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[📕ゆる読書録] 『命の島 遠州船遭難顛末記』 竹中敬明

旅行でたちよった、浜松の駅ビルの中にある谷島屋書店で購入。旅のお土産に、新幹線のお供にでもと入ってみた。大型書店だったが、並べてある本は都内とさほど変わらない感じがした。配本の仕組み上、同じような流通になってしまうのは仕方ないか。
せっかくだから地域の本ならと、静岡郷土の本コーナーで一冊購入。版元も羽衣出版と静岡っぽい名前。

江戸時代に、新居に住む船乗りたちの話。積み荷を各地に運ぶ仕事をしていたが、房総半島から流され遭難してしまう。やがて島に流れ着いたが、ヒトもいない、水もない場所で、故郷へ帰ることを夢見ながら、20年サバイバル生活を送る。最終的には12人いた船員が3人にまで減ってしまったが、同じく遭難してきた船と一緒に乗り込み、八丈島までなんとかたどり着く。奇跡の生還者として、将軍吉宗や大老などに労をねぎらわれ、故郷へ戻る。そして3人は天寿を全うする。
当時の記録などを元とし、小説にしたてた本。さっぱりして読みやすい。

島に流れ着いた船乗りたちが食料を探していると、おおおきな鳥たち(アホウドリ)がたくさんいる。鳥たちは人なつこく、怖がる様子もないので、簡単に捕獲された。船員は呵責を感じながらも、鳥は主たる食糧として、最後まで船員たちの助けとなった。
あれ? 既視感……たしか、ドードーが絶滅したときも同じようなエピソードがなかったっけ? 島に上陸した人間たちが、飛べない鳥……人なつこく怖がらない鳥を、棍棒で次々と捕獲し食糧にした。
ドードーは絶滅(最終的には剥製にするためだったか)、アホウドリも羽毛のため乱獲され絶滅寸前までいったようだ。なんとも人間は罪深い。

ブックカバーに、底歩さんの将棋格言グッズ『振飛車』。和風がマッチ


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