賛ばかり。
そこから読み取った情報によると、どうも原作は漫画らしい。
Twitter(現X)やpixivで無料公開版もあるらしく、さっそく探して読んでみる。
なんとpixivでは商業版の1話と2話まで読めちゃう。太っ腹。
#悪役令嬢転生おじさん ツイッター版第1話はこちらhttps://t.co/ZMnFRSluFx
— 上山道郎 (@ueyamamichiro) June 25, 2020
お、面白い……!
これ、マジで無料で読んでいいんです?
いやいや、やっぱりコミックス版も読みたい……!
というわけで、さっそくAmazonでポチッてきました。
紙の本は売り切れ続出らしく、Kindleで購入しました。
こういうときKindleって便利ですよね。
というわけで、あらすじをペタリ。
『悪役令嬢転生おじさん 第1巻』
52歳の真面目な公務員・屯田林憲三郎は交通事故に遭う。気が付いたらそこは学園舞台の乙女ゲームのような世界…しかも校内一高飛車なオーヴェルヌ侯爵家の令嬢グレイスに転生してしまい!?
次マン2020コミック部門4位の期待の新作!
公式HP より
いつものように前半はネタバレなし、後半はネタバレありで感想を述べてゆきます。
ネタバレなし感想
この漫画の一番の特徴として、誰ひとりとして悪人がいないという点が挙げられるでしょう。
転生ものというと、主人公が理不尽な目にあうことがしばしば。
特に悪役令嬢ものは婚約者が浮気ヤロウだったり、理不尽な理由で婚約破棄……なんてのがお約束だったりします。
そういう、わかりやすい悪役が主人公の活躍によりやり返されて、「ザマーミロ!」とスカッとするのが醍醐味なわけで、まあ私も嫌いではない。
そういう勧善懲悪ものが読みたくなる時だってある。
ただ、この歳になると、そういう濃い味つけの話がしんどくなるターンがくるわけです。
だって人間関係のドロドロとか、ひどい言葉で傷つけてくるヤツとか、現実で嫌というほど見てきたんだから。もうお腹いっぱい!
そんな時には、このマンガがオススメです。
この話は、とにかく優しい。
主人公のおじさん(屯田林 憲三郎)は事故により悪役令嬢グレイスに転生してしまうのだけれど、ちゃんと常識的な社会人。
周りの子たちを親のように温かく見守り、時に教え導いてくれる。
元の世界の家族とも円満で、現実逃避から異世界にきたわけではない。
ゲームのヒロイン・アンナは、そんなグレイス=憲三郎に憧れ、淑女の手本として慕っている。
攻略対象の男性陣も、みんないい子たち。
憲三郎が憑依したことで丸くなったグレイスを見直していく。
そのグレイスだって、『悪役』ではあるが『悪人』ではない感じ。
もともと悪い子じゃないんだろうな〜ってのが伝わってくる。
クスッと笑えて、ほのぼの平和な転生もの。
肩肘張らず、気軽に読めるのが嬉しい。
それに、おじさんは古のオタクでもあるので、話が早い。
おかげでテンポよくストーリーが進む。
おじさんがなぜ『乙女ゲーム』や『悪役令嬢』、『転生』という状況を一瞬で把握できたかも、このあたりに起因している。
「なんで?」と疑問に思った人は、ぜひ本編を読んでほしい。
ちゃんと納得のいく設定が用意されてます。
なんならそのあたりを説明している第1話は、pixivにて無料で読めちゃうので、まだ読んでない人は1話と言わず、2話まで読んできてください。
上のほうにリンク貼ってます。
なお、作者の上山道郎先生は1990年から漫画家活動をしているベテラン漫画家。ほぼ私が生まれたころから活動されておる……。
小学生のころはコロコロコミック派だったわたくし、氏の代表作である『機獣新世紀ZOIDS』はリアルタイムで読んでおりました。
ぶっちゃけ、当時お気に入りの漫画のひとつだったり。
だから今回、こんな形で氏の作品に再会できるとは、感動すら覚えます。
いやあ、いい時代になったなぁ。
そんなベテラン漫画家さんが描く悪役令嬢ものなので、世界観やキャラクター、お話の作り方など、かなり技巧的なものを感じます。
読んでいて安心感がありますね。
もしあなたが昨今の『異世界転生もの』や『悪役令嬢もの』に飽きていたり、苦手だと感じているならば、この作品はオススメです。
少しでも気になったならば、ぜひ無料公開分だけでも読んできてください。
ハマること間違いなしです。
以下、ネタバレあり感想
第1話「52歳の公務員」
序盤から疾走感がすごい。
たった1ページで転生しとる。
いわゆる『トラ転』(トラック転生=主人公が転生する死因がトラックによる交通事故であるもの)なんだけど、なんならトラ転シーンは1コマで終わる。
早い、早すぎる。
(↑このセリフで「風が語りかけます……」とか連想した人、さては埼玉県民ですね?)
