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【ミステリー小説】霧の館の殺人事件
「きゃあ!」
悲鳴が霧の深い森に響き渡った。声の主は、私、菊奈。名門女子大に通う、ちょっと好奇心旺盛な女子大生だ。
「どうしたの、菊奈?」
心配そうな顔で駆け寄ってきたのは、親友の真由。私たち二人は、大学のミステリー研究会の仲間たちと、有名なミステリー作家、霧島冬史の招待で、彼の所有する山奥の館に週末旅行に来ていた。
「だって、見て、真由!あの窓!」
私が指差した先、霧に煙る館の二階の窓には、確かに人影が映っていた。しかし、その人影は、不自然な体勢で静止していた。
「あれ、誰だろう?霧島先生かしら?」
真由が首を傾げた。
「でも、あんな体勢、おかしいわ。それに、なんだか血のようなものが…」
私がそう言いかけた時、館の中から悲鳴が上がった。
「大変だ!霧島先生が!」
慌てて駆け込んできたのは、ミステリー研究会の部長、健太だった。
私たちが霧島先生の書斎に駆けつけると、そこには変わり果てた霧島先生の姿があった。胸にはナイフが突き刺さり、床には血が広がっている。
「先生…!」
私は思わず駆け寄り、先生の肩を揺さぶった。しかし、その体は既に冷たくなっていた。
「まさか…先生が殺されたなんて…」
真由が青ざめた顔で呟いた。
「一体、誰が…?」
健太が周囲を見回した。書斎の窓は内側から鍵がかけられており、密室状態だった。
「密室殺人…?まるでミステリー小説の世界だわ…」
私が呟くと、健太が険しい顔で言った。
「これは単なる事故じゃない。誰かが先生を殺したんだ。そして、その犯人は、この中にいる…」
その言葉に、部屋にいた全員が互いに顔を見合わせた。私たちの中に、人殺しがいるのか?
「落ち着いて。まずは状況を整理しましょう」
私がそう提案し、私たちは事件の状況を整理し始めた。
被害者は霧島冬史、有名なミステリー作家。
死因は胸を刺されたことによる失血死。
書斎は密室状態だった。
容疑者は、私たちミステリー研究会のメンバーと、霧島先生の助手である女性、計7名。
「密室殺人ということは、犯人は私たちの中にいる可能性が高いわね」
真由が推理小説のように言った。
「でも、誰が何のために?」
私が疑問を投げかけると、健太が答えた。
「それはまだ分からない。でも、先生は何か秘密を抱えていたのかもしれない」
その時、霧島先生の助手が何かを思い出したように言った。
「先生が最近、何かを探していたような…」
「何かを?何をですか?」
私が尋ねると、助手は首を横に振った。
「それは分かりません。でも、先生はいつも何かを探しているようでした」
私たちは、霧島先生が探していたものが、事件の鍵になると考え、手分けして館の中を探すことにした。
私は真由と二人で、霧島先生の寝室を探していた。
「何か手がかりは見つかった?」
私が真由に尋ねると、彼女は首を横に振った。
「何も…でも、この引き出し、鍵がかかってるわ」
真由が指差した引き出しには、小さな鍵穴があった。
「もしかしたら、この中に先生が探していたものが…」
私がそう言いかけた時、背後から物音がした。
「誰?」
私が振り返ると、そこには誰もいなかった。しかし、確かに何者かの気配がした。
「気のせいかしら…」
私が呟くと、真由が言った。
「早くこの引き出しを開けましょう」
私たちは、霧島先生の書斎で見つけた鍵を使って、引き出しを開けた。中には、古びた日記帳が入っていた。
「これ、先生の日記…」
私が日記帳を開くと、そこには驚くべき内容が書かれていた。
霧島先生は、過去に未解決事件に関わっており、その事件の真相を突き止めようとしていたのだ。そして、その事件には、私たちの中にいる誰かが関わっている可能性が…
「まさか…私たちの中に、殺人犯が…?」
真由が青ざめた顔で呟いた。
その時、館内に再び悲鳴が響き渡った。
「また何かあったの?」
私は真由と顔を見合わせ、悲鳴の聞こえた方へ駆け出した。
そこで見たものは…
続きはまた別の機会に。