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【選挙ウォッチャー】 沖縄県知事選2018・分析レポート。

日本中が大注目していた沖縄県知事選は、玉城デニーさんの当選が確実となりました。実は、複数のメディア関係者から「ゼロ打ち」もしくは「ゼロ打ちに限りなく近い状態」で当選確実が出ると聞いており、僕が街に下りて集めてきた「街の声」とも符合したため、速報性を持ってお届けできると判断し、このたび、比較的早いタイミングで沖縄県知事選の選挙分析レポートをお届けできるようになりました。沖縄県民は安倍政権のやりたい放題の中で生きるのではなく、自立した経済を選んだということになります。これまで重要な選挙で勝ち続けてきた安倍政権ですが、先日の自民党総裁選では石破茂さんが予想外の善戦をし、沖縄県知事選は「オール沖縄」に惨敗する形となったため、これは「終わりの始まり」かもしれないという危機感が自民党内部に広がっています。安倍政権を中心とした日本会議系の人たちは「絶対に負けられない戦い」で負けたのです。

玉城 デニー 58 新 オール沖縄
佐喜眞 淳  54 新 自民・公明・維新・希望
渡口 初美  83 新 琉球料理研究家
兼島 俊   40 新 IT会社勤務

今回の選挙は、自民・公明・維新・希望、水面下で「幸福実現党」が支持している佐喜眞淳さんと、立憲民主党・共産党・社民党・自由党・国民民主党が「推薦」ではなく「支持」という形を取っている玉城デニーさんの事実上の一騎打ちでした。渡口初美さん、兼島俊さんも立候補していましたが、かなり厳しい戦いになったことは言うまでもありません。そして、今回は玉城デニーさんが勝利することになりました。


■ 玉城デニーさんは唯一の「勝てる候補」だった

ご存知の通り、今回の沖縄県知事選は今年8月に翁長雄志知事が急逝したことに伴い、9月30日に前倒される形で行われました。当初は11月に行われる予定だったのですが、驚くことに、オール沖縄側はあれだけ体調が悪そうに見える翁長雄志さんをそのまま擁立する計画で、その他の選択肢をまったく考えていなかったのです。そのため、完全にイチから候補者を立てなければならない難しい調整になったのですが、謝花喜一郎副知事、糸数慶子参議院議員、城間幹子那覇市長などの名前も挙がりつつ、その中で唯一勝てる可能性のある玉城デニーさんが擁立されることになったのです。おそらく現実的な路線の中で唯一、勝てる可能性があったのが玉城デニーさんだったので、すべては玉城デニーさんを擁立できたことによる勝利と言えます。翁長雄志さんによる遺言があったとされますが、さすがは翁長雄志さんだということになるでしょうか。


※ 訂正とお詫び

玉城デニーさんが立候補しなかったら鳩山由紀夫さんが立候補していたかもしれないという記事を書きましたが、複数から「その可能性はない」とのご指摘をいただき、こちらの内容も沖縄県民の方々の怒りを買っているという話をいただきました。よって、該当箇所を削除するとともに、お詫びと訂正をいたします。このところ、記事の信憑性の問われる事案が多発しており、読者の皆様には大変ご迷惑をおかけしております。申し訳ございません。


■ 翁長雄志さんが亡くなっても安心だった副知事たちの活躍

あまり知られていないかもしれませんが、今回の沖縄県知事選で一番の立役者は謝花喜一郎副知事、富川盛武副知事です。翁長雄志知事が昏睡状態に陥った際、すぐに記者会見を開き、あくまで体調が回復することを前提に、しばらくの間、県政の混乱を避けるために自分たちが知事職を代行すると発表しました。その日のうちに翁長雄志知事が亡くなったため、知事の椅子は次の知事に引き継がれることになったのですが、謝花喜一郎副知事はゼロから擁立することになった「オール沖縄」の候補を決めるために奔走し、自分に白羽の矢が立っても、そこは冷静に「もっと勝てる候補を」ということで、玉城デニーさんを擁立するための後押しをして、オジサンたちに脅されても翁長雄志さんが進めた承認撤回の手続きをしっかりと前に進め、円滑にバトンタッチしたのです。翁長雄志知事を支えた副知事たちも、翁長雄志さんの遺志をしっかりと継ぎ、1ミリもブレることなく、そのままバトンを引き継いだのですから、こんなに仕事のできるオジサンをなかなか見られるものではありません。

