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【マンガ感想文】初めて『悪役令嬢転生おじさん 第2巻』を読んだら、前回の懸念も払拭されてストレスフリーな件。
どうも!
若いころは大好きだったカルビに魅力を感じず、ついついミスジに手を伸ばしてしまう遅読です。
今回は、そんな中年あるあるが詰まった漫画『悪役令嬢転生おじさん』の第二巻を読んでいきたいと思います。
未読の方向けに簡単に説明しますと、52歳の善良なオタク公務員おじさんが、ひょんなことから乙女ゲーム世界の悪役令嬢へと異世界転生してしまうコメディ作品です。
いわゆる『ざまぁ』はないし、徹底的にギャグかほのぼのシーンばかりなので、昨今の異世界転生ものが苦手な方にも安心してオススメできる作品です。
『チート』も全くないわけじゃないですけど、無双するほどではなく、ただ令嬢としてうまく振る舞えるようになるだけ。地味。
つまり、主人公が活躍するのは、完全におじさんが今まで培ったスキルのおかげなんですね。
人生の重みぃ……!
作者は1990年から漫画家として活躍しているベテランの上山道郎先生!
かつてコロコロで『機獣新世紀ZOIDS』を描いていたお方、と言えば伝わる人も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
そんなベテラン漫画家先生が生みだす作品が面白くないわけがない!
めちゃくちゃ安定感があるし、ハッピーエンドも保証されています。
オススメです!
ちなみに、本作第一巻の感想文も書いているので、よろしければ併せてご覧ください。
それでは、あらすじをどうぞ。
悪役令嬢転生おじさん
第2巻
52歳の真面目な公務員・屯田林憲三郎は交通事故に遭う。気が付いたらそこは学園舞台の乙女ゲームのような世界…しかも校内一高飛車なオーヴェルヌ侯爵家の令嬢グレイスに転生してしまい!?
次マン2020コミック部門4位の期待の新作!
いや第1巻と同じ内容やがな!!!!
少年画報社さん、せっかく各巻のページを作ってるんだから、それぞれのあらすじを書いてくださっていいんですよ?
そんな、コピペみたいな内容じゃなく、ね?
よろしくお願いします。
気を取り直して、前半はネタバレなし、後半はネタバレありで感想を綴っていきたいと思います。
ネタバレなし感想
ますますストレスフリーに拍車がかかってます!
前回「ここはどうなったんだろう?」と疑問に思ったことや、心残りだったことが解消され、一気に面白くなりました。
やはりこういう作風なので、思いきり笑えないのはツライですよね。
おかげで心置きなく読むことができてハッピーハッピーハッッピーー!(猫ミーム)
余談ですが、これ↑を書くために調べたところ、
行きつけのペットショップが今日で閉店…連れて帰りたい
という2015年11月にtwitter上にて投稿された、閉店日のペットショップで客にアピールする猫という日本の動画が元ネタらしく、全くHappyと言える状況ではないことを知ってしまい鬱。
行きつけのペットショップが今日で閉店…連れて帰りたい pic.twitter.com/NGF2U23fJM
— なか○ま (@1Nssu) November 8, 2015
なんでも、海外に無断転載された際に『飼い主が帰宅したことにガラス越しに喜ぶ幸せそうな猫』という誤情報で拡散されてしまい、550万回以上再生された結果、海外では完全にその扱いが定着してしまったそうです。
やはりソース元をしっかり確認しなきゃダメですね。
なお、動画の猫ちゃんはペットショップ閉店後、別の店に移動したため、そのままUnhappyとなったわけではないとのこと。
今ごろ、いい人にお迎えされてるといいなぁ。
……と、せっかくハッピーな漫画の話題の途中でしんみりさせてしまって申し訳ありません。
話を戻しますね。
異世界転生ものといえば魔法が出てくるのがお約束ですが、今回からいよいよ本格的に魔法が絡んできます!
しかしこの魔法についての設定、シンプルで覚えやすい。
かつ、連携によって増幅したりするので、キャラ同士のかけ合いにも期待できそうです。
おじさんが新たに手に入れた力についても、ともすれば『チート』で『無双』になりがちな設定なんですけど、この漫画では「これによってキャラとの関係性が面白くなっていくんだろうな〜」って期待のほうが高まります。
この漫画のすごいところは、「さすがはグレイス様!」と周囲の評価が上がるのが、他とは違う特別な力に頼らないところなんですよね。
あくまで、おじさんの人生経験からくる能力ゆえであり、特別な力はそれらを補強するために存在してます。
さらに言えば、おじさん本人はゲームクリアのため、自分よりヒロイン・アンナの好感度を上げたいわけです。
そのため、どうにかしてアンナを活躍させようと頑張るわけですが、根が善良のため、あまりうまくいきません。
アンナの評価は上がるっちゃ上がるのですが、それ以上にグレイス=憲三郎の評価が上がるという……。
しかし、そんな孤軍奮闘する憲三郎に、今回から新たな味方が加わります!
その正体は……本編を読んでのお楽しみ。
さらに、乙女ゲームものに欠かせない、キャラの好感度を大幅に上げるためのイベントも発生し、ますます面白くなっていきます。
諸々の懸念が解消し、もはやみんなが幸せになる予感しかしなくなってきた第2巻!
どうぞお楽しみください!
以下、ネタバレあり感想
第8話「ビースト召喚」
初っ端から『前回のあらすじ』的なひとコマが入るのですが、私にはわかります。
技の1号、力の2号ですね!(憲三郎とグレイスのポージングの話)
「なんのこっちゃ」という方に解説すると、昭和にやっていた初代仮面ライダーです。
私は一応平成生まれなのですが、親の影響もあり、よくレンタルビデオショップでVHSを借りて観ていました(時代……)
今改めて調べたら、仮面ライダー1号はIQ600あるらしい。そんな設定だったのォ!?
てか、IQ600ってあまりに凄まじくて、どんなものか想像がつかない……
と思っていたところ、あの柳田理科雄先生の解説記事を見つけました。
抜粋してざっくり言うと、
2300000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000人
に1人のスーパー大天才、だそうです。
もはやすごすぎてピンとこない。
しかも、そんな彼は、小学校のころから成績がクラスで5番以内だったそうです。
ってことは、IQ600レベルが他に4人はいるってことで……。
いやどんな小学校だよ!!!!