そんでもって、最初から攻略対象の王子や従者が顔見せしていたり、獣人のメイドが出てきたりする。
この間わずか5ページ前後。
転生する前のグレイスも出てくるのですが、たった1コマで、
「言われる前に自分で出来ること……」「……事を見つけることこそ使用人の……」「遅い!」「雑!」「もっと効率よく動けませんの」「丁寧な仕事でなければ」
と、キツい性格だったことがわかるわけです。
しかし、よく見てみると、たしかに言い方はキツいんだけど、理不尽なことは言ってないことがよくわかる。
あれ、この子、やり方が悪かっただけで根は悪い子じゃないのかも……なんて、たった1コマでわかる。
漫画力が高すぎる。
そして回想。
どうやら家族してオタクだった屯田林家、娘の日菜子はリビングのテレビで堂々と乙女ゲームをプレイしており、それを見て「立派なオタクに育ったな〜」と嬉しげなおじさん。
めっちゃ仲良いな〜。
しかも、これでおじさんが『乙女ゲーム』や『悪役令嬢』のことを知っていた理由に説明がつくわけです。
いや〜、鮮やか!
しかも2ページで説明終了!
個人的に、家族ぐるみでオタクに理解があるあたり、めちゃくちゃ親近感が湧きました。
我が家も似た感じだったので。
なんなら私もリビングで親と一緒にドラクエとかやってた。懐かしい。
そんな家族仲のいい屯田林家だからこそ、おじさんがトラックで轢かれた後のことが心配。
こんないい娘を泣かせるのは嫌だなぁ……。
いつかおじさんが元の世界に帰れたらいいけど。
噂によると、作者がハッピーエンドにすると公言されているそうなので、なんとなく大丈夫そうな予感はしてます。
自分が置かれている状況に混乱しつつ、「悪役令嬢としての役目をまっとうするのが使命なのだろう」と考えるのが斬新ですよね。
おそらく憲三郎の『悪役令嬢』知識がキャンディキャンディのイライザだとか、ライバル令嬢ならお蝶夫人や姫川亜弓……とスポ根系お嬢様に偏っているからでしょう。
主人公が成長するための『越えるべき壁』という認識というか。
もし「このままだとグレイスは破滅する」とかなら、元の彼女のためにもできるだけ穏便に……とか考えた気がする。おじさんは優しいから。
そんな優しいおじさん、本来ならつらく当たらなきゃいけない場面で、ついヒロイン・アンナに親目線で優しい言葉をかけちゃう。
うーん、まともな大人だ。
主人公が未成年者の作品だと、「周りの大人たちは何しとる!?」と言いたくなることも多いから、憲三郎の存在は安心感がある。
頼りになる大人って、いいですよね。
温かい言葉をかけられて、つい泣きだしちゃったアンナは、きっと新しい環境で無意識に心細さを感じていたんだろうなぁ。
登場こそ希望に満ちた顔だったけど、まだ若い彼女が緊張しないわけないんだよ。
グレイス=憲三郎の言葉で、どんなに救われたか。
一方で、ところどころ飛びだすおじさんあるあるも面白い。
カタカナの名前を覚えきれないとか、めちゃくちゃ共感する。
ファンタジー小説とか読んでると、「こいつ誰だっけ?」とページを戻ることが何度あったか……。
しかしおじさんは社会経験が豊富なので、相手の名前がわからなくても、とっさに機転をきかすことができる。
さすが社会人歴30年のベテランである。
第2話「優雅変換!」
転生ものといえばチート能力であるが、憲三郎に与えられた能力は『優雅変換』という、上流階級の淑女にふさわしい所作へ自動的に変換される能力。
これは設定が巧い。