世の中が、自分のポジションのことしか考えていないクソみたいなオジサンで溢れているため、まったくリスペクトできないジジィばっかりなのですが、こんなに仕事のできる敏腕なオジサンたちが翁長雄志さんを支えていたのかと思うと、実は、沖縄県はメチャクチャスゴいです。安倍政権を見てください。アホの回りにアホばっかりです。県民のために仕事をするというのがどういうことなのか。それを仕事ぶりで示してくれているオジサンたちがいるというのは、ものすごく頼もしいことだと思うのです。


■ 佐喜眞淳さんは小泉進次郎さんを3回投入する全力投球

今年2月の名護市長選の時でさえ、小泉進次郎さんがやってきたのは2回でした。2回来るだけでも相当な力の入れようだと思ったものでしたが、佐喜眞淳さんの応援には3回もやって来て、「進次郎フィーバー」を巻き起こしていました。しかし、最初の1回は安室奈美恵さんのラストライブに重なり、陣営は話題性を見込んだはずでしたが、不発に終わりました。僕が見ることができたのは3回目の投入時なのですが、プロモーションがうまくできなかったのか、平日の昼ということもあって、それなりに人は集まっていたものの、名護市長選の時のような熱狂を感じることはありませんでした。

小泉進次郎さん最後の街頭演説地に、玉城デニーさんを応援する「おばあ」たちが乗り込んでしまい、マスコミがおいしそうに取材をするハプニングもありました。おばあたちは良かれと思って来たのだと思いますが、次々と佐喜眞淳さんを応援する弁士たちに「私たちは『対立より対話』を掲げているので、相手候補を応援する人たちも応援に来てくれたのでしょう」などと言われるようになってしまい、完全にマイナスプロモーションなので「やめた方がいいですよ」とアドバイスをする人もいたのですが、まったく聞く耳を持たないおばあたち。彼女たちもガチなのです。そして、とうとう小泉進次郎さんにまで「相手候補にまで応援されて、佐喜眞淳さんは素晴らしい候補ですね!」と利用されて強烈なイヤミを言われる始末。これでようやく気付いたのか、おばあたちは小泉進次郎さんの演説の途中で居心地が悪くなり、すごすごと帰って行くことになりました。

ただ、利用されたことは利用されたのですが、小泉進次郎さんの性格の悪さは完全に可視化されました。なにしろ、相手はただ平和を望んでいるヨボヨボ気味のおばあたちなんです。彼女たちのお母さんは他界しているでしょうけど、戦争で酷い目に遭ってきて、そんな話を聞かされて育った人たちであり、言ってしまえば、そこらへんにいる善良な市民です。経済のためだと言って基地を増やそうと言っている人たちに納得がいかなくて来てしまっただけなのですが、そんな人たちに向かってイヤミにイヤミを重ねて不敵な笑みを浮かべる小泉進次郎さんの性格の悪さ。皆さん、小泉進次郎さんは良い人だという印象を持っているかもしれませんが、こんな所を見ると、小泉進次郎さんは腐れ外道です。「お気持ちは分かりますけど、僕たちにも正義があるんです!」とか言ってあげればいいのに、何度も何度も「相手陣営から応援荷来てもらえて最高ですね」みたいな話をしているんですから、優しさが足りません。もっと言うと、「この選挙はたくさんのデマが飛び交って何が本当なのか分からなくなってしまった」などと言っていましたが、デマを飛ばしているのは佐喜眞淳さんの陣営であり、小泉進次郎さんはどちらがデマを流しているのかを十分にわかっていながら、それを逆手に取るように、あたかも玉城デニーさんの陣営がデマを流しているような雰囲気で「デマが飛び交っている」と言っているのです。こういう「あざとさ」が人気につながっているのかもしれませんが、これはクレバーなのではなく、ただ性格が悪いだけです。僕は小泉進次郎さんに対して、特に良いイメージを持っているわけでもないけれど、悪いイメージを持っていたわけでもなかったですが、「この人は大人の事情に毒されて性格が悪くなってしまった」と感じました。無駄に小泉進次郎さんの人気が高いのも、実は、あまり根拠のない話なので、小泉進次郎さんの動向については慎重に見守っていく必要があると考えています。

