『論理哲学論考』の定義が現実を反映したものではなかった
· 2023年12月24日 ·
ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』で使われている定義が現実を反映したものではなかったからですね。
Yes/No が明確な「命題」を相手に、数学論理を応用した「記号論理」を用いた結果、「語り得ぬことは沈黙せざるを得ない」が結論になっています。
ところが、現実世界で用いられている言語――日常生活言語――はナンセンスをも含み、Yes/Noが不鮮明な文脈をも扱っています。それでも流通しているこの事実。
10数年の間、ウィトゲンシュタインは「哲学的問題は全て解決した」としてなりを潜めていましたが、後期ウィトは「言語ゲーム」という概念を用いて言語哲学に再挑戦しました。ここいらへんの膨大な原稿やメモ類は死後編纂されて『哲学探究』などが刊行されています。
言語がやりとりされている「その現場」=状況をも加味しないと、意味や意図は正確には伝わっていないことに気がついたけど、その世界では変数が膨大にありすぎ、可能性は無限になってしまいます。
僕は「文字表現世界」としてのネット社会を利用すれば、言語の流通性や非厳密性を立証できるだろうと目論見、2ちゃんねる哲学板『哲学は難しすぎる』スレ(1,2)にて自分なりに実証した手応えを得て、ネット上での拡散考動を始めたわけです。