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琵琶湖畔の貸し切り宿「福田屋」の、宿泊記という名のラブレター書きました。


宿泊の感想を書こうと思ったら、ラブレターみたいになりました。
結論、福田屋が大好きになってしまったよというお話です。
あの豊かな1泊2日を、記憶の中からいつでも引き出せるように、ここに書き残しておきます。

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琵琶湖に向かいました

みなさん、GO TOトラベルには慣れましたか。トラベルしてますか。
見る蔵は友達4人と一緒に、人生で初めて琵琶湖にトラベルしてきました。
京都から、湖西線(という未知の路線を走る大変エモい電車)に乗って。

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窓の外をみると、小さな家や林の間から湖が見えるようになり、徐々にその景色は開けてきます。車窓越しに流れていくその風景に心奪われていて、気づけば車内に私たちしかいなくなった頃、目的の近江今津駅に到着しました。
湖のそばをずーっと沿って来て、いよいよ福田屋に着いた!
私たちはこの日をずっと楽しみにしていたんですよ。


100年以上、街を見守ってきた建物

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想像してたよりも大きなお宿です。扉を開けて温かく迎えてくれたのは、宿を運営するご主人ニシムラさんと、女性スタッフのヤナイさんでした。

雰囲気のある宿の佇まいに驚いていると、「この建物は昔は旅籠だったんですよ」と、ヤナイさんが教えてくれました。ヤナイさんはとてもにこやかにお話をする人で、ときどき言い間違いをしたり、冗談を言ったりします。子供のころ住んでた家の近所の、仲のいいお姉ちゃんみたいな人。
建物のこと、街のこと、琵琶湖は泳いでも海みたいにべとべとしないから夏は最高だけど今はもうめちゃくちゃ水が冷たいこと、、、何でも楽しそうに教えてくれました。

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ヤナイさんはこの街のご出身ではないと言っていたけれど、外から来たからこそ感じたこの土地の良さを、しっかりと受け止めておられるように思いました。
そんなヤナイさんの愛あるお話を聞いて、来て早々この場所に親しみを感じてしまっている自分がいました。あ~、ただいま。やっぱこの街いいよねって。

初めて来たのに、懐かしい

そして館内ツアー。今日は私たち1組しか泊まりません。福田屋さんは1日1組限定のお宿なのです。ヤナイさんもひとりじめです。

玄関、靴を脱いで上がり廊下を進むと、そこには!囲炉裏とかまどのお部屋!タイムスリップしたような風情ある空間に、一同、唖然。そして大歓喜。

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そこにはご主人ニシムラさんがいて、今晩のおかずの 厚揚げとカブの炊き合わせを囲炉裏でくつくつ仕込んでいるところでした。

「夏は囲炉裏で釣ってきた鮎を焼いたりしましたね。」「お正月はこの釜を使って餅つきができると思います。」と話すニシムラさん達。なんだそのニッポン満喫アクティビティは……。
1組限定なので、滞在のアレンジも様々だそうで。湖を眺めながらBBQしたり、花火をしたゲストも居たらしい。ここで花火なんて、絶対最高だよね~!なんて、大盛り上がりしました。

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さらに奥へ進むと、ついにそこは琵琶湖を一望できるダイニング。小波の音まで聞こえます。極限まで、シンプルなダイニングです。テーブルとイスと、両脇にベンチとクッションのみ。何も飾らない。装飾しない。
そのシンプルさがむしろ、情景の良さを何倍にも引き立てていました。

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2階の寝室もそう、シンプルなつくりです。だって、窓の外の景色がとにかく良いんだから。刻一刻と表情が変わっていく、湖と空。見飽きない色の混ざり合い。思わず見惚れていると、はっと気づく。
いつぶりかな、こんなにゆっくりと自然を眺めたのは。心が洗われる景色に出会えたのは。これは奇跡かな、今日は奇跡の一日なんじゃないかしら。

豊かな滋賀の食卓

やっぱり奇跡の一日だったなと確信したのは、その日のディナーでした。
お寿司や天ぷらも食べれるらしいけど、せっかく滋賀県琵琶湖畔のお宿に来たので、「湖水料理」の会席料理をオーダー。湖水料理……初めて聞くジャンル。

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それは湖で獲れたお魚をはじめ、地の食材を使ったお料理のコース。「滋賀は、京野菜みたいなブランド的なお野菜はないけれど、にんじんとか玉ねぎとか、よくあるお野菜がとーってもおいしいんです!」とヤナイさんはまたにこにこしながら言います。

