サボりすぎて免許合宿が1週間のびた件
大学2年の夏休みの某日、私は3度目の運転免許の学科試験を受けるべく、茹だるような暑さのなか水戸まで来ていた。学科試験は、学歴だとか頭の良さだとかは要求されず、それなりに対策すれば誰でも受かるはずの試験である。しかし、私は圧倒的な勉強不足により2度も続けて落ちた。水戸との往復でかかる交通費と試験費で既に3万円もの大金を溶かしていたし、やるべきこともできない自分が嫌になった。そもそも、こういったことは最後の学科試験に始まった話ではない。
話は免許合宿の初日にまでさかのぼる。私は持ち物リストにはっきりと記載されていたはずの住民票を家に忘れ、3日後までに自動車学校に住民票が届かなければ何か恐ろしいことが起こるため(詳しくは分からないが、とにかく3日後までに届くようにしろと教官に言われた)、必然的に親に迷惑をかけることとなった。そして、3日後無事に住民票が届いたと知らされ安堵したのもつかの間、いつも通り教習を受けていたところ、教官にこんなことを言われた。
「えっ?きみ、メガネは?」
心臓が一瞬だけキュッとなった。私は視力が悪いが当時は眼鏡をかける習慣がなかった。
「かけてないです、、」と、とりあえず応答するも、
「うーん、きみの視力だとかけないと教習を受けたことにはならないはず」
と言われ、目が点になった。またもや何か恐ろしいことが起きる予感がした。というか、間違いなく恐ろしいことが起きるだろうと思った。授業時間の途中なのにもかかわらず車から降ろされ、視力検査を受け、基準をやはり満たしていなかったため、私は3日間受けた教習をすべて受けなおすことになってしまった。アホなのか?
読者の皆様はこの時点でドン引きであろうが、私のやらかしはまだまだ続く。仮免の学科試験を一度落ちる。座学の授業を寝坊により飛ばしまくる。卒検にて、縁石にぶつかりそうになったことで教官にブレーキを踏まれ、落ちる。これらにより、私はもともと2週間ほどしかない免許合宿の期間が1週間ほど延び、自動車学校に3週間もの間滞在することとなってしまった。
さて、時間軸を3度目の水戸での学科試験に戻そう。結論から言うと、私は無事合格した。無事というか、2度も落ちているので別に何もかも無事ではないのだが、とりあえず受かった。自分の受験番号がパネルに表示されたときには全く嬉しいという感情がこみ上げず、むしろ今まで何をやっていたのだろうという自己嫌悪に陥った。つくばに戻り、自室でへたり込む。コロナと自分の鬱屈した感情が原因で何もできなかった大学2年目の夏が終わろうとしていた。
これまで書いてきたように、散々振り回されて苦労した挙句取得した運転免許証だが、現在私はペーパードライバーとしての道を順調に歩んでいる。実にくだらない。が、最近自分以上に免許取得の過程でやらかしている人がいると聞き、自分が1番ひどいというわけではないことを知って気が楽になった。同級生は4回卒検に落ち、先輩は3、4回学科試験を受けなおしたらしい。これからも自分は様々な場面でやらかすと思うし、読者の皆様もやらかすかもしれないが、もっとひどい人というのは常にいるものなので、あまり気を落とすのも考えものだと思う。