そして、僕は佐喜眞淳さんや小泉進次郎さんの登場を待っている人たちに「なぜ見に来たのですか?」と聞いてみました。話しかけられた大人たちは全員、なんだかバツが悪そうで、「たまたま通りかかっただけで関係ない」という話をしました。明らかに待っているのに、待っているわけではないという態度を取るのです。一方で、若い人に話しかけてみると、素直に「見に来たくて見に来ました」と教えてくれました。「佐喜眞淳さんを見に来たのですか?小泉進次郎さんを見に来たんですか?」と質問すると、笑顔で「両方です」と答え、「ここに佐喜眞淳さんがやってくるという話はネットで流れていたのを見たのですか?それとも誰かに教えてもらったのですか?」と質問すると、「知り合いから聞きました」と話していました。やはりネットで流れている情報をもとに集まっているのではなく、クチコミで浸透していることがよくわかります。


■ 創価学会の造反者が続々と増えてしまった

今回、公明党がゴリゴリに引き締めを図ったため、反発する人たちが現れるようになってしまいました。今年2月の名護市長選の時にも造反する人は現れたのですが、今回は創価学会の三色旗を持って玉城デニーさんを応援する人たちが現れるほどで、佐喜眞淳さんのお膝元である宜野湾市や浦添市の幹線道路に「学会は辺野古反対」という貼り紙が貼られるようになりました。当初は創価学会の信者とそのフレンド票で10万票を集めると言われていましたが、熱心な創価学会信者が「池田大作先生の教えに反する」として、玉城デニーさんに投票しています。こうした動きに勇気を持った創価学会の信者もいたと思われ、公明党票は少しずつ崩される結果になりました。


■ 公明党の遠山清彦さんがデタラメだらけのツイート連発

今回の沖縄県知事選で、佐喜眞淳さんが敗北に至った最大の原因、ズバリ、「A級戦犯」と呼ぶべき存在は、公明党の遠山清彦さんだと断言したいと思います。もしも僕が佐喜眞淳さんの陣営で選挙プランナーとして選挙戦略を組み立てていたとしたら、秒殺で首を絞めているところです。それだけ責任は重大で、公明党の票を切り崩して玉城デニーさんに流し、一般の有権者をドン引かせていた張本人が、遠山清彦さんだったのです。遠山清彦さんの「幸福の科学」とまったく変わらない気持ち悪さ全開のツイートは、玉城デニーさんをデマで貶めようという感情が出ていて、これが有権者に最も嫌われる内容だったことは言うまでもありません。選挙期間中に、ただ相手を貶めようとする内容を発信することがどれだけ票につながらないか。それを玉城デニーさんを応援している人たちは、名護市長選新潟県知事選で学習してきたのに、遠山清彦さんはデタラメに次ぐデタラメで、公明党のくせに「幸福の科学」とズブズブの「八重山日報」を引用したかと思えば、「チャンネル桜」の素人キャスターである栗秋琢磨さんが政治資金規正法違反で刑事告発するという、ネトウヨがよくやる手口で悪いイメージをつけるという作戦を喜んでツイートしているわけです。この栗秋琢磨という人物については、今後のレポートの中でも登場すると思うので、覚えておいてもいいかもしれません。香山リカさんに名誉毀損で訴えられており、まもなく30万円~50万円の賠償金を支払わなければならない運命にある人物です。

