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不祥事

このところ、立て続けに地元出身の作家を選んで本を読んでいる。多分久々の帰国で、いろんな部分で地元愛が爆発したのだと思う。

今日は沢山の賞に輝き、映画・ドラマ化された有名な作品も多い、池井戸潤さんの「不祥事」だ。メガバンクを舞台にした痛快ドラマと言えば、昨今池井戸さんを知らない人はいないと言ってもいいだろう。

今回の主人公は女子行員、花咲舞。男性社会の銀行内で、仕事の腕も確かでクールビューティな熱血派。歯に衣着せぬ大胆な言動で、歪んだモラルを正し支店の業務改善をしていく、その活躍ぶりにスカッとさせられる。

池井戸さんの本は大好きで、ほぼ全て読破した。自分になじみの無い分野の事も人間ドラマを中心としているので難しくなく読めて、且つ知らない事を教えてもらえる要素もあり、知識を吸収できるような感覚もあって、どの作品も楽しく読んでいる。

メガバンク関連が舞台の本はドラマ「半沢直樹」の原作に代表されるように、毎回ものすごい悪役のドンみたいのがいて、それを成敗する水戸黄門的なお話が多い。今回はそのヒロインバージョンと言ってもいい。

「女子行員は結婚・出産して辞めることが前提で雇われてる」「高い等級の女子行員の解雇はコストの削減の手段」という文が出てくる章がある。圧倒的男社会の銀行(特に総合職採用)において、女子行員はかなり肩身の狭い立場にあるのだろうと推察され、物語の中であるとはいえ、悲しくなった。構造的男女不平等はこういう所で浮き彫りになるのだな、、、とその根深さを実感させられた。


知り合いに、メガバンクの総合職を長年勤めていた女子友達がいるが、年次を重ねるにつれ本当に女子の割合がぐんぐん減っていき、30代になると片手で数える程しか女子の同年代行員がいなくなるらしい。仕事も当然男性目線で進んでいき「周りから結婚への変なプレッシャーを感じた」と言っていたのを思い出した。

主人公の花咲舞のようにあっけらかんとし、パワフルに進んでいく女子行員は少数派であるがゆえに余計エンターテイメント性があり、痛快なのだろう。現実世界でも、このような熱血女子が活躍する場があってほしいし、そんな逞しくカッコいい女子達が育っていける土壌が必要だよなと改めて思った。

読書感想文というか、社会での女子の生きづらさを語るような感じになってしまったので(笑)この辺で筆を置こうと思う。

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