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新型コロナ臨時交付金等の返還事案について(2024.11.6 北海道議会 総務委員会 質疑)

 皆さん、こんにちは。
 北海道議会議員の千葉真裕です。
 令和6年11月6日の総務委員会において、質疑を行いました。

 なお、今回報告のあった、新型コロナ臨時交付金等の返還事案についての資料は、以下のとおりです。

一 新型コロナ臨時交付金等の返還事案について

 ただいま報告のありました、新型コロナ臨時交付金等の返還事案について、数点伺います。

(一)発生原因について

 国の間接補助事業等については、その内容が間接補助事業者等に対し間接補助金等を交付する事務または事業であることから、年度内に間接補助金等の交付・支払いがなければ、補助事業等が完了したとは言えず、支出完了前において精算額として国に対して補助金等の交付を請求することができないとされており、年度を超えて清算払いをした場合には国への補助金等の返還が必要になるとのことであります。
 確認したところ、昭和30年、当時の大蔵省主計局法規課長事務連絡にて明示されて以来、永年にわたり一貫してこうした解釈、運用がなされているとのことであります。
 道は、去る9月、これに該当する事案として、臨時交付金事業で約7.3億円を国に返還したと公表しました。今回、全庁調査により同種事案が判明し、地方創生推進交付金事業を含め、新たに約8.9億円の返還が必要になるということでありますが、この8.9億円について、国の間接補助事業等であるにもかかわらず、何故、年度を超えて精算払いをおこなったのか、その原因について改めて伺います。

【答弁:中村 総務部財政局財政課資金担当課長】
 発生原因についてでございますが、このたび、新たに返還が生じた原因といたしましては、道から北海道観光機構への負担金事業については、補助金として実施したものではないため、間接補助事業等には該当しないものと誤認したもの、それ以外の事業につきましては、国の間接補助事業等における事業の完了日の考え方や年度内に精算する必要性についての認識がなかったものであったところでございます。
 また、こうした担当部署の誤認や認識不足を担当部署以外で確認できなかったことも原因と考えているところでございます。


(二)返還事業について

 前回判明した返還の対象となる事業については、北海道観光機構に対する負担金事業と地域事業者に対する販売促進助成事業の計7事業であり、いずれも経済部所管の事業でした。
 そこで、今回返還の対象となる43事業について、所管部はどのようになっているのか、また、具体的にどのような事業があるのか、伺います。

【答弁:中村 総務部財政局財政課資金担当課長】
 
返還事業についてでございますが、全庁調査の結果、返還となる43事業の所管部局といたしましては、うち34事業が経済部、4事業が水産林務部、3事業が総合政策部、2事業が保健福祉部となっているところでございます。
 その主な事業といたしましては、コロナ臨時交付金を活用した事業として、観光機構に対する負担金事業や特定不妊治療に要する経費の一部を助成する事業のほか、航空需要の早期回復に向けた新規就航路線に対する支援事業となっており、また、地方創生推進交付金を活用した事業としてコロナ臨時交付金と同様の観光機構に対する負担金事業や、道産水産物の輸出拡大に向けた支援事業などがあるところでございます。


(三)令和3年度の観光機構負担金事業について

 これまでの道の説明によると、令和3年度の観光機構負担金事業については、年度を超えて精算払いをしていたことが既に判明しており、その金額は「6.5億円程度」で、返還などの取扱いについては国と協議中とのことでした。
 今回の資料では、その令和3年度観光機構負担金事業などの返還額が2.2億円と従来の説明から4億円ほど減額されております。なぜこのようになったのか、国との協議状況も含め、その経過を伺います。

【答弁:中村 総務部財政局財政課資金担当課長】
 
令和3年度の観光機構に対する負担金事業についてでございますが、本年9月に公表いたしましたコロナ臨時交付金の返還事案のうち、3年度の観光機構に対する負担金事業の6.5億円につきましては、年度を超えて支払いを行っていたことが判明したものの、その取扱いなどについて、継続的に国と協議を行ってきたところでございます。
 その結果、この6.5億円につきましては、臨時交付金を最大限有効に活用する観点から、同一年度の事業間における交付金充当先の再整理を行いまして、4.6億円を他の事業の一般財源と振り替えた結果、3年度の観光機構に対する負担金事業の返還額は1.9億円まで縮小したところでございます。


(四)返還額の予算措置について

 既に国に返還した7.3億円は、令和4年度事業分であったことから、出納整理機関を利用して令和5年度の臨時交付金から戻出(れいしゅつ)、つまり減額することで返還したところです。
 それでは、今回新たに返還が必要な8.9億円については、どのように国に返還するのか、また、そのための予算措置は行うのか、伺います。

【答弁:神長 総務部財政局財政課長】
 
国への返還についてでございますが、近く、道から国に対しまして、コロナ臨時交付金等に係る実績報告書の再提出を行いまして、国の審査を経て発出される返還命令に基づき、返還することとなるところでございます。
 その返還の方法や時期につきましては、引き続き、国と協議を行っていくものでございますが、今後、道として補正予算による対応が必要となるものと考えております。


(五)道財政への影響について

 先の第3定例道議会予算特別委員会において、我が会派の同僚議員が、7.3億円を国に返還したことによる道財政への影響について質した際、道からは「令和5年度の決算剰余金が減少し、結果として道財政に影響が生じた」旨の答弁がありました。返還方法や時期は未定とのことですが、今回判明した8.9億円もいずれ国に返還することになります。新たな返還による道財政への影響をどのように考えているのか伺います。