この情報、ぜひとも特撮オタクらしいおじさんに教えて差し上げたいところですが、おじさんのことだから、すでに知ってそうな気もする……。
またまた脱線してしまったので、話を本編に戻します。
さて、今回は従魔を召喚するところからですね。
ワクワクする始まり方、またしてもベテラン漫画家さんの腕が光ります。
この世界の元となった乙女ゲームのタイトルは『マジカル学園ラブ&ビースト』。
言われてみれば「ビーストってなに?」という疑問が出て当然なのですが、第1巻を読んでいる時には気づかなかったくやしい。てっきり恋が成就したら攻略対象が野獣のように豹変するのかと思ってた。
アンナのビーストはペガサス。属性は風。
ええやん! 神秘的〜とか思ってたら、どうやらペガサスはビーストとしては平凡な種族らしい。
嘘やん! ペガサスってむしろレアっぽいじゃん!
でもたしかに、おとなしくて従順そうだから、扱いやすいのかもしれない。
この世界の魔法は四大元素をベースに、五行思想の相生や相剋を加えた形といったところでしょうか。
そんな難しい設定じゃないので覚えやすい。
「これがゲームならリセット……」と言ってる若かりしおじさんが遊んでるのがゲームブックっぽいのが時代を感じる。
近年ボードゲームやらTRPGやらブームがきてますけど、そういえばゲームブックの文化ってどこにいっちゃったんでしょう?
……と気になって調べたのですが、最近は『SCRAP出版』というところが、ゲームブックに力を入れているみたいですね。
リアル脱出ゲームを多数手がける日本企業のようです。漫画やアニメ、ゲームともコラボしているので、知ってる方も多いかも?
このあたり、評価もめちゃくちゃ高くて、かなり面白そう。
これもう来てるじゃん!
ゲームブックのリバイバルブーム!!
近年の脱出ゲームブームが、ゲームブック文化の再生にまで繋がっているとは……。
ボドゲブームを見るかぎり、ありえない話ではないとは思っていたけれど、そうくるとはね。
言われてみれば、たしかに脱出ゲームとゲームブックって相性がいいかも。
ボドゲ好きの家族に教えてあげようかなぁ。
……と、すぐ話を脱線させてすみません。
話を戻しますね。
アンナに「もしもビースト召喚をやり直せる魔法があったら、もっと希少なビーストが出るまでやり直すか」と問いかけるグレイス=憲三郎。
しかし、アンナは戸惑いながら「やりなおす? どうしてですか? こんなにステキな子が生まれてきてくれたのに!」と返します。
さすがアンナ。純粋で素敵な心の持ち主ですよね。
この作品、ヒロインが本当にいい子なので、見ていて気持ちがいい。
そりゃ本来なら主役張るような子ですから、読者(プレイヤー)が応援したくなる性格なのも納得です。
そんでもって、そこに颯爽と登場するヴィルジール殿下とオーギュスト。
なんでも、生徒会の後輩たちがどんなビーストを召喚するのか見にきたとか。
授業サボったんか??
一年生の授業中に、都合よく二年生の授業だけ空きコマとは思えん。
そんなだったら、間違いなく二年生連中が大勢見学に押し寄せてるだろうし。
ビースト召喚の儀式なんて一大イベント、格好の見せ物だもんね。
さてはアンタら、王族か生徒会の権限を使って抜け出してきたな?
おい学生! ちゃんと勉強せい!!
まあ、授業を一回サボった程度で、ヴィルジールが成績を落とすとは思えないし、優秀ゆえに教師からも目を瞑ってもらっているのだろうけど……オーギュストはなんかアホっぽいから心配。
成績大丈夫????
そんでもって、「どんなビーストを相棒にするか、こいつらにも見せておきたい」と自分たちのビーストを呼び出す二人。
ヴィルジールのビーストは『グリフォン』
属性は『風』
オーギュストのビースト『ガルーダ』
属性は『火』
どちらも希少な種族で、魔力の大きさも段違いだとか。
さては見せびらかしにきたな??
ビーストマウント取りにきたな????
アンナのペガサスは性質が素直で、主人の能力を反映しやすいとのこと。
努力家のアンナにはぴったりとの評価で、ヴィルジールからもオーギュストからもなかなかの好印象。
可愛いし素直だし、なんだかアンナと似ていますよね。
ビーストは主人に似るのかな。
さて、いよいよグレイス様の番です。
ビーストとは、入学時にもらった卵に、1ヶ月間契約者の魔力を与えることで生まれてくるんだとか。
だから契約者と似たビーストが生まれやすいのかもしれないですね。
「悪役令嬢である私のビーストにどんなものが生まれてきても、誰も気にしないから気楽なものだ」
と楽観的なグレイス=憲三郎ですが、その周りの人たち、めちゃくちゃ気にしてますよ。
心の中めちゃくちゃ長文。
絶対に早口。
オーギュスト、火属性希望。
「いや俺と同じだからとかじゃなくてあいつの性格的に向いてる感じだし」と、心の中なのに誰に言い訳してるんですかねぇ。
でも、「性格的に向いてる」とか、グレイスのことよく見てないと出てこない発言ですよね。
前回うっかりグレイスにときめいちゃったあたり、相手はヴィルジールの婚約者だからと無意識に気持ちを抑えてる部分があるのだろうか。
突きつめると切ないけど、オーギュストがサッパリしてるから、あんま湿った空気にならない不思議。
ヴィルジール、風属性希望。
「なにしろ私たちは将来夫婦で国家の運営を担うのだから」と、もはや結婚することに疑いを抱いていないもよう。もうこれアンナのヴィルジールルート潰れてない??
「同じ風属性なら共通のビジョンを持ちやすいという実利」と、さも国家の利益を優先してると言わんばかりだけど、ビーストが同属性だから同じビジョンを持ちやすいって、理屈になってるようでなってなくない??
ぜってーそれにかこつけてグレイスの力になりたいだけだろ!
もっと素直になれよ!!!!(CV.松岡修造)
アンナ、「私と同じ風属性だったら嬉しいけどそうでなければせめて火属性なら私がサポートできるからお役に立てそう」と、相変わらず素直で健気だね。いい子や。
とりあえず、火属性か風属性がくるのがマストですかね。
この世界、属性によって補ったり対立したりしますからね。パートナーの属性はめちゃくちゃ大事ですよね。
そんな中、憲三郎は現世に残してきた娘・日菜子のことを思い出していました。
娘は「せっかく生まれてきたのを、なかったことにしたら可哀想じゃない?」とリセット否定派。
きっとアンナの発言を娘と重ねたのでしょうね。
やっぱり憲三郎にとって、アンナは娘のような存在なんだろうなぁ。
うーん、親目線ほっこり。
日菜子の言葉に胸を打たれた憲三郎は、「どんなビーストが生まれても、父さんは驚かずに受け入れる」と決意を新たにします。
そして、生まれたのは、なんと――!