ある時から「遠山デマ彦」と呼ばれるようになった遠山清彦さんがツイートしている小沢一郎さんの別荘の話もデタラメです。ネトウヨの間では「辺野古基地の建設によって土地の値段が上がることを想定して宜野座村に豪華な別荘を買っていた」と噂されるようになったのですが、そもそも辺野古基地と宜野座村の位置関係をまったく理解していないアホっぷりで、こうした無意味なディスり合戦が有権者に嫌われた感は否めません。遠山清彦さんから漂ってくる創価学会とは異なる微妙な「カルト臭」が、感覚的に受け入れられなかった可能性も高いです。基本的に風貌がなかなか個性的なのに、やっていることまで気持ち悪いとなると地獄です。


■ 佐喜眞淳さんの公約が「デマ」ばかりだった

これから「選挙戦略分析レポート」をリリースする予定ですが、佐喜眞淳さんの敗因は、その公約がデマばかりだったことにあります。実現可能な公約を掲げることができず、「携帯電話4割引」「沖縄にプロ野球チームを作る」などの渡具知方式(名護市長選で採用された若者ベースの夢を取り入れた公約を掲げる)を前面に出してしまったため、MICE事業の拡大など、佐喜眞淳さんが得意とする土建屋に儲けさせる公約などがぼやけてしまったこともあります。デマと組織票だけで選挙を勝ってきた自民党の勝利の方程式が完全に崩された瞬間であり、今頃、自民党の皆さんが大変なことになっていることは間違いありません。


■ 沖縄県に蔓延する「ネトウヨカルト」が及ぼす悪影響

沖縄県に広がるネトウヨカルト。日頃から「中国が攻めてくる」とか「美しい日本」とか言っているネトウヨカルト団体は、非常に大きな影響力を持っています。このあたりの事情に詳しい古谷経衡さんは、このネトウヨカルトこそが佐喜眞淳さんを落選に導いた元凶だと言っていますが、確かに、そういう一面もあるかもしれないのですが、実際のところは、若年層を中心に効果を発揮していると言えると思うのです。それが先日のキャバクラレポートでお届けしている内容なのですが、僕たちが「さすがにアホすぎるだろ!」と思うものを沖縄に限らず、全国的に若者たちが信じる傾向にあるということです。パソコンに送られてくる迷惑メールを見ても、「こんなのに引っかかる奴はいないだろう!」と思うかもしれませんが、引っかかる奴がいるから送られてくるわけで、ネトウヨカルトは着実に広がっており、こうしたカルトを撲滅していかなければ、やがて全世界をカルトに支配されるようになると思うのです。かつて日本の歴史に、天皇を神だと信じ、敵艦に特攻して死ぬことが美徳とされた時代があったように。まさに、ネトウヨカルトの人たちは、あれと同じものを作りだそうとしているわけですから。


■ 渡口初美候補の主張

ベーシックインカムの重要性を訴える83歳の琉球料理研究家・渡口初美さん。TwitterなどのWEB回りを長男が担当していたようですが、デザインをはじめ、IT戦略に優れており、高齢ということもあって街頭での精力的な訴えはできなかったようですが、WEBを中心に有権者に訴えていました。キャッチコピーは「正直、公正、ベーシックインカム」ということで、自民党総裁選で石破茂さんが掲げて安倍晋三総理周辺から自粛するように求められた「正直、公正」を大胆にも沖縄県知事選で使ってしまう作戦でした。従来の選挙の常識を覆すような非常にスタイリッシュなポスターのデザインが印象的で、公約は「ベーシックインカムで県民全員に30万円を配る」という斬新すぎる内容だったので、さすがに実現するのは難しかったのですが、沖縄県民に「ベーシックインカム」という言葉の認知は少し広げたのではないかと思います。「ベーシックインカム」が何なのかを理解した人まではいなかったかもしれませんが。

