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花まんま(文春文庫) 朱川湊人 著

前回「赤まんま」の記事を書いていて、ふと思い出したのが10数年前に
読んだ小説「花まんま」である。

まんま」と「まんま」チョッと紛らわしいが、どちらも子供の
ままごと遊びである。
まんま」はイヌタデの別名で赤い粒状の花をお赤飯に見立てて遊び
まんま」は綺麗な花でお弁当作るままごとである。

さて小説の話しに戻るが「花まんま」は第133回直木賞受賞作の短編小説である。
大阪の下町に住む幼い兄妹を主人公に、優しくも切なくそしてファンタジーな世界が描かれている。

ある日幼い妹フミ子が突然自分が母親のお腹の中いた時のことを
話し始める。
行ったこともない町の話しをしたり、難しい漢字の名前を書いたり
挙句の果てに自分は誰かの生まれ変わりだと言いだした。

やがてフミ子は二年生になったころ、どうしても前世に住んでいた家に
行きたいと兄の俊樹に頼み込む。
半信半疑ながら根負けした五年生の俊樹は、そんな妹を案じ守ろうと
決心してフミ子と一緒に出かけるのだった。

これ以上はネタバレになるので控えるが、そこで起きる不思議な出来事に
私は時間を忘れて引き込まれてしまった。
そして親子の絆と兄妹の絆、大きな家族の愛が感動的に描かれていて
胸がいっぱいになった。

俊樹はフミ子が生まれた際に「どんな時でも妹のことを守ってやらなあかん。それが兄ちゃんちゅうもんや」と父親から言われた。
俊樹はその言葉を思い出しては『兄貴というものは、たぶん世界で一番損な
役回りなのだ』とフミ子を見守り続ける。
その姿が何とも健気でいじらしいのだ。

又この小説ほどではなくても、人は時として科学や理屈で説明できないような不思議な体験をすることがあるのではないだろうか。。とも思うのである。

余談だがこの記事を書いている途中で偶然「花まんま」の映画化を知って
驚いた。
鈴木亮平と有村架純主演で、何と初版から20年経った2025年春に公開されるそうだ。

これも不思議と言えば不思議な偶然であろう。













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