ちっちゃなオッサンと、ちっちゃなグレイス嬢でした。
いや、なんで!?!?!?
これにはさすがのグレイス=憲三郎も戸惑いを隠しきれません。
さっき「驚かずに受け入れる」と宣言したのを秒で覆してしまいましたが、こればっかりは仕方がない。さすがに予想外すぎる。
外野も「??? これは……?」と戸惑ってます。
てーか、憲三郎の存在がバレちゃうんじゃないの? 大丈夫??
そんな時、なにやら不思議な声がしたかと思うと、巨大な手が現れ、ちっさなオッサンとちっさなグレイスを合成してしまいました。
そして、現れたのはドラゴン!
一体なんだったんだ……。
ガーネット先生の鑑定の結果、グレイス=憲三郎のビーストは、『古代龍』
なんと、伝説級のレアビーストでした!
しかも、その属性は『火』と『水』
ふたつの異なる属性を持っていたのです!
ビーストの属性は一体につきひとつが原則。
ふたつの、しかも『火』と『水』という対立する属性が共存するなんて考えられないことなのだそう。
きっと、グレイスと憲三郎という、異なる人物がひとつの体に共存しているからこそ成せるビーストなのでしょうね。
なんとなくですが、元は苛烈だったグレイスが『火』、柔軟な発想ができる憲三郎が『水』なのかな? と予想します。
いやでも、幼少期のグレイスは素直ないい子だったっぽいし、周囲の環境によって変化したから『水』という可能性もある。
憲三郎も、特撮オタクで熱い一面をもっているから『火』もありうる……。
うーん、わからん!
そのうち判明するのかな?
アンナは「さすがはグレイス様」と納得していますが、「さすが」で済ませるのはムリなので、次回に続く!
第9話「お父さんだ〰〰!」
なんと、今回は現世のお話、憲三郎の娘・日菜子が主人公です!
いやー、実は残された家族がどうなっているのかめちゃくちゃ気になってたから助かります。
ちょっと怖いけど、冒頭から日菜子が「血統書付きのオタク!」とか言ってるから、なんか大丈夫そう。
この明るい雰囲気でシリアス展開はないなと安心できる。
一コマ目の屯田林一家のポーズ、なにか元ネタあるのかなと調べたら、『太陽戦隊サンバルカン』のポーズだそうで。
いやさすがに知らんて!!!!
スーパー戦隊シリーズの第5作目、1981-1982年まで放送されていたそうです。
いくらレンタルショップでVHSを借りていた私とはいえ、一番古くても平成の戦うトレンディドラマ『鳥人戦隊ジェットマン』くらいしか知りません。
それはともかく、日菜子は『マジカル学園ラブ&ビースト』の縛りプレイ中に病院へ呼び出されたようです。
このゲームって縛りプレイできんの??
乙女ゲームって選択肢式が多いイメージなので縛りプレイには向かなそうですけど、確かにこのゲームは魔法とかの要素も作りこまれてるし、まあ縛る要素なくもないのか……。
ともかく、病院へ行った結果、憲三郎の体に異常はないものの、ずっと眠っている状態なんだそう。
ひとまずよかった〜。
憲三郎は死んでないし、助けた子どもは無事だし、なにより飛び出してきたオッサンを轢き殺しちゃった可哀想なトラック運転手はいなかったんや!!
いや、近年の異世界ものは気軽にトラ転しますからね。
世の転生ものにおける運ちゃんのその後に、つい思いを馳せてしまうのですよ。
きっと、この作品の運転手は、ちゃんとブレーキをかけて止まってくれたんだろうなぁ。
安全運転タスカル。
きっと大事にならず済んだことでしょう。
登場人物が全員いい人たちで、本当にこの作品は読んでいて気持ちがいいですね。
ところで憲三郎が運ばれた病院、『妻沼田総合病院』という名前だそうですが、『妻沼田』ってどこやねん……と思って調べたところ、どうやら作者の別作品『ツマヌダ格闘街』の舞台だそうです。
千葉県北西部にあるそうで、おそらく津田沼市がモデルとのこと。
どうやら作者の上山道郎先生が鹿児島生まれ千葉育ち千葉在住らしいので、地元なのかもしれませんね。
さて、残された妻子も前向きなようす。
「まぬけめ! 承●郎! きさまのおかげで甦ったぞ!」
「やれやれ本物のようだな」
なんて母娘漫才をする余裕さえあります。
さすがに、この元ネタがジョジョだというのはわかる(ジョジョ読んだことないけど)
娘に「まるでお父さんの好きな特撮ヒーローみたい」と言ってもらえるあたり、憲三郎って本当にいいお父さんなんだろうなぁ。
娘からの信頼が厚い。
そんな中、帰宅したら日菜子はリビングのテレビが点けっぱなしになっていることに気がつきます。
しかし、コントローラーは反応せず、リモコンも効かない。
ただ『マジカル学園ラブ&ビースト』のゲーム画面が映るのみ。
そして、そこに出てくるグレイスは――。
なんと、『グレイス(憲三郎)』と表示されていたのでした。
帰宅した母に「おかしなこと言ってるのはわかってるけど(中略)お父さんの意識はこのゲームの中にいる」と説明する日菜子。
爆速で状況理解する母が面白い。さすがオタク、話が早ぇぜ!
とりあえず、Aボタンでストーリーを進めたり、日記機能で過去のできごとを読み返したりできるようす。
とりあえず、憲三郎がこれまでしてきた善行(奇行?)が二人にも伝わったのですが、グレイス=憲三郎であることを確信したのが親父ギャグのくだりだったのが笑う。
そんでもって、とりあえず父を取り戻すために現状できることとして、二人はゲームクリアを目指すのでした。
さて、徹夜でゲームを進めた日菜子は、ビースト召喚のシーンまでたどり着きます。
そこで、初めて『手を貸しますか?』という選択肢が出現。
どういう理屈かはわかりませんが、ストーリーに干渉できるようになったもよう。
この天の声みたいな謎のメッセージ、一体なに?
憲三郎を乙ゲー世界に転生させた神様かなにか?
それとも開発スタッフに逆転生者がいて、世界改変のためにふさわしいユーザーを送りつけた??