【答弁:神長 総務部財政局財政課長】
 
道財政への影響についてでございますが、8.9億円の返還にあたりましては、今後の補正予算におきまして、 新たに一般財源により措置する必要があるものと考えてございます。
 道財政は、依然として厳しい状況にありますことから、道としましては、効率的な予算執行はもとより、交付税等の歳入の確保に一層努めるなど、適切な財政運営に取り組んでまいります。


(六)今後の対応について

 この度の8.9億円を含め、道が受け取ることができたはずのおよそ16.2億円を国に返還することは、依然として厳しい道財政にとっても大きな影響があるのではないかと危惧するところです。
 先ほど原因について答弁がございましたけれども、先日の記者会見において、知事は、自身の責任について触れ「道議会のご理解もあるが、給与減額なども含めその対応の検討を進めていく」旨の発言がありました。今後、どのように対応していくのか、伺います。

【答弁:北山 総務部人事局長】
 
今後の対応についてでございますが、本事案におきましては、組織として事務処理の誤りを防ぐことができず、結果として、財政負担が生じる事態となったところでございます。
 知事においては、職員の法令違反や、職務上の義務違反などがあった場合に、道政の責任者として、給与の減額などにより、その責任を明らかにしているところであり、今後、本事案における道政への影響や、過去の類似事案などを、総合的に勘案し、知事自ら判断されるものと考えてございます。


(七)財務に関する関係規程の改正について

 次に、再発防止策に関し、今回講じる対策についてでありす。
 まず、財務に関する関係規程の改正があげられていますが、具体的に何をどのように改正したのか、改めて伺います。

【答弁:阿保 出納局財務指導課長】
 
財務に関する規程の改正等についてでありますが、この度の事案に関して、補助金等の交付の決定等に関する決裁の各段階において、補助金適正化法で定める間接補助事業等であることや、年度内精算の必要性について、決裁に関わる職員が認識できていなかったと承知しているところであります。
 このため、道が交付する補助金等の交付決定書に特定財源の名称や支出期限の期日を明記することにより、決裁の各段階で、それに関わる職員各々が適切に確認することができるよう財務に関する規程等の改正や運用の徹底を図ったところであり、同様の事案が繰り返されることがないよう着実に取り組んでまいります。


(八)内部統制の強化について

 次に、内部統制の強化についてであります。
 先の第3定例道議会、予算特別委員会総括質疑において、我が会派の同僚議員が「内部統制制度が実効性を伴ったものとなるよう、その在り方を見直すべき」と質したのに対し、知事から「今回の事案を受け、内部統制制度のこれまでの取組状況を点検し、重要リスク項目を再評価するなど、再発防止等の効果を高めるための見直しに取り組んでいく」との答弁がありました。
 そこで、再発防止等の効果を高めるため、重要リスク項目の見直しにどう取り組んだのか伺うとともに、どのように実効性を担保しようと考えているのか、伺います。

【答弁:林下 総務部イノベーション推進局開発推進課長】
 重要リスク項目の見直しについてでありますが、道では、これまで、内部統制制度を効果的に推進していくため、リスク発生の可能性が高いものやその影響度が大きいものを「重要リスク項目」に指定し、適正な事務執行の確保に努めてきました。
 この度の事案を踏まえ、過去5カ年の定期監査における指摘事項や不適正事務の発生状況等を改めて点検し、その上で、今回重要リスク項目に追加した「間接補助事業における額の確定の誤り」や発生件数が多いものなど、重要リスク項目の中から5つを絞り込み、集中的に対策を講じていくことといたしました。


(九)再発防止策の取りまとめについて

 先ほどの説明や答弁にあったとおり、今回の返還事案は複数年度・複数部局で発生しており、決して、特定の時期や部局で発生しているものではありません。先の第3定例道議会で、道は、今回の事案を受け、「組織全体の問題として不適正事務の発生防止や抑制にしっかり取り組んでいくことが重要」との認識を示しました。
 今般の再発防止策のとりまとめにあたり、こうした認識がどのように反映されているのか伺うとともに、これらの再発防止策で十分と考えているのか認識を伺います。

【答弁:髙見 総務部イノベーション推進局長】
 
再発防止策についてでございますが、この度の事案の発生を受けて実施した全庁調査の結果、同様の事案が複数の部局・複数の年度で発生したことなどを踏まえまして、職員個人だけの問題とするのではなく、組織全体で機動的かつ効率的に取り組むという視点に立って対策をとりまとめました。
 これまでも、注意喚起の文書を発出するなどの対策に取り組んでまいりましたが、新たに、財務に関する規程を改正するとともに国費に係る調査などは、誰でも理解しやすい内容とし、複数の職員で確認することとしたほか、この度の事案を重要リスク項目に位置づけた上で再発防止策の効果的な実施などに向け、新たに内部統制推進員会議を設置したところでございます。
 今後は、年度の変わり目など、この会議を機動的に開催いたしまして、全庁の緊密な連携のもと、認識を共有した上で、こうした対策の徹底を図ってまいります。

(指摘:千葉 真裕)
 
現下の厳しい道財政に加え、現在、道では観光振興を目的とする新税を創設し、新たに税のご負担をお願いしようという議論を進めている中で、基本的な手続の過誤により、複数年度にわたりますが、合計で約16.2億円もの額を国に返還しなければならないという事態は極めて問題であるといわざるを得ません。
 人事異動によって2年から3年で担当者が頻繁に交代する中で、たとえ担当者が誤った事務処理をしたとしても、組織としてその誤りを発見し、速やかに正しい処理に修正するというしっかりした体制を早急に構築し、再びこうした事案を発生させないよう強く指摘して、私からの質問を終わります。(了)

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