「母親は苦労しなくてはいけない」という呪い ~忍耐美学論~
日本は無痛分娩の率がかなり低いそうです。
50~90%が無痛分娩を占めている欧米諸国に対し、たったの5%程度だとか。
環境が整っていない点もあるかとは思いますが、日本には「忍耐=美徳」という価値観が未だ根強いように思います。
私は普通分娩と無痛分娩、両方とも経験していますが、当然無痛分娩の方が楽でしたし、少々費用が高かったくらいで、他には何のデメリットも感じませんでした。
それどころか、産後の回復に関しても雲泥の差だったので…
正直なところ、天国と地獄くらいの違いがありました。
痛みに耐えてこそ、という謎の精神論。
心の底から不要だと思います。
その他にも、食器洗浄機を使っている、テレワークをしている、そんなことに対して「楽してるね」と言わんばかりのリアクションをされることがあります。
しなくて良い苦労なんて少ない方が良いに決まっているのに、そこがなぜだか受け入れられない。
ちなみに、理解のない人ほど、それほど大きな負担は抱えてない傾向にあります。
とても協力的な旦那さんがいる時短勤務のママさん、離婚して子供を妻に引き取られて独り身になった男性など。
子供3人と高齢の父親の世話もしているワーキングマザーだとか、忙殺されているような人ほど、苦労を軽減するための行動に対する理解がある気がします。
やはり、自分が経験していない苦労を理解することは難しいのでしょう。
若手の社員に、ワーママの大変さを分かれと言ってもピンと来ないのと同じですね。仕方のないことなのかもしれません…。
でも、自分より大変な状況に置かれているという他人を批判するのって、そもそも人として、ちょっと違う気もするんですけどね。。。
以前、転職活動をしていた時にも、こんな事がありました。
家族経営の会計事務所の面接を受けたのですが、40歳前後の男性と一緒に、おそらくその方のお母様と思われる70代くらいの女性が出てきました。
履歴書の「配偶者なし」「扶養家族あり」を見れば、私が一人親であることは分かるわけですが、その老婦人はかなり早い段階で、私の離婚に関する質問をしてきました。
そして、顔をしかめて「我慢が足りない」というようなことを言い、咎めるのでした。
もちろん、通常こんなことを面接官側が言ってはいけないのですけれど、小規模な個人事務所ですから、何でもありです。。。
そもそも、ハローワークに出ていた募集内容と相違があり、対応できない勤務スタイルだったので、仕事を休んでスーツを着て出向いた苦労は全て徒労に終わったのですが…
(余談ですが、同席してた男性は非常にオドオドしており、一言も発さず。この強烈なお母様の支配の象徴のような人でした)
この「母親(妻)は苦労しなくてはいけない」という、忍耐美学論は一体どこからやってきたのでしょうか?
もちろん寛容であることは素晴らしいですし、話し合って解決できれば、それが最良ではあります。
でも、夫はろくでなし。妻はそれに耐えなさい。
この刷り込みって、いつまで必要なんでしょうか?
これがなくなるだけでも、不幸な母親ってだいぶ減るのではないでしょうか。
自分たちがしてきた苦労を、下の世代は味わわずに済むなんて許せないという老婦人もいらっしゃるかとは思いますが、知ったことではありません。
時代は変わるし、私たちは幸せになる権利があるんですから。
人を傷つけたり、迷惑をかけないのであれば、図々しくなったって良いのです。
(アダルトチルドレンである自分にはとても難しいことなので、あえて強めに書いていますw)
こんな時代錯誤な「呪い」は、とっくに不要です。
これが日本の国民性だとするなら、恥ずべきことです。
かつて、女性たちが耐えて作った呪いは、今の時代を生きる私たちの手で変えていかなくてはなりません。
大変ですけどね。森元会長が女性蔑視発言をして、あれだけ世界中から叩かれたり、少しずつ日本も本当の意味での男女平等に向けて変わってきてはいます。
性差がある限り、完全な平等なんて有り得ないからこそ。
体力や力では敵わないからこそ、やはり女性は尊重されなくてはならないと思うのです。
…以上、読んでいてうるさいと感じたのなら、まだまだ日本の国民性と言われる「忍耐美学」の呪いが解けていない証拠ですw
働くことは楽しいです。
そんな特権を、母親になっても手にしていきましょう。
乳幼児の育児は仕事をするより遥かに大変です。
その苦労を、男性にも分かってもらいましょう。
時代を作るのは私たち、そして未来を担うこれからの子供たち。
手を繋いで皆で苦労する、仲間外れを許さない国民性を変えて、皆でより豊かな生活を送るために多様性を認めなくては。
不要な苦労という呪いを捨てて進んでいきたいものですね。