【ブギウギ11/22第38話】芸人は親の死に目に会えない?
NHK朝の連続テレビ小説「ブギウギ」。
第38話は、若きスイングの女王「スズ子」と、弟と母にまつわるお話だった。迷ったときのアドバイスが、予定調和でなく秀逸だったので書き留めておく。
弟の出征
赤紙が届いて戦地に出征するまえに、スズ子の元を訪れ死にたくないと口にする弟(六郎)。「行ってまいります」は帰ってくるみたいだから、「行ってきます」と言うのが当時の風潮らしい。「勝って来るぞと勇ましく」という歌詞の曲が流行したと聞くが、第2次世界大戦初期でも帰ってこない前提だったのだろうか。それでも弟は、あえて「行ってまいります」と去っていく。曲がり角で立ち止まる背中が重い。
母の病状
一方、スズ子のもとには、母(ツヤ)が危篤の電報が届く。スズ子は大阪に帰るか、予定通り舞台を踏むか悩む。今週分の予告放送では、相当に深刻な病状であることが暗示されている。
善一のアドバイス
興行主は、舞台をなりわいにしている者は親の死に目に会えないのが常だと諭すが、スズ子が尊敬する作曲家の善一はこういう。
うんうん。
うん?
なるほど。
決めるのはスズ子だと。周りに左右されず自分で考えなさいと言うのである。思えば、大手に移籍騒ぎがあったときにも、「どこに行っても私はファンだから」と言ってくれたのも善一である。
スズ子の選択
スズ子は舞台に立つことを選ぶ。もっと多くの人に福を届けるために。歌手としてもっと大きくなるために。
強制されたわけではないので、本人の納得感もちがうだろう。「芸事に携わるものは親の死に目に会えない」とはよく聞く言葉だが、最近では公演をキャンセルする芸能人もいる。どちらも正解はないのだ。
家族より支援を優先するエッセンシャル・ワーカー
話は変わって、エッセンシャル・ワーカーと呼ばれる人たちがいる。例えば、市区町村の職員。大地震が起こったとき、彼らは家族と寄り添うよりも、被災者のために避難所に駆けつけることが多い。避難所以外でも市民の役に立てるよう行動する。一般市民と一緒に避難所にいることは無い。災害対応は無給のことも多いし、指揮命令系統が混乱している。しかし、理屈ではないのである。使命感だろう。(実際にどちらを優先するかは、個々のケースによる)
建前ではなく考える
歌手なので舞台を優先する。
災害時なので被災者支援を優先する。
言葉にすれば簡単だが、実行する人は考え抜いている。
先入観に支配されず、自分で考えてみる。自分が納得できる選択はどちらか、正解はないと思う。どちらを選んでも、それぞれ道は続くのだ。
選択に迷ったときは、自分の力で選びたいし、選択できるように背中を押す存在でもありたい。
ステージで披露した「センチメンタル・ダイナ」は、笠置シズ子と服部良一がリリースした実在の曲だそうだ。
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