第9話アンメット〜ある脳外科医の日記の光と影
ケープタウンの学会発表の最後で三瓶医師が言った言葉は、ドラマで何度もくり返されてきた言葉だ。
三瓶は光を見いだしたいと願っていた。対象は3つ上の兄であり、奈緒ちゃんであり、そしてミヤビでもある。そのほかにもたくさん居たのだろう。
自らが最善で光になろうとすると、照らせない部分も出てくる。すべての患者を救うことはできないのだ。かつての少女のように、救えたと思っても数日後には亡くなってしまうことも。
無力さに打ちひしがれる三瓶に、ミヤビが光を当てる。「自分の中の光が暗闇を照らす」記憶を無くしても同じ言葉を発する。涙を流し抱擁し合う姿は、ふたりのなにか超越した関係を浮かび上がらせた。最後の一連のシーンは、演技とは思えない。
ミヤビのノーマンズランドを手術すれば、重い障害が残るかもしれない。もしかして命まで失うかもしれない。三瓶とミヤビは同じ思いにたどり着き、お互いを照らした。
強気に見える三瓶でさえ、答えが見つからない、光が見つからないという。ミヤビに特別の思いを抱く大迫教授との関係は想像するしかないが、彼女をとりまく周囲が激しく動きそうな回だった。
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