「女子力は棚にあげます」
(約900字)
ももまろさんが、『男子力』について書いていたので、私もこれは書かねばと思った。
私は女子力や母性については、語るに忍びない状況であり、その資格も持たない気がするため、男子力について書いてみる。
女性に求められる能力を、近年、男性が獲得しつつある。裁縫、料理、化粧、自己を表現するスタイルが男女を選ばなくなって久しい。
料理なんて、一昔前は家庭では女性が行う家事であると決めつけられていたが、そんなものは令和時代にはとうにひっくり返されている。
「男子、厨房に入るべからず」なんて、恐らくは男尊女卑の価値観のさいたるもの。
どっかの男性が言い始めたのでしょう。
調理器具については、重量があって体力がないと扱えないものもあります。
中華鍋は、火が轟々と燃えている中、素早く片手で操るのは女性には向いていない。
寿司を握るにも、手の温度は女性は男性より高くて、向いていないと聞いたこともある。
かなり昔だが、『キャスト・アウェイ』という映画を観た。
2000年のアメリカ合衆国のサバイバルドラマ映画。
監督・製作はロバート・ゼメキス、
脚本はウィリアム・ブロイルズ・ジュニアが務め、トム・ハンクス、ヘレン・ハント、ニック・サーシーが出演している。
トム・ハンクスが無人島に漂流して、たった一人、島で生きていく話。
人間は一人では生きてはいけない生き物だと思った。
スポーツで使うボールに名前を付けて、話しかけるトム・ハンクスが、観ていて苦しくなったのを覚えている。
私は、その姿を『男子力』だと思うようになっていた。無人島で女子力はあまり意味が無く、人間が生きる力を見せられたその映画で、私はこの主人公と生きたいと心の底から思った。
猛々しい男性像ではない。
孤独の悲しみを嘆く、どちらかといえばみっともない姿。
でも、男子力ではないのだろうか。
無人島を脱出するために知恵を絞り、自分が生き抜くために暮らす姿。
それは女性を守ることができるように見えた。
人間力を、男性に求めているのだろうか。
頼りになる人間は、男性に限ったことじゃない。
弱い面は補って生きられる。
女子力が高い男性は存在する。
でも、あの映画は、主人公が女性では成立しないように感じた。
現在の筆致では、これが限界。