ちょっとニッチな児童文学①『カエルの歌姫』
このnoteを開いてくださってありがとうございます。初めまして、わたくしmaemichiと申します。
なぜこのnoteを開いてくださったのでしょうか?
まさかとは思いますが、タイトルの「ちょっとニッチ」を「ちょっとエッチ」と見間違えたわけではありませんよね?
もしそうなら、そのような煩悩は脳内から振り払ってください。
このnoteのタイトルは
『ちょっと「ニッチな」児童文学』です。
(念のためお伝えしておくと、「ニッチ」とは隙間という意味です。)
このnoteはわたくしmaemichiが世間様にあまり認知されていないであろう児童文学作品を、つらつらと紹介していく場でございます。
大量のネタバレも含みます。物語の詳細な内容や結末を知りたくないという方はネタバレ部分を飛ばしてお読みください。
前置きが長くなりましたが、一冊目いってみましょう。
『カエルの歌姫』 如月 かずさ
主人公は男子中学生の花咲圭吾。彼の幼馴染が校内放送の新しい企画として、校内でアイドルを発掘するというプロジェクトを立ち上げます。圭吾は幼馴染に「雨宮かえる」という女の子を紹介しました。かえるは校内で支持を得て、「校内の覆面アイドル」としての地位を確立していきます。本名も顔もわからない「雨宮かえる」の正体が明かされたとき、登場人物たちがそれぞれの思いに向き合いながら行動を起こしていきます。
ここから先は大量のネタバレを含みます。 ご注意を!
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自分らしく生きられない苦しさ
主人公の圭吾が「雨宮かえる」だということはいわずもがなというところです。ただ圭吾は男子中学生。男子中学生がどうやってかわいらしい女の子の声を出すのか疑問に思いませんか?
圭吾は「両声類」なのです。
「両声類」とは男女の声を使い分けることができる人のこと。
2019年に大ブレイクした芸人の「りんごちゃん」のような人だと考えてもらうと分かりやすいのではないでしょうか。りんごちゃんも普通にしゃべっているときの声は女の人の声でかわいいのですが、いったん物まねスイッチが入ると金八先生や大友康平さんといった男性の声に早変わりしますよね。そう、あんな感じです。
圭吾は誰にもばれないようにアイドルの雨宮かえるを演じていたのでした。
なぜばれてはいけなかったのでしょうか? それは
「気持ち悪いと思われるから」
圭吾は大きくなっていくにつれて自分の体の変化に違和感を覚えていました。筋肉がついてくる、体毛が濃くなる、声も低くなる……そんな二次性徴が嫌で仕方がない。なかなか受け入れられない。
しかし「両声類」の存在を知り、自分にもできるのでは思い練習を重ね女声を出すことができるようになっていきました。
圭吾は女声でいるときは本来の自分の姿に戻れている感覚だったのです。
それでも見た目はどう見ても男。そんな自分が女の子の声を出しているのは他人が見たら気持ち悪いにきまっている。
そんなことを考え人前では女の子の声を出すことなく過ごしていました。
身近な人をだまし続ける苦しさ
圭吾には覆面アイドルとして活動していくうちに身近な人をだまし続ける苦しさを感じ始めます。いつも一緒に過ごしている友人たちをだまし続け、「かえる」に本気のラブレターを渡した男子中学生の行為を踏みにじっているような罪悪感。幼馴染にも相談できず、自分がついた嘘で自分を苦しめます。
なぜその人に惹かれるのか?
人の魅力とは何によってきまるのでしょうか?少なくとも性別ではありません。性別に関係なくその人が魅力的かどうかによります。この物語の主人公の場合、性別を偽っていたことによって周りの生徒から避けられたり、心無い言葉を投げつけられたりしました。
しかし圭吾は「雨宮かえる」として抜群の歌唱力と「両声類」というめずらしいキャラクターが魅力となり、最終的に周囲に受け入れられました。
「カエルの歌姫」まとめ
ここまで大量のネタバレ含め、「カエルの歌姫」について紹介いたしました。わたくしはこの本を購入しようとしましたが、絶版になっており購入に至らなかったのです。
現在は電子書籍版で読むことができます。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。またお会いしましょう。
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