中身がおじさんであっても、周囲に違和感を抱かせない理由づけになっているし、チートの理由も「体に所作が染みこんでいるくらい、元のグレイスが頑張っていたから」と説明がつく。
そのうえ、そこからクスッと笑えるギャグも生まれる。
そのせい(おかげ?)で、グレイス=憲三郎が悪役をまっとうしようとしても、つらく当たっているというよりは、教え導いているように見える。
というか、憲三郎が善良なせいで、面倒見のいい貴婦人にしか見えない。
きっと本来の彼なら、もっと柔らかくて、明らかに優しい口調で接しているのでしょう。
だから、憲三郎的には「つらく当たっている」つもり。
でも、どっからどう見てもお蝶夫人的というか、スポ根もののライバルお嬢様くらいの厳しさしかない。むしろ読者は主人公よりライバル令嬢のほうを好きになっちゃうし、なんなら主人公も憧れちゃうやつ。
実際、アンナはグレイス様の信者になりつつあるしね。
外食で「いただきます・ごちそうさま」を言い、残さず食べて、最後にお店の人に一言声をかける……って、日本では珍しくもないけど、海外だとどうなのでしょう?
最近は日本人でもやらない人が増えつつありますけど、こういう文化は大事にしたいですよね。
グレイス様に憧れて、周囲が彼女を真似し、やがて伝統になる……という流れは見ていて気持ちいいし、感動すら覚えます。
こういう正の連鎖っていいですよね。
第3話「これが攻略対象か!」
いよいよ生徒会メンバーと対面するグレイスとアンナ。
といっても、公爵令嬢のグレイスとは知己の関係みたいだけど。
ここで彼らのフルネームがようやく判明。
第一王子でグレイスの婚約者、ヴィルジール・ヴィエルジ。
生徒会保安部部長のオーギュスト・リオン。
生徒会副会長のリシャール・ヴェルソー。
生徒会書記かつ王子の従者、ピエール・ジェモー。
なんとなく珍しい名前だと思って調べたら、ヴィエルジ(vierge)は乙女座って意味らしい。
処女、童貞って意味もあるらしいけど。
なんか反対勢力から『童貞王子』って陰口叩かれてそう……(偏見)
もしかしてと調べたら、リオンはしし座、ヴェルソーはみずがめ座、ジェモーはふたご座だとか。
みんな星座しばりなのかな?
名前的に、実はピエールには双子の兄弟がいて、定期的に入れ替わってそう。
ではグレイス様のオーヴェルヌにはどんな意味があるのかと調べたのですが、どうやら星座は関係ないようす。
フランスのへそと言われるオーヴェルニュ地方からきてる?
なんかピンとこないので、どなたか有力な情報をお持ちでしたら教えてください。
さて、悪役令嬢として恋路の邪魔をしなきゃいけないと思いつつ、何をしたらいいのかパッと思い浮かばないおじさん。
どこまでも善良である。
というか、邪魔だけならもうできていることに気づいてない。
アンナ、あきらかに攻略対象よりグレイス様のほうが好感度高いもの。
なんならグレイス様ルートに入ってるまである。
「気づいてくれ」と突っ込みたい気持ちと、このまま気づかないでほしい気持ち、心がふたつある……。
部下の勤務評定のノリで客観的な評価を下せるおじさん、職場でも有能だったんだろうなぁ。
高圧的なスパルタ上司になろうとしつつ、そんなことに慣れてないせいで、またしても面倒見のいいお嬢様になってしまうグレイス=憲三郎。
なんならイメトレしたやつも、ちょっと厳しいスポ根系お嬢様にしか見えない。
「立ちなさい、ヒロミ!」
みたいな(私のお蝶夫人の知識は、上戸彩主演のドラマからきています)。
なんなら私もグレイス様から
「お覚悟はよろしくて?」
って言われてみた〜い!
