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朝美絢主演「海辺のストルーエンセ」 感想
雪組公演 ミュージカル・フォレルスケット
「海辺のストルーエンセ」
主演:朝美絢/作・演出:指田珠子
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「冬霞の巴里」の指田珠子先生による3作目のオリジナル作品。前回同様、始まりから舞台が暗くてオペラ使っても役者の顔がはっきり見えない(笑)。指田節だ〜と思って観ていたのだけど、意外にも一幕はポップな印象。組子もアドリブ多め(?)で客席からクスクス笑い声が起こってて、指田先生今回はコメディな感じなのかな?と(まじ今思うとあのポスターでそんなわけないよなw)。
あーさ演じるヨハンのモテモテソング、歌もダンスもめっちゃ楽しくて好きだった。あーさのモテモテソングはいい、いいぞ...。美貌で王宮にのぼり詰めていく医者、最高か。そしてTwitterで見かけたとおり、二幕序盤のテニスのシーンが普通にテニミュで笑ってしまった。指田先生ぜったい意図的にやってるでしょ!(笑)
あらすじを読んだときは、古い考えの貴族に囲まれたストルーエンセ先生が世直しして、そこの王様クリスチャンと王妃カロリーネと三角関係になるんだろうな〜と思っていた。ら、まずクリスチャンとカロリーネが、顔も合わせないほどの不仲だったのに驚いた。
縣さんクリスチャン、ライオンみたいなオレンジヘアで傍若無人!大暴れ!とっても似合ってた...(フィナーレでもオレンジヘアでしたね。地毛も染めてんだ。サラサラオレンジヘアが良すぎて撃沈したぜ)。しかもストルーエンセ先生が王宮に入り浸るようになると、先生の言うことをまっすぐに受け取って、勉強を重ねて、成長していって...。めちゃくちゃピュアでいい子なのよ...。かわいかった〜!普通にグレた不良少年だったんよ。
一幕ラスト、それまで不仲だったクリスチャンとカロリーネ(はばまいちゃん)、そしてヨハンとブラント(諏訪さん)が国をよくしようと連帯するシーンが胸熱で。この作品、恋愛というよりも友情物語なんだ!と感動していたのも束の間...。
啓蒙思想に傾倒し、自らが王宮を牛耳っていくヨハン。ヨハンが来る前には、宮廷官僚たちにいいように使われていた“形ばかりの王”クリスチャンが、結局ヨハンの手によってまた“形ばかりの王”になってしまったのがつらいなと。
縣さん、「蒼穹の昴」に続いてたくさんサインさせられて可哀想なのよ...。それをにわさんが止めようとしてたのには(あなたも前作ではヨハン側だったじゃないの!)と思ってしまったよね(笑)。
惹かれ合うヨハンとカロリーネ。時を同じくして、最初はカロリーネを嫌っていたクリスチャンもカロリーネに次第に惹かれていて...。仲良くなってからの三角関係つらすぎる〜!!!無邪気に笑い合う子供たちを観て、(あのみんなで笑っていた頃に戻りたい)と回想するクリスチャンとカロリーネが切なかったな。「星逢一夜」を思い出したりした...。
一幕のポップさから、二幕のいや〜なリアルさに引き戻されるフリオチよ。これは紛れもない、指田珠子作・演出作品ですね...一幕で騙されかけました...好きです、先生。
幕開けと幕引き、そして本編のところどころで響く潮騒の音が印象的で。イギリスで太陽と風と緑と共に育ったカロリーネからすればそれは「さびしい音」で、それにヨハンは「さびしい音もいいものだ」と言う。
物語の舞台であるデンマークには行ったことがないのだけど、サマータイムのスウェーデンに行ったことがあって。夜8時でも昼間の明るさなので、それはもうビールを飲みまくって楽しかったんけど、現地の人からすると、サマータイム以外のシーズンは真っ暗で鬱の人も多いそうで。曇天と潮騒のデンマークに、そんなスウェーデンでの記憶や日本海側の景色を思い浮かべたりした。
いや〜、もう1回観たくなる作品だった。1回じゃ受け止めきれなかったです。とにかく闇堕ちしていく朝美絢がいい...。プログラムの指田先生のご挨拶に「少年のような混じり気のない輝きと妖の香りを漂わせる朝美絢には正しいことも間違ったこともやって欲しくなります」という一節があって、素晴らしい当て書きだなと思いました。
二幕ラスト、こちらに近づいてくるヨハンの顔が脳裏に焼き付いています。オペラで追ってたら幕が降りたので驚いた。とっても静かな終わり方で、それもよかったな〜。
指田先生の1作目「龍の宮(たつのみや)物語」を観ていないので、そろそろ観ます!(録画はしてあると思うんだ)