渡口初美さんや兼島俊さんの主張については、ジャーナリストの畠山理仁さんや、もしかしたら僕よりも先に「選挙ウォッチャー」を名乗っていたかもしれない宮原ジェフリーいちろうさんなどが取材していますので、僕よりもちゃんとした人たちだと思いますので、このお兄さんたちが書く記事を読むのがよろしいのではないかと思います。なお、この選挙期間中、渡口初美さんと兼島俊さんは共同でイベントを開催したりしていて、光の当たらない「泡沫候補」と言われてしまう二人がタッグを組んでいたのは、とても面白い試みだと思いました。できれば、いつまでもお元気で4年後も選挙に挑戦していただきたいと思いました。


■ 兼島俊候補の主張

兼島俊さんは、ITの会社で働く40歳の会社員だったそうで、かなり「イマドキ」の候補です。「ずいぶんと票を割るために立候補したのではないか」と言われたそうですが、今の政治に「このままではいけない」という危機感を抱いて立候補しただけの、言ってしまえば「ピュアな人」だと思います。兼島俊さんはネットを中心に若年層を取り込みたいと考えていたようで、対立を好まず、基地賛成という意見も一つの意見なのだから認めるべきだというスタンスでした。しかし、ネットで活動する場合には「拡散力」がポイントになるため、Twitterのフォロワーが1000人を下回る状態でムーブメントを巻き起こすのは非常に難しいです。最終的にどれだけの人にリーチできるかと考えた時に、バズられるだけのイベントを用意しなければならないからです。渡口初美さんとのコラボイベントなどは斬新ですが、それでも若者たちに興味を抱いてもらうだけの動機にはならず、かなり苦しい戦いを強いられることになったと思います。また、政策を伝える手段が主にSNSだけになってしまったこともマイナスで、支えてくれる人があまり多くない「サポーターがいない」ということも票が伸び悩んだ要素だと思います。

一時期、兼島俊さんのポスターばかりが破られていると話題になったのですが、これはポスターに使用している紙の質と、ポスターが上下をビニールテープで止めているだけだったことが原因で、けっして誰かの嫌がらせを受けているわけではないと考えられます。沖縄の強い風、にわか豪雨の影響で自然と剥がれて破れてしまったので、まさか兼島俊さんに嫌がらせをする人で溢れている残念な沖縄県ではありませんでした。1万票ぐらい取れる方法はあったと思いますが、地味にネットを中心に活動するだけでは、ほとんど票を取れないということだと思います。


■ 前回(2014年)の選挙結果

前回はいきなり沖縄県民を裏切り、辺野古基地を容認する側に回ってしまった現職の仲井真弘多さんを「オール沖縄」の翁長雄志さんが圧勝し、辺野古基地建設に反対する体制が出来上がった選挙になります。ずっと昔から市長をやっていたようなイメージがありますが、まだ1期しかやっていなかったということになります。あれだけ県民のことを思い、沖縄を発展させるために全力を尽くしていた知事なので、志半ばの1期途中で急逝してしまったのは残念でなりません。お元気であれば、あと2期ぐらいできたと思いますが、その遺志は玉城デニーさんに継がれたことになりますので、しっかりと沖縄県民のために頑張っていただきたいと思っております。

[当]翁長 雄志  64 新 36万0820票
[落]仲井真 弘多 75 現 26万1076票
[落]下地 幹郎  53 新  6万9447票
[落]喜納 昌吉  66 新    7821票

投票率は64.13%でした。翁長雄志さんは辺野古反対なので公共工事をやらないというイメージがありますが、実は、翁長雄志さんが知事になってから公共工事は増えており、沖縄の経済は順調に回っています。翁長雄志さんが無駄なハコモノにすべて反対しているようなイメージを持つ人がいると思いますが、実は、翁長雄志さんは「辺野古基地」に反対しているだけで、高江のヘリパッド工事は予定通りに進みましたし、その他の公共工事は容認していましたので、やはり自民党の流れを組む知事であることには変わりがないのです。