うーん、わからん。
そのうち判明するのかな。
儀式中の謎の手の正体は、まさかの娘さんだったんですね。
いやはや、ここで現世が絡んでくるとは。
憲三郎の乙女ゲームパートに、現世の家族パートが加わって、ますます面白いことになりそうな予感。
とりあえず、憲三郎が無事(?)であることが、家族に伝わってよかった〜!
それだけが懸念材料だったので、今後は心置きなく笑って読めそうです。
最近の異世界ものは一方通行が多いですが(転生だから仕方ないけど)、この作品はいずれ憲三郎が現世に帰ることが示唆されていて、そこもベテラン作家ならではだと思いました。
昔の異世界ものって、最終的に主人公が現世に帰ってくるパターンが多かったですからね。
ある意味、原点回帰と言えましょう。
新しい要素と懐かしい要素がうまく組み合わさると、こんなに斬新な作品になるんだなぁと感心しきりです。
第10話「A面:ふたつの属性」
なにやら学園長まで登場し、グレイスのビーストを鑑定している。
試しに魔法を使ってみるグレイス。
どうみても的が和太鼓。なんでやねん!
これは元になったゲームが日本製だからなのか、グレイスの前にも日本人転生者が存在したのか?
どうやら火と水を同時に使うことはできず、いちいちメッセージウインドウ(グレイスにしか見えない)から属性を転換しないといけないようです。
グレイスのビーストの名前は『オリオン』。
ふつうは主人が名づけるようですが、この子は最初から名前がついていたもよう。
火属性のときは赤、水属性は青のボディになるらしい。
てーか、火と水が使えるとなると、全ての属性キャラと何らかの相乗効果を得られるってことですよね。
グレイスが補助したり、逆に誰かに補助してもらったり、同属性なら教えあえるし、いざという時は対立する属性で止めることもできる。
おいしいポジションです。
ここで、なぜビーストにふたつの属性が発現したのかについて、心当たりを尋ねられるグレイス。
「自分の中にふたつの心がある」と語っていますが、それ憲三郎のことですよね?
バラしていいんか……と一瞬心配になりましたが、学園長は「新しい自分への成長だろう」と好意的に解釈しています。
まーそりゃ、美少女の中にオッサンがいるなんて、誰も想像できないわな。
でもって、学年末におこなわれる『魔法模範演習』に半強制的に参加するハメになったグレイス。
学園長は「きみ以上の適任者はおるまい」と言っているし、実際に優秀な生徒だからこそ出てほしいという思いもあるのでしょう。
ただ、それだけではなく、おそらく史上初となる2属性持ちとして、今後グレイスは良くも悪くも目立つでしょうから、ここで結果を出しておくことで周囲を牽制しておく狙いもあるんじゃないかな。
ポジティブなイメージを植えつけておこうというか。
アンナにもキラキラお目目で「お出になるべきです!」って言われちゃあ、お人よしのおじさんは断れないよね。
最後のコマ、「どうしてこうなるんですの……?」という( ;´д`)トホホ… 顔が昭和の演出で好き。
第10話「B面:ふたつの心」
視点変わって、家族サイド。
扉絵、今度は日菜子と憲三郎が仮面ライダー1号2号しとる。
グレイスのビーストが生まれた経緯について、
「ゲームのキャラ紹介画面に出てくるミニキャラの絵と同じだったから、ふたり分の力が合わさったってことだろう」
「異世界転生おなじみの特典チートみたいなもの?」
と相変わらず理解が早い。
家族全員オタクという設定が、この爆速テンポを生み出している。
設定の妙。
グレイス=憲三郎のビーストは、娘さんが名づけたのね。
どうりで最初から名前がついていたわけだ。
『オリオン』は日菜子が子どものころ好きだった『機械獣士ワイバーン』の恐竜型キャラの名前……ってそれ『機獣新世紀ZOIDS』のセルフオマージュですよね?
「これならお父さんに気づいてもらえるはず」と期待する日菜子でしたが、憲三郎は、
「ひょっとして製作陣にあのアニメのファンが?」
「まあ、そうでなくてもよくある名前だし」
とややズレた答え。
いや、普通に考えればそうなるか……。
まさか娘が世界の外側から操っているとは思うまいて。
そんな時、玄関のチャイムが鳴り、母が「私が出るから、日菜子は続けてて」と離席。
こういうさりげないやり取りからも、家族仲が良好なことがわかりますよねぇ。
ここでなんやかやあり、オリオンの属性は家族側からしか変更できないことが判明。
今後はきちんとストーリーを追って、都度適切な判断が求められるとのこと。
私にやり切れるか……と不安そうなようすの日菜子に、母は「オタクの血統を信じなさい!」と力強い言葉。
こ、こんなにもオタクであることが頼もしく見えるとは……。
てーかその親子芸、ドラゴンボールですよね?
かめはめ波だよね??
憲三郎が自分の存在を告白する場面、やはり娘さんも焦ってたんですね。
いや、私も「大丈夫?」って心配になってたんですわ。
どうやらルート分岐の中にはグレイスに悪霊が取り憑く展開もあるらしく、最悪勘違いされて祓われる可能性もあるとか。
やっぱヤバいじゃん!!
とはいえ、優雅変換のおかげで、なんかフワッとした表現になり、学園長も好意的な解釈をしてくれたおかげで、なんとか危機は乗り越えたもよう。
このチート、地味なようでいて、現状で憲三郎の存在がバレないのは100%コイツのおかげなんですよね。
ひょっとしてこのチート、ただ優雅になるだけじゃなく、危うい発言を強制的に無害に変換する役割がある?
やはり神さま的な存在が憲三郎の魂をグレイスに押しこんだ時、周囲にバレないために仕込んだセーフティ機能なのかもしれない。
とすると、グレイスが悪役令嬢になってしまうと、この世界にとって都合が悪いのかな。
うーん、まだまだ謎が多すぎて予想がつかない。
日菜子いわく、魔法模範演習は本来、ヒロインと攻略対象が好感度を上げるためのイベントなのだそうですが。
どう見てもその方向には進みそうにない……。
もう諦めて、グレイス様ルートに突き進むしかないんじゃないかな。
乙女ゲームにも女性キャラとの友情ルートは割とあるイメージだし。
ところで、母上の「その通りね……!」というのはジョジョネタなのだと、ジョジョ既読勢の家族に教えてもらいました。
調べたらテレンス・T・ダービーの「Exactly(そのとおりでございます)」というセリフが元ネタらしい。
ジョジョネタ多いな、この作品!
