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ロニ・ホーン展@ポーラ美術館(箱根)
箱根のポーラ美術館で開催中の、アメリカ人現代美術家、ロニ・ホーン(Roni Horn)の日本・初個展を訪れました。
ポーラ美術館の公式サイトに、「ポーラ美術館における大型企画展としては初めて、同時代の作家を単独で取り上げる」とありました。
印象派や藤田嗣治のコレクションで有名な、箱根の森のポーラ美術館です。そこでロニ・ホーン初個展。。。
ポーラ美術館、せめてるなあ。と、うきうきしつつ、箱根八里の旅へ。
エミリ・ディキンソンの詩にインスパイアされたタイポグラフィや、旅を通じた、アイスランドの地層やテムズ川の水面を連射する鉱物的なランドスケープ写真などなど。
さまざまなメディアを採用しつつ、どの作品もオブジェとしてのクオリティが高く、洗練されています。作品のもつ審美的な美しさに、同時代随一のアーティストとしての技術力(テクネー)の高さを感じさせられます。が。
ロニ・ホーンの場合は、どんなメディアであっても、そのびっくりするような作品の完成度をよそに、というよりも、そうした完成度だからこそ、つらぬかれるのが、主語としての「わたし」の、気配のようなものです。たぶんそれは制作者自身のうつしのようなもの、であったりするのかもしれないですが。
どの作品からも、叫ぶようなささやき声がきこえ、なにやらみおぼえのない世界にひきずりこまれる。そんな感じです。「わたし」の気配やさけびのようなささやきは、とくに1990年代の作品に濃厚である気がしました。
文学や旅など、個人的経験を省察し想念を作品化するゆえでしょうかね。
そうした、「わたし」の気配や、叫びのようなささやきごえが、物質としてのオブジェそを超えて、ロニ・ホーンのどの作品のまわりにも広がる、ちょっと恐ろしいような迫力として、感じられるのかもしれないです。