賢い親の、古くて底の浅い考え
うちの6歳の息子は、とても落ち着きがない。
後先考えず行動して怪我をする。「やるな」ということを必ずやる。ちょっと変わったものを見ると必ずいじくって多くの場合壊す。友達に「いやだ、やめて」と言われてもやめられなくてしつこく絡んで嫌われる。一回やりたいことを始めるとどんなに大事な用事があってもやめられない。
いやはや、なかなか厄介な性格だなと思いながら、ふと昔の自分のことを思い出した。
自分が物心ついてからの朧げな記憶が次々と浮かんできた。
何も考えずに車の影から飛び出したり、友達と自転車で鬼ごっこしたりして、交通事故に3回もあった。
家にあった家電や電卓なんかを「中はどうなってるんだろう?」という興味から分解しては、元通りに組み立てられなくて壊してしまう。
興味が湧くと他のものが見えなくなって、それを手に入れるためには、地面に寝っ転がってただをこねたり、長い時間泣いたり、逆ギレしたりして、しつこく食い下がる。
5歳の時には「まだ行ったことのない街の向こうの向こうまで行ったらどんなんだろう?」と思っていきなり家を出て警察に2回も保護された。(今思うと、親にどれだけ心配と迷惑を掛けたんだろうと申し訳なさしかない。)
おいおい、これらの行動の数々は息子とそっくりじゃないか。というより息子よりも数段ひどいじゃないか。
今振り返ると、我ながらなかなか極端な性格の子供だったんだなと思うけれど、当の本人は興味の赴くままに行動していて「それが普通だ」ぐらいに思っていた。逆にそんな大変な子供を限りなく自由にさせてくれていた親に今更ながら大感謝である。
「この子が将来困ったらいけない、ちゃんとしてないといけない」なんて賢い親っぽく考えて、先回りして色々制限してしまっているけれど、それは子供の可能性を大きく狭めていることになってるんじゃなかろうか。
人を傷つけたり、危険なこと以外はなるべく自由にやらせてあげる方がいいんじゃないか。
親の考えることなんて、子供の想像力に比べたら、とっても底の浅い、古い考えだったりする。
と思いながらも、息子の度を越すヤンチャを目の前にすると、ついつい声を荒げて怒ってしまうジレンマとのせめぎ合いの毎日です。