「一番高いアイス」を真似したけれど📺『日曜の夜くらいは…』
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職場の先輩に2人、長く就いている仕事なのに、けっこうなおバカさんがいて、他の人のミスを私に怒ってきた。
おバカさんなので怒っているとき、私がそのミスをやっていないことに気がつかない。
一言、違うことを別の言い回しで伝えるも、やっぱりおバカさんはおバカのまま。
分からないのであった。
昨日は、あんまりのおバカ加減に呆れてしまい、他の人のミスに嘆いているおバカさんの近くで「厚顔無恥」と呟いてしまった。
厚顔無恥‥‥厚かましく、恥知らずなさま。他人の迷惑などかまわずに、自分の都合や思惑だけで行動すること。「厚顔」は厚かましいこと。ずうずうしいさま。面の皮が厚いこと。「無恥厚顔🟰むちこうがん」ともいう。
自分でも大人げない言動だとは思ったが、どうやらおバカさんには、意味が分かっていないようだった。
聞こえないフリをしていたのか、かなり年配者なので、耳に入らなかったのかは疑問だが、私はその一言をすくわれて文句を言ってこられたら、「いえ、買って帰らないといけない食品の名前です」と誤魔化すつもりだった。
こういうことは今の職場ではよくあるもので、
親しくしていた年上の同僚が急に退職してしまっていた。
うーん、辞めてしまったか‥‥と同期の2人と心底ガッカリしたが、まともな人物なら当然な気もして、ため息をつくしかなかった。
実は2回とも、同期のミスだった。
ただ、私がそれを指摘すると、またおバカさんの説教が長引くので、
「はーい、次から気をつけまーす」
と、反省したフリをしてバカっぽく返事をしておいた。
同期は賢いので、私がミスを代わりに怒られたことに気づいて、すぐに謝ってきた。
「大丈夫、大丈夫。いつものことだから」
と笑ったら、彼女も肩をすくめていた。
テレビドラマ『日曜の夜くらいは…』で、ヤングケアラーを演じる清野菜名さんが、劇中にストレス発散で、コンビニの一番高いアイスを
食べるシーンがある。
日が高いうちにやったら、隣のベンチに知らないオッサンが座り、文庫本を開きながら、
アイスを食べる私をチラチラ見るので、気が散って、アイスに集中出来なかった。
ドラマのように、夜、コンビニの近くで食べるのが正解なんだな、と思った。
しかも、アイスは一番高いアイスではなかった。私が選んだのは、338円。
358円のアイスは、好きな味じゃなかった。
中途半端な気持ちだけが残った。
風が気持ちいいだけの、初夏の夕方。
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