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巣に帰りたい小鳥

心細さに泣きたいときもある。
生徒玄関から数分は動けず、クラスメートが迎えに来てくれたそうだ。

4月から寄宿舎で生活し始めた娘。
中学生になったこともあり、環境の変化が激しい。
入学式は金曜日。
その日はそのまま家に帰った。
翌週の月曜日からは入学式、寄宿舎入舎と本格始動だ。
その日に事件は起こる。

(前回、ろう学校へ入学するまでの過程は次のnoteをどうぞ。)

事件は父が帰ってから起こった。
月曜日は家から2時間半かけて通学。
寄宿舎に荷物を置いて、いざ生徒玄関へ。

帰って良いという言葉を信じ、入っていく姿を見送った。
後ろ髪を引かれる思いで、当事者は娘なのだからと車に乗り込んだ。

事実を知るのは、担任からのClassroomだった。
今度の学校はGoogleを使いこなしているようだ。
端末はiPad。

「あの後、〇〇さんは10分ほど、生徒玄関で泣いていました。」
担任の先生の話によれば、同じクラスになった生徒さんが、慰めて教室に連れて行ってくれたらしい。

聞けば、校長先生も寄宿舎の先生方も心配してくれたそうだ。
多分、学校や寄宿舎全体に伝わったことだろう。

気丈な姿を信じていた私にも意外だった。
でも、そういえば入学式でも記念写真を撮らず、早く帰りたがっていた。
慣れない場を離れたかったのかもしれない。

寄宿舎で暮らす娘とは、夜の決められた時間だけLINEのやりとりができる。
毎日何を聞いても「うん」「わかった」だけ。
そのうち返事すらないことも。

返事がないのは良い知らせ。
そう思うことにした。
人懐っこい娘の性格のこと、すぐに友達や先生、新しい生活に慣れていくだろう。
親の心配も度を過ぎてはいけない。
自立のための寄宿舎生活なのだから。

そう自分を納得させていたころ
1行のメッセージが届いたのだ。
ああ、やはりそうだったのか

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