『沖ツラ』がリアル過ぎてびびった件ー日常に隠れている宝物ー
最近、あるクライエントさんとのセッション中に「沖ツラ」というアニメの話題が出た。さしてアニメに詳しいわけではない私は、正直その存在すら知らなかった。しかし、その後家に帰って何気なくネットで調べてみたとき、思わずのけぞった
【生活圏に広がるアニメの舞台】
調べてみると、「沖ツラ」の正式名称は『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』というアニメで、驚くことに舞台は沖縄県うるま市具志川だった。ほぼ私の生活圏が舞台になっており見覚えのある風景が次々と出てきて驚いた。
特に、よく行く安慶名のユニオンやバス停「金武湾入口」など、普段の何気ない生活の一部が画面の中でアニメとして描かれているのを見たときには不思議な気持ちになった。
また、ユニオンは台風の中でも24時間営業をしており、ユニオンが閉まると「この台風は大型になる」という描写は、「沖縄あるある!」で、これは単なるなんちゃって沖縄ものではなく製作陣はガチで取り組んでいるのだと、SHOGUNを見た時の感動すら蘇った。
確かに「君の名は…」「スラムダンク」などの撮影地やモデルになった土地や街を聖地巡礼としてファンが訪れていることは知っている。
この「沖ツラ」が描く世界は、まんま「うるま市」であり、毎日通り過ぎている場所が、物語の舞台として新しい意味を持つ。それは、まるで見慣れた風景が特別な価値を帯びたかのように感じられ、目の前の景色が新鮮な輝きを放つ瞬間でもあった。
【島言葉(しまくとぅば)が語るもの】
さらに印象的だったのは、この作品が失われつつある**「島言葉(しまくとぅば)」**を鮮明かつ効果的に用いている点だ。本作に登場する方言は、いわゆるおじい、おばあの世代に話されていた方言で、今の若い世代だけでなく、親世代ですら馴染みのないものも多いものである。
しばしば沖縄方言の逐語(そのままのセリフ)と日本語訳の両方が字幕として現れる。そのため、アニメの中で島言葉が語られると、まるで過去の沖縄の記憶に触れているかのような新鮮な感覚が生まれる。
島言葉はただの言語ではない。そこにはその土地固有の文化、価値観、自然との共存が込めらている。普段の生活の中で薄れてしまったその言葉が、アニメというメディアを通じて蘇るのは、文化的な再発見の旅でもある。
まさかの禰󠄀豆子まで…
さらに、この作品でヒロインの島言葉を演じるのは、鬼滅の刃で禰󠄀豆子役を務めたことで知られる鬼頭明里さんだ。彼女は沖縄出身ではないものの、島言葉を見事に演じ、物語に奥行きを与えることに成功している。また、このギャップが、より一層方言の魅力を引き立て、視聴者に新たな沖縄の一面を感じさせてくれるのだ。
【沖縄の民報全局での放映】
この作品がさらに特別なのは、前代未聞、沖縄の民放全局で放映されていることだ。沖縄全域の人々がこの物語を共有できるというのは、地元の風景や文化が全国に向けて発信されるだけでなく、地元の人々自身が新たな視点で沖縄を見つめ直す機会にもなるのではないか。
【今後の展開に期待】
本作の舞台である、うるま市、具志川、与那城、勝連の地域はとりわけ独特の古風な方言の表現を持つ地域である。この地域で話される方言は沖縄の人でも聴き取るのが難しい。
これから物語がどのように進展していくのか、これからの展開に目が離せない。私のように普段はアニメに関心のない人間でさえ、地元が舞台であるというだけで一気に物語に引き込まれてしまう。
日常と非日常が交差するこの作品はうるま市の魅力がふんだんに取り込まれており、うるま市に住む人々や全国の沖ツラファンにとって特別な体験となるに違いない。