神様、来世はグレイス様の後輩あたりにしてくれ。
よろしく頼む。
最後、「まあ、一緒に生徒会活動をしていれば、アンナがどの攻略対象とのルートに入るかわかるだろう」と頭の切り替えができる憲三郎、やはり仕事のできる男だ。
しかし、そんないっぺんにカタカナの名前を覚えきれない、またしてもおじさんあるある。
なんなら私もまだ覚えきれてないので、共感すら覚える。
おじさんと一緒に、ゆっくり彼らの名前を覚えていくことにしよう……。
そして、いよいよ魔法学園らしくなってきた、魔法の授業回。
魔法陣の設定がちゃんと作りこまれている。
古代魔術文字でなければ発動しないあたり、魔法陣が開発されてから、まだ歴史が浅そう。
古代魔術文字が一般的な文字として使われていた時代は、まだ魔法陣がなかったと見た。
だとしたら、魔法陣にはまだまだわかっていないことも多いんじゃないかな。
グレイス=憲三郎が漢字で魔法陣を発動できたのも、まだ発展途上の分野だからかもしれない。
もしくは、古代は今ほど識字率が高くなかったのかも。
魔法を使える人間のみが文字を覚えることができたのだとしたら、そのころから魔法陣を使っていても不思議ではない。
今回トラブルを起こしちゃったツッチーくんも、家庭教師について魔法陣の勉強をしてきたというのがイイ。
ちゃんと努力してきた子なんだな。
モブですらほのぼのできる漫画、それが『悪役令嬢転生おじさん』。
今回、多少文字が崩れても魔法が発動したのは、漢字が表意文字だったからでしょうね。
おそらく古代魔術文字は表音文字だから、こうはいくまい。
そう考えると、ファンタジーと漢字って相性がいいのかも。
第4話「うちのお嬢様がこんなに優しいはずがない」
第1話から出てきていた獣人のジョゼット回。
なんだかおじさんが子育てしているようで微笑ましい。
甘やかすのが上手なおじさん、なるほど日菜子が立派なオタクになったのもうなずける。
そして新キャラのドワーフの親方が渋くてカッコいい。
直せるか……だって?
お嬢さん、そいつは質問が違うな。
俺たちドワーフにはこう訊くんだ。
「いつまでに直る?」
答えは30……いやさ20分だな。
作・上山道郎
p97-98 より
か、カッコいい〰〰!!
言いたい言いたい!!
私にも同じセリフを言わせてくれ!!!!
なんか主人公の武器が壊れちゃって、今すぐ敵を倒しに行かなきゃいけないのにどうしようって時に、伝説の鍛治職人である私のところに駆けこんできて、
「直りますか?」
って聞かれた時に言ってみたい!!
そいつは質問が違うな……って言いたい!!!!
神様、来世はグレイス様の後輩、もしくは親方の弟子にしてくれ。
いや、後輩兼弟子でもいい。
グレイス様と仲よくなって、彼女を通じて親方に弟子入りしたい。
ひとつ頼むよ、マイゴッド。
そんな私のおバカな妄想はさておき、グレイス様の過去も出てきましたね。
これを見る限り、やはり本来のグレイス様は明るくて優しい子だったけれど、淑女教育で歪んでしまったのか……。
自分にも他人にも厳しいタイプなんですね。
自分が頑張ってるぶん、他人に要求する水準も高くなっちゃったんだろうな。
俺様保安部イケメンが
「悪いやつじゃないんだが、性格がキツい」
というあたり、根が悪い子じゃないのは周りもわかっていたのでしょう。
なんか、その『淑女教育』が今後のカギになりそうな予感。
己を追いつめるきっかけとなった出来事が、そのあたりにありそう。
ていうかグレイスの親御さんが一向に出てこないけど、彼らは一体どうしたのか?
毒親だったり、放置子だったりしたらやだなぁ。
最悪の場合、親がすでに亡くなってる可能性もある。
作者が考えるハッピーエンドに、彼女の幸せも含まれていますように。
なんなら憲三郎の父性で、頑なだったグレイスの心を解きほぐす展開になってほしい。
おじさんはきっと、みんなを救ってくれると信じてます。
頑張れ、憲三郎。
第5話「9で割る!」
おじさんが気づいた新事実。
乙女ゲーム世界の攻略対象は、髪の毛の情報量が多い!