■ 今回(2018年)の選挙結果

今回の沖縄県知事選で、玉城デニーさんが獲得した39万6632票というのは、沖縄県知事が獲得した過去最多の数字ということになります。これは下地幹郎さんや喜納昌吉さんに比べてライバル候補が極端に弱かったことも影響しており、兼島俊さんや渡口初美さんはネットを中心に選挙を戦いましたが、1万票さえ取れなかったのは、選挙はネットだけでは票が取れないからだということです。玉城デニーさんと佐喜眞淳さんの得票数は約8万票で、これは玉城デニーさんの「完勝」を意味します。NHKが開票率2%の段階で当選確実の報を打ったのは、期日前投票や当日の出口調査で玉城デニーさんが約20ポイントほどの差をつけて勝っていたのですが、名護市長選の時のように出口調査で嘘をつく人の割合を慎重に見極めたため、朝日新聞系列が時報とともに当選確実を打つ中、NHKは1時間以上かけて開票のデータを見て、絶対に間違いがないと思われる段階で当選確実を打ったということです。実は、期日前投票は選挙序盤で14ポイント、終盤では20ポイントほど玉城デニーさんが勝っており、キャバクラレポートをお届けした夜は、既に20ポイントのリードがあるという情報を得ており、最高に拡散されるタイミングでレポートを出すことができました。

[当]玉城 デニー 58 新 39万6632票
[落]佐喜眞 淳  54 新 31万6458票
[落]兼島 俊   40 新    3638票
[落]渡口 初美  83 新    3482票

投票率は63.24%でした。明日、無料公開レポートをお届けしようと思いますが、キャバクラレポートはネトウヨと一部リベラルの皆さんに叩かれていますが、ネトウヨはともかく、一部リベラルの皆さんに叩かれているのは「玉城デニーさんの票に影響するだろ!」ということだと思うのですが、もし玉城デニーさんの票が削れることになったとしても、佐喜眞淳さんの票が削れることも書いているので、僕にどちらかの票が削れる可能性のあるものを「書くな」と言っている時点で要求がおかしいのです。そして、あのキャバクラレポートの反響は非常に大きく、大学教授やジャーナリストの皆さんに届いており、こうした人たちは本質を理解してくれているので、研究・分析に乗り出そうという動きになっています。僕は「選挙ウォッチャー」なので、とっとと次の選挙に旅立たなければならないため、あらゆる入口を作ることしかできません。深く掘って、ちゃんとお伝えする作業は誰かに委ねなければならないので、ここは役割として、僕は次の選挙を追いかけ、そこで新しい問題点を発見したいと思います。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

今回、玉城デニーさんが知事になったことは、沖縄の命を救ったと思います。基地問題はもちろんですが、佐喜眞淳さんが作ろうとしていたのは「カジノ」です。沖縄はパチンコが大流行し、沖縄の男たちの多くが借金漬けの日々を過ごしていた歴史があり、もし沖縄のカジノができて大流行しようものなら、ますます沖縄の人たちが貧困に陥り、治安が悪くなり、経済が伸び悩むことになります。沖縄の豊かな自然や青い海を生かすことなく、海外資本のカジノが日本の利益を吸い取るような構造を作ってはなりませんでした。安倍政権の売国政策にストップをかけられたのは非常に大きいと思います。

こうして沖縄を守ることができたのは、玉城デニーさんを応援し、本当に沖縄のことを思って行動していた地元のお母さんやお父さんたちです。東京からやってきた僕たちが佐喜眞淳さんの陣営が流したデマに対抗したり、イメージプロモーションに警鐘を鳴らしたり、SNS上の空中戦を繰り広げてきたことも無駄ではなかったと思いますが、やはり選挙の票を拡大するのは「地上戦」なのです。1票かもしれないし、2票かもしれないし、直接的に獲得した票数は少ないかもしれないですが、それでも地道に1票ずつ獲得していった、本気で玉城デニーさんを応援していた地元のお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、そして一部の若者たちが、目の前の1票を獲得していったから玉城デニーさんは勝ったのです。誇り高き沖縄県民の皆様に心からのリスペクトを。とっても面白い選挙を見させてもらいました。[了]

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