第11話「図書館と従者」
ビーストのことを学ぶために図書館へ訪れたグレイスとアンナ。
そこでグレイスは怪しい人影を発見。
ぶっちゃけ髪型でわかってもーたがな。
そこに王子の従者が登場(あーね)
またしても名前を忘れてしまった憲三郎だが、アンナが先に「ピエール様、こんにちは」と挨拶したことで名前が判明。グッジョブアンナ!
どうやら王子に逃げられてしまったようす。
ピエールは優秀だが、真面目でお堅いために「息がつまる」と王子はたびたび逃げだすのだそう。
まあ、四六時中ガチガチにやられちゃ参ってしまうのもわかる……が、セキュリティ的にどうなんだそれは?
とはいえヴィルジールなら多少の危険は跳ね除けてしまうだろうから許されているのかもしれない。
以前のグレイスは、それもピエールの落ち度だと糾弾していたらしい。
キツい……が、正論でもあるのが難しいところ。
本来は護衛でもあるべき従者が、護衛対象に撒かれてしまうなんて言語道断だろうし。
逃げたくなるような環境を作ってしまった責任を追求されれば、言い返すのが難しい。
とはいえ、グレイスも他人のことをとやかく言える立場じゃないんだけど(堅苦しい上に苛烈だから)
それにヴィルジールもヴィルジールで、ちょっと安易な行動だと言われたらそれまでだし。
しかし、憲三郎はさすがですね。
「よりよい仕事をするための息抜きの時間だと考えればどうか」と、実体験のこもったアドバイス。
これはピエールだけでなく、ヴィルジールに対するアドバイスでもあるように感じますね。
「なにか危険が及ぶ場所ならともかく、学園の中まで堅苦しく構えなくともよいのではなくて?」
というのは、まさにそのとおりですね。
私が上記で指摘した懸念も、こう言われたらぐうの音も出ません。さすがベテラン社会人。
さて、そもそもビーストについて学びに図書館へ訪れてきていたグレイスたち、話の流れでピエールのビーストを見せてもらうことにしました。
ピエールのビースト『ポルックス』
種族は『ガーゴイル』
属性は『水』
なにやら羽が生えたゴリラみたいな見た目ですね。
一巻の感想でも書きましたが、ピエールはファミリーネームが『ふたご座』を意味する『ジェモー』だったので、ふたご座β星であり、最も明るい恒星の『ポルックス』から名づけたんですかね。
となると、同じくふたご座のα星である『カストル』もいるのだろうか?
ふたご座の名称は、ギリシャ神話の有名な双子『ディオスクロイ』(ゼウスの息子たちの意)からきていますからね。
ただ、このディオスクロイですが、中には一方が神(ゼウス)の子、もう一方が人間の子という説もあります。
なんでも、ディオスクロイの母・レーダーはテュンダレオスというスパルタ国の王と結婚しており、そこを白鳥に化けたゼウスがレーダーを誘惑して卵を産ませたとか。なんてやつだ。
そのため、カストルは人間の子、ポルックスは神の子として、双子でありながら異父兄弟として生まれてきてしまうわけですね。
私は一巻の感想で、ピエールはふたご座の名前を冠しているのだから、双子の兄弟がいるのではないか? という説を唱えました。
さらに『ディオスクロイ』の逸話を踏まえると、『ポルックス』をもつピエールが次期国王であるヴィルジールの従者であるのだから、ひょっとして『カストル』というビーストをもつピエールの双子の兄弟は、リュカの従者をしているのでは?
一方は次期国王補佐、もう一方は臣下に降ると決まっていることを、神と人間の双子に例えているのでは?
ポルックスは一等星で、カストルは二等星だし。
なかなか双子間で格差があり、確執が生まれそうな設定ですが、元ネタである『ディオスクロイ』は仲がよかったゆえに星座に召し上げられたくらいなので、ピエールたちも平和な関係であってほしいですね(まだ兄弟がいると決まったわけでもないのに心配しているやつ)
……と、ここまで書いておいて、ふと、
もしディオスクロイの『神』と『人間』という違いが、『貴族』と『庶民』に置き換えられていたら?
という可能性をひらめいてしまいました。
さらに、かなりマイナーかつ信憑性に欠ける一説らしいのですが、通常同性(男)の双子とされる『ディオスクロイ』ですが、タロットカードにおいては男女の双子という説があるそうです。
ひょっとして、ピエールとアンナ、双子の兄妹だったりする……?
だってアンナの親はまだ出てきていないし、乙女ゲームのヒロインが実は捨て子で、本当の親は貴族だったというのは定番の設定ですよね。
と、そんな邪推をしてしまったのですが、元ネタを考えると『カストル』のほうが兄だし、双子なのに学年が違うのはおかしいし(捨て子だから年齢がわからなかった可能性もなくはないけど)、なにより水属性のゴリラガーゴイルと風属性のペガサスが双子とか違和感があるので、この説はないな。
というわけで、今のところ有力なのは、ピエールの双子の兄がリュカ付きの従者説ですね。
ここまで力説しておいて、そもそもそんなキャラ存在しない可能性も高いけど。
「知らんけど」って言っとこ。知らんけど。
それを言ったら、占星術では12星座を4つの属性に分けているらしく、これによると、
おひつじ座、しし座、いて座→『火』
おうし座、おとめ座、やぎ座→『土』
ふたご座、てんびん座、みずがめ座→『風』
かに座、さそり座、うお座→『水』
になるらしく、この漫画の設定とは合わないんですよね。
おとめ座のヴィルジールは『風』だし、ふたご座のピエールは『水』。
しし座のオーギュストが『火』というのは合ってるけども。
他になにか元ネタあるのかな?
もし有力な情報をお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひ教えてください。
話を戻して、ビーストの話。
水属性のピエールは風属性のヴィルジールのサポート役にピッタリらしく、去年の魔法模範演習では、この二人がタッグを組んで出場したとか。
ピエールがグレイスを「あなたはいずれ殿下の奥方様になる御方」と呼ぶも、当のグレイスは「殿下のご結婚のお相手がわたくしてある保証はない」とアンナをチラ見。
それに焦ったヴィルジールは、つい「それは一体どういう意味だい、グレイス!」と出てきてしまったのでした。
ほらほらヴィルジールくんやい。やっぱグレイスのこと、特別に思い始めてきたんちゃうんか〜?