……まあ、たしかに。
って言うか、乙女ゲームに限った話ではないよね。
モブが派手髪だと、視覚情報がごちゃごちゃして、頭に入ってこないもの。
それにしても、「髪でモテを強化できるのも若いうちだけだしね」というおじさんの説得力よ……(笑)
でも、憲三郎って一般的な50代より老けてみえるよね?
その歳でバーコードハゲって珍しいんじゃなかろうか。
アニメ版CVの井上和彦さん(70)のほうが若々しく見えるよ。
まあ、おじさんらしいビジュアルではあるんだけども。
そんでもって、一番髪が美しいのはグレイス様というオチ。
そらそーよね。これだけキレイな縦ロールなんだもん。
ヘアセットにめちゃくちゃ時間かかってそう。
まあグレイス様は公爵令嬢だし、メイドさんとかがやってくれるんだろうけど。
というか、これだけのドリル髪なら、まっすぐにした時はめちゃくちゃ長くなりそうなんだけど、グレイス様の髪ってどれだけ長いのだろうか。
月野うさぎくらい長そう(セラムン世代)
そんでもって、今回はグレイス様の婚約者・ヴィルジール王子の掘り下げ回かな。
すべての人を『国家に有用かどうか』で値踏みしてしまう性格とな。
それを聞いたおじさんの反応が、
ふうん……大変だな。
いや、主人公もそうだけど、その王子くん。
恋愛についてもそういう視点で人を見てしまうとしたら、王子様に生まれるのも楽じゃないってことだよなあ……。
p112 より
というのがイイ。
誰に対しても親目線で接してくれる憲三郎、パパみを感じる。
そういう性格に至ってしまった背景に寄りそってくれるのは、やはり社会の荒波を生き抜いてきた大人ならではですね。
そんでもって、前回の最後で親方に頼んでいたそろばんが登場!
そろばんって音がいいほど高品質って聞いたことがあるのですが、親方が作ったそろばんはめちゃくちゃいい音しそうですね。
それを駆使して、長年の社会人生活で培った実務能力を発揮!
やはり経験値では若者は敵わないですね。
どうやら転生前のグレイスは数学が苦手だったらしく、とっさにごまかすおじさんですが、それがかえって謙虚に見え、王子の好感度を上げてしまったようす。
有能+謙虚=ストップ高
みなさん、グレイス株が急騰中ですよ!!
乗るしかない、このビッグウェーブに!!!!
私? 私は第1話を読んだ時点で購入済みです。
ちなみに大株主はアンナ。
「うわっ……私の年収、低すぎ……?」
みたいなノリで、婚約者の有能性にときめく王子。
立ってる立ってる!
フラグが立ってるよォ!
王子、無意識に初恋しちゃってない?
憲三郎、罪な男……。
第6話「一番強いのは誰だ?」
細マッチョ保安部イケメンことオーギュストが格闘タイプなのは意外ではないんだけど、守護騎士って格闘術メインなのか。
なんかデッカい盾とか鎧とかつけてるイメージだったよ。
無口なロン毛イケメン・リシャールは、意外にも『剣聖』とな。
いや、言われてみれば、ルパン三世の石川五ェ門っぽさはあるか。
ソードマスターというとヤマトを連想してしまって、なんかどことなくダサさを覚えてしまうのですが、これって私だけ?
全部カタカナなのもなんか、コロコロ的な小学生向け漫画のノリっぽく感じてしまうのだけれども、同じ人いません?
でも、海外じゃソードマスターって定番っぽいんですよね。
特に韓国漫画とかでよく聞くイメージ。
ごめんリシャール、きみにケチをつけたいわけじゃないんだ……。
っていうかリシャール、いま「私も虫はちょっと……無視したい」とか言った?
さてはコイツ、意外と愉快なタイプだな?
オーギュスト、見た目に反して(失礼)虫嫌いなのね。
彼の背中についていたミヤマクワガタに大興奮するグレイス様、顔が『>▽<』みたいになってて可愛い。
私も小さいころは親と一緒にクワガタやカブトムシ探しをしたけど、たしかミヤマクワガタって珍しいんですよね。
たしかにカッコいい造形美。
子どもが虫捕りして遊ぶ文化が、日本以外ほとんどないとは知らなかったなぁ。
なんでだろう、土地柄? 文化の違い?
