Photo by hiroshi1031616 秋のうた「平行世界の花野」 9 齋藤芳生 2022年10月30日 22:42 こんにちは!noteではご無沙汰しております。齋藤です。今回はめずらしく?歌を。ちょうど一年前、某短歌総合紙に出したものです。 平行世界の花野 齋藤芳生百均の扇子二ヶ月でこわれたり扇子こわれて吹く秋の風きりぎりす夜の教室に飛びこんで男(お)の子三人悲鳴をあげるお母さんの声のよろしさ長男とその友だちを叱り飛ばしてすすきの穂ながく伸び揺れはじめたり保護者専用駐車場にてきみたちの先生は鬼、時に神。今宵は中秋の名月をみるテスト用紙の裏一面に描かれたるこれは平行世界の花野偏頭痛にくるしみながら採点をすれば花野がいっせいに鳴る目標平均点辛うじて上回り秋のテストに深く息を吐く花咲けば実のなるように学習のフィードバックは簡潔であれ翌朝は晴天、公孫樹の大木に逢いにゆくなり石段を登り大きな木そのもののようなおじいさん今朝も境内を掃き清めいるいまここにあることに善悪なくて陽にあたたまるどんぐり一個埃茸踏んづけられて嬉しそう偽りのなき胞子を飛ばす境内に差す秋の陽の透明にひとはこころをひたして帰る一頭のボルゾイが橋を、いや川を、あふれる秋のひかりを渡る齋藤芳生「平行世界の花野」 「梧葉」2021年秋号もう10月が終わりますね。みなさま、どうぞよい秋を。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #短歌 #秋 #現代短歌 #秋だからやってみた #齋藤芳生 9