その焦りようは怪しいな〜??(・∀・)ニヤニヤ
私がニヤニヤしている一方で、それに気づかないおじさんは、アンナとヴィルジールを親密にさせようと、「アンナに風魔法を教えてあげてほしい」と殿下にお願いします。
遠慮しまくるアンナに対し、悪役令嬢らしく強引に
「あなたのためではなく、魔法模範演習でわたくしのサポートをするためですわ!」
と言い放つグレイスですが、言われたアンナは
「私がグレイス様のサポートを……!?」
と幸せそうなキラキラ顔。
アンナはめちゃくちゃやる気になるし、ヴィルジールは「そういうことなら協力を惜しまない」とグレイスのために手伝ってくれるし、ピエールは「ご自分のためと見せかけて、アンナ嬢に成長の機会を与えようとは」と『私はわかってますよ』顔をするのでした。もう笑うしかない。
もはや欽ちゃんばりに「なんでこ――うなるの!?」と心で嘆くおじさんなのでした。
ちゃんちゃん。
第12話「剣と盾」
さて、今回はオーギュストとリシャールの模擬戦から始まります。
オーギュスト・リオン
ビースト名『レグルス』
種族:ガルーダ
属性:火
能力:身体能力向上
防御力向上
属性付与:火
リシャール・ヴェルソー
ビースト名『サダルメリク』
種族:シーサーペント
属性:水
能力:武器強化
水属性付与
第8話の時には出てこなかったオーギュストのビースト・ガルーダの名前が判明しましたね。
しし座α星の『レグルス』。ラテン語で『(小さな)王』という意味だそうです。
ちょうどしし座の心臓にあたる星だとか。
リシャールのビーストは『サダルメリク』。
みずがめ座α星で、アラビア語で『王の幸運』を意味するそうです。
また、『シーサーペント』は、海にいる細長く巨大な体を持つ未確認生物の総称だとか。
なんとなく、ちっちゃいシードラモンっぽい(デジモン世代)
オーギュストは拳、リシャールは剣で戦います。
素手 vs 武器って対等じゃなくない?? と思ってしまうのですが、魔法のある世界だから許されるのでしょう。
魔法模範演習を実際に見たことがないというグレイスが、二人に頼んだことで実現した模擬戦。
現世でそのようすを見守っている母娘も、
「自分の娘より若い子たちに『教えて』って言えるのが、お父さんのすごいところだよね」
と感心しています。
たしかに、そういうのって意外と難しいですよね。
つい恥ずかしさとかプライドが優って言い出しづらかったり。
「オタク業界、若くてすごい人どんどん現れるからね」
というのは、上山先生の実体験かな。
まさに、そうやって若い世代に習ったからこそ、こうやってベテラン漫画家の上山先生が『悪役令嬢もの』でバズったわけですからね。
いくつになっても柔軟な思考を失わないからこそ、面白い作品が描けるのでしょう。
頭が下がります。
「お父さんがこの世界に招かれたのは、そういう人だから?」と考える娘さん。
このセリフ、さりげないけど、意外と重要そう。
のちの伏線かな?
さて、二人の戦いの余波で、崖の中から明らかに恐竜の化石が出てきました。
どうやら太古の魔族がモンスターを作ろうとして失敗したものと言われているそうです。
そこに、アンナが風魔法をぶっ放すことになりました。
アンナのペガサス、『シリウス』って名前になったんですね。やはりカストルではなかったか……。
シリウスはおおいぬ座α星、地球上から見える最も明るい恒星です。まさにヒロインにピッタリですね。
その名前はギリシャ語で「焼き焦がすもの」「光り輝くもの」を意味する『セイリオス』に由来するとか。
アンナの凄まじい風魔法で、崖の一部が爆発します。
やっぱり公式主人公はチートだわ……。
主人公チートに圧倒されたオーギュストとリシャール、悩みを吐露。
なんでも、二人は去年の魔法模範演習から目立った成長がないんだとか。
ここでおじさん、『火属性で防御だけというのはもったいないし、氷を飛ばすのは剣聖の技を活かせてない』と冷静な分析。
さすがは上司として社会人をやっていただけあって、見る目がありますね。
ここで、なんと化石が復活して襲ってくるというハプニング発生!
オーギュストとリシャールが食い止めようとするのですが、敵が強すぎる。
そこで、グレイス=憲三郎の機転により、魔法陣に漢字を書き加え!
二人のビーストが剣と盾に……って、おおー!
なんか少年漫画的展開!
見事モンスターを撃破するのでした。
私はコロコロコミックで育った人間なので、こういう熱い展開、大好きです。
とはいえ、当たり前のようにみんなの好感度が爆上がりし、またしても( ;´д`)トホホ… 顔になってしまうおじさんなのでした。
第13話「オーヴェルヌ公爵」
なんと今回、ようやくグレイスの父上が登場です。
やっとかワレェ! 今までどこほっつき歩いてたんじゃ!!(口が悪い)
どうやらグレイスの父レオポルド・オーヴェルヌ公爵は財務大臣でもあり、仕事で留守にすることが多く、今回も2ヶ月ぶりの帰宅だそうです。
ならしゃーないか(手のひらクルー)
お仕事忙しいもんね。
でも、いつから財務大臣なんだろう?
そんな最近のことじゃないだろうし、となるとけっこう前からグレイスは父親不在のまま過ごしてたんだろうな。
グレイスがああして苛烈になってしまったのは、叱ってくれる父親がいなかったからなのかな?
それとも、父親不在の間、自分が当主の代わりに頑張ろうとして、ああなったのかな?
いや、ヨーロッパ貴族において家を守るのは女主人の役目だって聞くし(ここは異世界だけど)、グレイスの母が屋敷を回してるんだろうけど……まだグレイス母も出てきてないのよねぇ。
ひょっとして死別だったりする……?
レオポルド、45歳なので憲三郎より歳下らしい。
気まずいおじさん……。
そんなレオポルド、グレイスへのお土産に木馬をプレゼントしてくれます。ってなんでやねん!!
年ごろの淑女に木馬てアンタ!!
あっ、これわかったわ。
やっぱ昔っから仕事ばかりで屋敷不在が多く、子どものこと全然わかってないやつだわ。
こっちの世界でも、仕事仕事で家庭を顧みず、自分の子どものイメージが幼児のまま止まってる人とかいますもんね。特に中高年世代……。
時代が時代だったから仕方ないところもあったんだろうけど、そんなこと子どもは知ったこっちゃないからねぇ。
若い世代と比べて、上の世代に娘と仲が悪い父親が多いのって、そういう風潮が根強かったせいもあると思う。
逆に、最近のお父さんたちは子育てに参加してる人が多いイメージ。
偏見かな?