虫にすら慈悲をかけるグレイス様、アンナだけでなくオーギュストまで攻略してしまう。
これむしろグレイス様がみんなを攻略していく乙女ゲーになってない??
最終的に逆ハーレムになりそうで笑う。
そんでもって、やはり愉快なキャラであることが判明したリシャール。
クール仮面の下には、親父ギャグ好きの一面が隠されているとは……。
こういうギャップのあるキャラ、原作でも屈指の人気キャラだったろうな。
なんなら人気投票で王子を超えかねんやつ。
しかし、やはりそこはマジもんの親父である憲三郎に軍配が上がる。
効果音が「ダジャーン」で声出して笑ってしまった。
いい顔してやがる。
そういえば、前にNHKの『チコちゃんに叱られる!』でやってたな。
親父ギャグっていわゆる『連想記憶』によって生み出されるらしいのですが、これは年齢を重ね、ボキャブラリーが増えてくると高まるそうです。
蓄えられていた言葉たちが響きあうことで生まれると聞くと、くだらないギャグがなんだか美しく思えるから不思議。
まあ、平安時代の和歌だとか、ラップのライムなんかも連想記憶の一種だしね。
なお、『おばさんギャグ』がないのは、連想の仕方に男女差があるからだそうで。
女性の場合、「バナナ」と聞いたら、「バナナを買って帰ろう」「バナナクレープ食べたいな」など、より生活や行動に即したものを連想する傾向にあるためだそうですよ。
でも、平安時代には女性にも和歌の達人がたくさんいたわけですし、脳の作りというよりは、立場上求められることが異なる傾向にあるためじゃないかと睨んでます。
ちなみに、連想記憶は50代でピークに達するらしいので、憲三郎はまさに『連想記憶の達人』と言って差し支えないでしょう。
リシャールが「参りました」と膝をつくのもむべなるかな。
……ていうかこのエピソード、翻訳家泣かせじゃない?
アニメ版どーすんだ。
第7話「アンナからの便り」
今回は攻略対象の中でも一年生組にスポットライト。
リュカ王子、やはり第二王子だけあって、一年生らしからぬオーラがありますね。只者ではない感じ。
明るく気さくな方らしいけど、どことなく笑顔がうさんくさいし、見た目どおりのキャラじゃなさそう。
そういえば、ヴィルジールって『第一王子』であって『王太子』ではないんだよね。
なんかいずれ王になること確定みたいな空気だったけど、まだ正式に立太子されてるわけではない?
ってことはワンチャン、リュカ王子が王になる可能性もある……?
大丈夫? リュカ王子、実は笑顔の裏で玉座を狙ってたりしない??ファミリーネームはヴィルジールと同じく『ヴィエルジ』なので、異世界ものでよくある異母兄弟同士の熾烈な王位争いとかはなさそうだけども。【追記】よく考えたら『ヴィエルジ』って父親側のファミリーネームだから、異母兄弟かどうか関係ないやんけ。
っていうか、この作品にそんな血生臭い展開は似合わないから、ないか。
この時の私は一体どうしたんだ。頭ポンコツか????
しかも一歳差だから、ますます異母兄弟説が濃厚になってきた。
やっぱりリュカ王子、腹に一物抱えてるのか〜!?
もうひとりは、知性派イケメンのランベール・バランス。
大学時代にフランス語の成績が壊滅的だったわたくしにも、これは調べずともてんびん座だとわかりました(あとリオンもわかった)。
現在判明しているのがおとめ座、しし座、みずがめ座、ふたご座、てんびん座の5つ。
12星座をモチーフにしているとしたら、残りは、
おひつじ座 Bélier(ベリエ)
おうし座 Taureau(トロ)
かに座 Cancer(カンセール)
さそり座 Scorpion(スコルピオ)
いて座 Sagittaire(サジテール)
やぎ座 Capricorne(カプリコルヌ)
うお座 Poissons(ポワソン)
の7人ですね。
わざわざ12星座をモチーフにしておいて5つしか使わないのは不自然だから、残りの星座もそのうち追加キャラとして出てくるのかな。
話を戻して、ランベールは名門バランス家の跡取りだけど、実は養子であることが判明。
元は没落貴族の三男坊で、実質平民とほぼ変わらない出自だとか。
頭脳明晰で魔法の才能があるから学園に入学することができた、まさにアンナと似た境遇というわけですね。
でも、ランベールはバランス家という後ろ盾がある一方で、アンナはただの平民なんですよね。
思えば本来のシナリオで、グレイスがアンナに対する風当たりが強いのは、そういう危うい立場となっている彼女に対する危機感があったのかも?
