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悪戯電話

  (約300字)


 ヨルシカの『幻燈』をよく聴いてる

 ブレーメン、チノカテ、又三郎

 早朝の電灯が光る街が動き出すときの

 意味のないアカリ

 きみは それに似ている

 あのワン切りは

 卑怯者からだったんだろうか

 どうせ 才能なんか ないんだから

 ちまちま 読まれることのない文章を

 えんえん 書いていてくださいな

 戻ってくる頃には

 アカリは消えて

 スッキリとした 動く街だけがある

 くだらない人間が たくさんいる

 こんな街は いても仕方がないけど

 住民票のいらない街だ

 私は 空き家に 本を残して

 出て行く予定だから


 感情なんか 物語の中に 放り出して


 道は長いこと待っている


 いらないぐらい ながく





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