ともかく、グレイス父は朗らかで悪い人じゃなさそうだけど、きっと忙しすぎてグレイスのイメージが幼児のまま止まってるんだな。
これは子育てできてないわ……むしろ甘やかしてワガママに育てちゃうタイプだわ……。
原作グレイスが苛烈になった原因てそれ??
さて、本来のグレイスなら子ども扱いするなと怒り狂うところですが、そこは憲三郎。
年齢のみならず、父親としても大先輩です。
グレイスの記憶を一瞬で検索し、「従兄弟のフランソワへの誕生日プレゼントですね」と機転をきかせるのでした。さすが。
父の顔も立てつつ、うまいことプレゼントを無駄にしない。
使用人からの忠誠度も上がって完璧な対応です。
憲三郎も娘の成長についていくのに苦労した経験があったからこそ、柔軟に対応できたのですね。
そんでもって、グレイス父とヴァルツ親方の仲がいいことが判明。
二人してなぜかコマ回しして遊んでます。なんでや!
太鼓のような的といい、やっぱこの世界グレイスの前にも転生者いたでしょ。
へぇ〜、グレイス父は田舎貴族の次男坊で、オーヴェルヌ公爵の血筋を引いているのは母親のほうなのか。
割とある話だと思うのですが、そのことがレオポルドのコンプレックスなんですね。
血筋じゃなく実力を買われたなんて、誇らしいことだと思うのですが。
そこでグレイスは颯爽と登場し、
「自分ばかり楽しそうな遊びをしてずるいですわ。わたくしにも教えてくださいませ!」
とフォローするのです。
いやー、娘にこう言われたら嬉しいってこと、憲三郎はわかってますね。
そして最後に親目線で、感謝の言葉を送るのでした。
泣けるじゃないか……!
憲三郎、アンタやっぱりいい父親だよ……!
第14話「魔法杖扇」
グレイスとアンナは順調に連携を深めてますね。
一方で現実世界の日菜子は、オリオンを通して憲三郎に接触を試みますが、うまくいきません。
そんな時に、ゲーム画面が切り替わり……
なんかドラクエ風のドット絵っぽくなった??
なんか、第1巻第2話(食堂の回)に出てきた三人娘が登場し、グレイスにあることないこと吹きこんでいる……。
よっぽど平民のアンナが公爵令嬢と仲がいいのが気に食わないんでしょうね。
なんか、小学生くらいの時にあったな、こういう派閥同士の回りくどいやり取り……。
中学生になるとシンプルに陰口になったり、差別されたり、聞こえよがしに罵声を吐かれたりという攻撃性に変化したので、こういう「◯◯ちゃんがこんなこと言ってたよ!」という吹きこみは、まだ可愛いもんだと思っちゃう(麻痺)
よい子のみんなは、他人を陥れるようなことは、やめようね。
「公爵家のみならず、学園の権威にも傷がつく」
という三人娘に、グレイスは
「うかつなことを言うと、『出所も確かでない噂話で人を惑わせる』と家門に傷がつく」
と返します。
これ、優雅変換で補正されているとしたら、憲三郎の本来のセリフは、
「不確かな情報を口にすると、自分の価値を貶めることになるからやめなさい」
みたいな感じだろうか。
とりあえず、カタカナの名前を一度に覚えきれないおじさん、扇にメモすることで対策するのでした。
ここにきて弱点を克服してくるとは、やるな憲三郎。
ところで、日菜子の怒りに連動して(?)オリオンが火を吐いたのは、後々の伏線なのだろうか?
それと、『マジカル学園ラブ&ビースト』の略称は『マジビー』なのね。
ぶっちゃけ打ちこむには長いと思っていたので、今後は略称で呼ばせていただきます。
さて、場面変わって生徒会でのお仕事。
リュカ様は生徒会書記、ランベールは生徒会会計なんですね。
真面目なランベールなら、お金を扱う会計を任せても大丈夫でしょうけれど……
リュカ様、ホントに書記できんの??
テキトーなメモして、後で読み返す時になんて書いてあるかわからないんじゃ困るけど……
でも、意外とリュカ様も王族として、速筆の技術を取得してたりするのかな?
ちょっとリュカ様が未知数すぎて、いまだによくわからない。
グレイスは魔法杖と扇を一体化した魔法杖扇なるものを親方に作ってもらったようす。
たしかに、扇と杖の二本持ちはキツかろう。
仕込み刀みたいでカッコいい!
全オタクの憧れみたいなアイテムだけど、それを具現化できる技術者を抱えこんでるのがオーヴェルヌ家の強みですな。
アンナが、
「男性なら本と杖を一体化して、開いた時、そこに書かれた魔法陣が展開するのはどうか」
と提案すると、ランベールも思わず
「それは……たしかにかっこいい……!」
と衝撃を受けたようす。
妄想のランベールが「開け! 地獄の門!」とか言ってるあたり、ランベールってクールぶりたい割に少年の心を捨てきれない子ですよね。
ほほえましい。
すっかりその気になったランベールは、グレイスに親方を紹介してほしいと頼み、グレイスも快諾するのでした。
そんなランベールですが、アンナが最もグレイスをサポートするのにふさわしい人物と認め、
「もしも期待はずれのパフォーマンスを見せたなら、次のサポート役は僕が勤めますよ」
とライバル宣言。アンナも、
「私だって精一杯がんばります!」
と受けて立つ。
この二人、いい感じにライバル同士に成長していて、グレイス=憲三郎じゃないけど、つい微笑ましく見守ってしまう。
多分、ランベールの好感度ってグレイスよりアンナのほうが高そうだし、現状一番成立しそうなのがランベールルートなんですよね。
個人的に、アンナにはランベールルートを推したい……
が、このまま『ちょっと気になるライバル』的な関係を続けていてほしい気持ちもある。
と、ここでリュカ様がグレイスに「生徒全員がベールみたいに物わかりがいいとは限らない」と忠告してきます。
てか、何気に学園内の動向を把握してるのリュカ様?
やはり子飼いの人間を学園内に忍ばせてる可能性……?(リュカ様黒幕説)
さて、放課後になり、さっそく例の三人娘がアンナに接触します。
「グレイス様があなたのこと迷惑だっておっしゃってましたよ」
「サポート役を辞退すべき」
と吹きこんでいて、なるほどそれが気に食わなかったのね。
しかしアンナは毅然とした態度で、両親からの教えを説きます。
「『あの人があなたを悪く言っていた』と告げ口してくる人がいたら、告げ口してくる人こそ距離を取りなさい。その人は別の人の前ではあなたを悪く言っている」
なかなか教訓になる言葉ですよね。
こういう人、社会人になってもいるから始末が悪い。
これには、影でこっそり聞いていた憲三郎も
「やはり見識あるご両親、同じ親として尊敬する」
と感心します。
そしてアンナは、グレイス様に直接確かめに行くと宣言。
慌てて止める三人娘ですが、アンナは毅然と
「もし真実だったとしても、グレイス様への尊敬と感謝はひとかけらも失われない」
と宣言。
もうね、めちゃくちゃいい子!