ニシムラさんのこだわりの品々を丁寧にテーブルに並べてくれました。
ヤナイさんは時々、お料理と一緒に、ダイニングの本棚においてある琵琶湖の魚図鑑も持ちだして説明してくれる。「このお魚が、これですよ。琵琶湖にしか、生息してないんです。」(ヤナイさんはとにかくこの場所が好きみたいだ。)

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そしてニシムラさんのお料理は、もう言葉では言い表せないくらい、本当に本当に、すべておいしい。一口ひとくちが、幸せをもたらしてくれる。
繊細な味わいのなかにこだわりが詰まっているのが分かります。個性的な地の食材も、美味しく堪能させてくれました。

お献立は無いそうです。その日仕入れた食材を使って考えます。しかもゲストの好みを想像して。
今日は女性がたくさんいらっしゃるって聞いたから、ってヤナイさんの提案で作ってくれた、「マコモダケの自家製XO醤炒め」の衝撃的な美味しさ。

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そしてそれを含むおばんざいを、みんなでわいわい取り分けて楽しめるように、綺麗で大きな器に盛って出してくれたこと。私は嬉しくて忘れられません。コリッコリに引き締まった鯉のお刺身も、とろけるような近江牛の肉じゃがも、、ああ、、、忘れることができません。

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感激のサービス

そしてディナーのメインにさしかかったころ。近江牛を炭火でじっくり焼いてもらい、ニシムラさんお手製の柚子胡椒をちょんとやって、さあ頬張るぞ、という時。

ヤナイさんがまたにこにこ顔でやってきて、言いました。
「私は美味しいお料理作れないけど、みなさんのために何ができるかなあと思って!」
手にはこの夏使いきれなかったのであろう、封の開いた線香花火の袋がありました。

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もう私は、驚きと嬉しさで泣いてしまいました。
だってそれ、今すごくしたかったことだったから。
大切な友達との楽しい瞬間を噛み締めながら、もっともっとこの素敵なお宿で思い出を作りたいと思っていた、まさにその時だったから。

……そりゃ道端で急に使いかけの線香花火を貰っても、いくら私だってそんなに喜ばないですよ。
でもこの線香花火は、それまでの短い時間でもずっと寄り添ってくれた、素敵で優しいヤナイさんからのプレゼント。しかも、今日この日の、私たちの為だけのおもてなし……。

私が泣いててみんなは爆笑してたし、ご主人のニシムラさんはちょっとオロオロしてたけど(笑)、私の心の中では嬉しくて、両手をあげて飛び跳ねてましたよ。でも感激のほうが大きくて泣いちゃっただけです。

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そのあともずっと、素晴らしい時間を過ごしました。
いただいた線香花火を湖のすぐそばで遊びました。夜空を見上げて、背中そらしながら星座を探したり。フナズシのお茶漬けを食べながら地元の日本酒を飲みました。

お布団に入ったら心地よすぎて一瞬で眠りに落ちて、次に目を覚ました時には、湖の奥が力強いオレンジ色に染まっているところでした。朝日が昇る。湖の上に白い道ができて、こちらまで伸びてくるんですよ。外に出てお日様が昇るのをみんなで待ちました。

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室内に戻ってヤナイさんに朝のコーヒーを淹れてもらいました。ご近所で焙煎してもらったこだわりのお豆だそうです。ミルクをお願いしたら温めて器に入れてくれました。

朝ごはんも地元の食材をたっぷり使った、とっても美味しい和食。ニシムラさんの作る出来立ての卵焼きはぷるっぷるふわふわで、昨日のお布団を思い出しました。

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全然帰りたくないのに、無情にもチェックアウトの時間は迫ってくるのです。(いやだよね)
荷物をまとめて、最後は琵琶湖をただただ眺めました。

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見渡す限りの広い広い湖。自然。ちらちらと水面が光る。小さな波が奥から絶えずやってきて、あまりの美しさに吸い込まれそうになるのです。
きっと15分くらいのひとときだったんだけど、わたしはあの15分間の豊かさは、きっと忘れません。心洗われたあの感覚を、しっかりと身体にしみこませて、自分のお土産にしました。

どんな人にお勧めしたいホテルか

最後はニシムラさんとヤナイさんにさよならと感謝を告げて。
その時に私の口から出た言葉はこうです。
「自分の大切な人に、来てもらいたいと思うお宿でした。」
そういうお宿でした。

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福田屋に関わる皆さん、素晴らしい時間をありがとうございました。

http://fukudaya.jp

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