なんの後ろ盾もない平民が貴族に交じったところで、お互いに不幸しか生み出さないと考えたのかもしれませんね。
それに、魔法を学ぶということは、有事の際には前線に立たなきゃいけないってことですよね。
ノブレス・オブリージュが染みついてるであろう貴族と違って、平民がいざという時に怖がらずに立ち回れるか……という不安はありそうです。
まあ、見るかぎりアンナは大丈夫そうですけど。
でも、幼少期のグレイス様って、ドワーフの鍛治職人や庭師の仕事を眺めるのが好きだったあたり、元々は身分による差別とかしない子だったと思うんですよね。
こうなると、ますます淑女教育で何があったのか気になりますね……。
話を戻して、ランベールにとってアンナは『負けたくない相手』のようです。
攻略難易度はイージー、すでにフラグは立っている……ってゲーム用語がもれてますグレイス様!
でもたしかに、ライバル視だろうがなんだろうが、こちらを意識しているキャラって、わりと簡単に攻略できる印象。
そんでもって、大事な書類を紙飛行機にしても「ごめ〜ん、つい」とノリが軽いリュカ様、やはり怪しい。
私はまだキミのこと信用してないからな。
でもリュカ様がランベールのこと『ベール』って呼ぶのは、なんか好き。
ところで、そもそもこの世界に『飛行機』って概念あるんです?
閑話休題。
グレイス様の奸計により、ランベールにそろばんを教えることになったアンナ。
「私ごとき平民の娘に教わるのはご不満かもしれませんが……」
と言われて、
「え……いや、そういうわけでは……」
と大人しくなっちゃうあたり、ランベールも根はいい子なのが明白ですね。
「ツンデレは大抵ちょろい」というグレイス=憲三郎の言葉は金言。
古事記にもそう買いてある。
結局「キミがそこまで言うのなら……」と顔を真っ赤にして受け入れちゃうランベール、やはりチョロい。メスの顔しやがって……。
何気に乙女ゲーヒロインが攻略対象の好感度を上げたの初じゃない?
なんで乙女ゲームなのにそれらしいシーンに7話もかかってるんだよ!!
それもこれもグレイス=憲三郎が魅力的すぎるのが悪い。
完全に主人公の座を食っとる。
憲三郎自身も、ようやく自分が悪役令嬢の道を外れてきているのを自覚した模様。
いい加減諦めなはれ。
おじさん、悪役向いてなさすぎるのよ。
私は一応平成生まれなので、最後の「さいざんす」はなんとなーく聞いたことあるな、くらいだったのですが、調べたら『トニー谷』という芸人のギャグだそうです。
うーん、ジェネレーションギャップ。
まとめ
というわけで、『悪役令嬢転生おじさん』、めちゃくちゃ楽しませていただきました。
社会の荒波に揉まれて疲れた心に染みわたる漫画ですね。
あとがきに書いてある本作の経緯も、かなりドラマチックです。
直近の連載2本が続けて打ち切りとなり、危機感を覚えた上山先生。
漫画界のトレンドを学ぶため、近ごろ隆盛を極めている『異世界もの』の漫画を片っ端からを読み漁る。
そこで出会った『悪役令嬢もの』にハマり、「次はこんな感じのやつが読みたい」と思いついた本作のプロトタイプをSNSで公開したところ、人生最大のバズり!
あれよあれよと商業連載が決まったとか。
小学生のころに大好きだった漫画の作者が、今また第一線で活躍されているのを見ると、なんだか自分のことのように嬉しくなっちゃいます。
すでに次の巻も購入済みなので、また読み終わったら感想文にまとめたいと思います。
それでは、今回はこのへんで。
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