憲三郎と日菜子は親子で号泣してるけど、読者の私もウルウルきとる。
この歳になると涙腺がもろくなるんじゃ。
そこに現れるグレイス=憲三郎。
画面外で日菜子が「もしやここから『ざまぁ』展開?」と固唾を飲んで見守る中、グレイス=憲三郎は
「わたくしの物言いが、皆さまにあらぬ誤解をさせてしまった」
と三人娘に頭を下げるのです。
そうか……あの忠告で、かえって追いつめてしまったと反省したんだな。
憲三郎からすれば、三人娘なんか自分の娘より若いんだから、そりゃ本気で怒るより申し訳なさが立つよね。
他の悪役令嬢ものだと(こうやって比較するのよくないけど)、主人公が「前世+今世=精神年齢で、もうオバサン」と自称しつつも、こういう時にざまぁしてスカッとするのが定番だし、そういう展開は私も別に嫌いじゃないんだけど。
憲三郎の振る舞いを見ていると、そういう主人公たちがとたんに「若いな……」と思えてしまうから不思議。
まあ、「前世+今世=精神年齢」の計算式自体、私は疑問視してるんですよね。
人間の精神年齢って、環境に左右されるものだと思っているので。
たとえば25歳で亡くなった人が転生して15歳になったとして、その人の精神年齢が40歳になったりはしないと思うんですよ。
実際は25歳のままというか、むしろ子どもという社会から守られる存在として15年すごしていた分、幼稚退行してるまであると思ってます。
20歳から引きこもりになって社会を知らない人間が30歳になったとして、社会人やってる同級生と同じ精神年齢かというと違うよね、って話と同じで。
やはりその年齢なりの責任とか環境に身を置かないかぎり、人間は成長しないというか。
極論、あるていど肉体が育ったら、あとは人間なんて経験の積み重ねでしかないのかなって。
だから、自分が大人になった時、子どものころ想像してたほど大人になれてないな……と思うのでしょう。
……あれ、なんの話してたっけ?
まーた話が脱線しとる!
禍根が残らないよう、自ら謝ることで場を収める憲三郎。
これぞ社会人として培ってきたスキルですね。
これ、できない人のほうが多いくらいだと思うんですけど、憲三郎って本当にいい上司だったのでしょうね。
頭を下げてもプライドが傷つかない人間って、真の意味で自分をしっかり持っていて、自信のある表れだと思うんですよね。
最終的に三人娘の名前を一人ひとり呼び、これからも仲良くしてほしいと告げるグレイス=憲三郎。
扇にメモしたカンペ、さっそく役立っとる!
しかし、メモした文字はちゃんと消えるのだろうか?
親方特製の扇だから、大丈夫なのかな。
なんか変なことが気になっちゃった遅読なのでした。
【追記】
三人娘の名前はフランス語で
ヴィオレ・コルボー:Violet Corbeau(紫カラス)
ジョーヌ・モワノー:Jaune Moineau(黄色スズメ)
マロン・シュエット:Marron Chouette(栗フクロウ)
という意味らしい。どうりでモブにしてはややこしい名前だと思った。
ひょっとして『三羽烏』?
三羽烏は『優れた三人』って意味だから、ちょっと違うかもしれないけど、『3バカらす』ってことかもしれない。
まあ、『女三人寄れば姦しい』ってことでしょう。
ちなみに『vieille chouette』で『いじわるババア』という意味らしい。
『chouette』だけだと『素敵な、きれいな、感じがいい』って意味らしいけどね。
せっかくなので、少し三人娘について考察してみます。
あれほどアンナが平民であることにこだわっていた三人娘が、(直前にグレイスに頭を下げられて動揺していたとはいえ)「この学園では身分に関わりなく誰もが一生徒であり、互いを高め合う同志である」と言われ、「大きい〰〰!」と感激していた点が、ちょっとだけ引っかかっていたからです。
もちろん、本来であれば公爵令嬢であるグレイスに盾ついたのだから、実家の伯爵家を巻きこみかねない大失態でしょう。
それに、公爵令嬢グレイスには信奉者もたくさんいるだろうから、彼らも敵に回すことになりかねません。
しかし、グレイス自ら「身分に関係なく一生徒」と宣言することで、「実家は関係ない」と安心できたのではないでしょうか。
身分関係なくアンナと仲良くしているグレイスが、身分を笠にきて三人娘を断罪したら矛盾ですし、そんなこと憲三郎はしないでしょうからね。
なんとなくですが、三人娘の本音は「平民であるアンナが公爵令嬢グレイスに目をかけてもらっているのが気に食わない」ではなく、「自分たちこそグレイス様と仲良くなりたいのに」なんじゃないかと思います。
本来のシナリオならば、グレイスの取り巻きだった彼女らです。
もちろん権力者と近づくことでステータスを得るのも目的だったのでしょうが、純粋にグレイスと仲良くしたかった部分もあったのではないでしょうか。
それでも、生徒会メンバーや貴族が相手であれば、仕方がないと納得して我慢できたのでしょう。
しかし、アンナは平民です。
平民であるアンナが仲よくできているのに、自分たちはそうでない……。
「身分差があるから」と自分たちを納得させられる理由がなくなってしまったからこそ、我慢できなかったのではないでしょうか?
そう、彼女らの本音は「グレイスと仲よくしたい」のほうだった。
だから一人ひとり名前を呼ばれ、「これからも学園の仲間として仲良くしてほしい」と言われたことで、矛をおさめたのではないでしょうか。
……まあ、単純に公爵令嬢に頭を下げられては、それ以上なにも言えなかったのかもしれないけど。
まとめ
さて、長々と語ってきた『悪役令嬢転生おじさん 第2巻』の感想も、そろそろ終わりにしたいと思います。
2万字近く書いていたら、noteのアプリが重くなって書きづらくて仕方ない!
まあ、ダラダラと語ってしまった私がいけないのですが。
次回はもっとサックリまとめられるよう努力します。
それでは、今回はこのへんで!
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