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2024/03/27 芸術論/マーケティングの勉強

芸術論

アーティストとして世の中にインパクトを残そうとするなら、質の高い表現を提示できるように技術を磨いていくよりも、もっと楽な近道があります。
それは、巨大な経済資本を持って大規模な企画を継続的に開催していくことです。

確かに、資本や社会に対抗するようなムーブメントは、現代芸術における代表的な潮流の一つです。
しかし一方で、芸術というものは世界中にいる人々の大多数にとっては無用なもので、生活や精神が豊かな一部の人々だけに共有されているただの道楽に過ぎません。

芸術は、確かに言葉では伝えきれないメッセージを届けられる素晴らしい手段だと言えます。
しかし、芸術は腹や喉も満たさないし、一時の不幸・退屈凌ぎにしかならないようなものでもあります。
芸術が抱えているこのような「限界」を知らずに、無邪気に表現を振り回す行為は、ほとんど暴力に近しいものだと言えるのではないでしょうか。

アーティスト当事者として、「芸術」をこのように考えるのは大切なことだと思っています。

自分が一生懸命に思考と時間を割いて取り組んでいることも、世の中から見れば大して価値のあるものではありません。
そういった客観的な価値判断を抜きにして、「自分がやっている表現は素晴らしいものだ!」と盲信して活動するアーティストは危険です。
言うまでもなく、ここで言う「アーティスト」とは私と領域を同じくする「コンテンポラリーダンサー」をはじめ、現代芸術をやっている人々のことを指しています。

しかし、現代芸術の本分とは、現代において「いつの間にか埋もれてしまった価値観」や「未だ発掘されていない価値観」を世の中に提示することにあります。

「現代芸術の本分は未だない価値観を広めることにある」が、「現代芸術に興味を持つ人はほとんどいない」。
アーティストは、自身の活動を世に広く知らしめるために、この矛盾を打ち破らなければなりません。

そこで、自身の活動を広めるために確実な方法として、冒頭に挙げたのが「巨大な経済資本を持って大規模な企画を継続的に開催していく」という手段です。
レベルの高いパフォーマンスや制作ができたとしても、それが直接的に認知度や人気へと繋がることはありません。

認知度や人気に直結させるためには、技術とは別の方面の能力を働かせる必要があるのです。


マーケティング

ここまで前置き。

最近、マーケティングの勉強をしています。

つい先日ですが、アーツカウンシル東京のスタートアップ助成から事業の採択を受け、100万円の助成を受けてコンテンポラリーダンスの公演を開催できることになりました。9〜12月にかけて月1開催・計4回公演を行なうため、現在すでに制作期間に突入しています。

また、自身の標榜する「舞道」というダンスの概念を周知させるために、単独公演やメディア制作等の準備を進めています。
そこに最近知り合った友人が「その活動、登記してやろうよ」と誘ってくれて、予想外に法人化して活動していく目処が立ちました。登記は元々予定してましたが、予定の5年くらい繰り上がってます。

そういったイベントを経て、将来的に必要になりそうだと予感したのがマーケティングの勉強を始めた動機です。
経済学も法学もそうだけど、今まで知らなかった社会の仕組みを学ぶっていうのは本当に楽しいと感じますね。
専門家ダンサーではなく、様々な領域に精通したダンサーとして活躍するために、こういう知的好奇心はいつまでも大切にしたいなと改めて思います。


私はコンテンポラリーダンサーとして身を立てていくと決めたときに、誰かのディレクションの元でパフォーマンスしていくだけのダンサー像に対して、会社従業員のような息苦しさを感じてしまいました。
そこで、自身でディレクションとパフォーマンスを両立していくことを目指し、2018年より現在まで活動を続けてきました。

昨年の10月から、毎月最低2回はイベント出演の機会をいただけるようになり、ダンサーとして露出機会が得られるようになりました。
また、同時期に企画制作やイベントデザイン等のディレクション業も実践できるようになっており、徐々に自分のステージが変化してきているのを感じています。

日本文化を土台とした舞踊表現を国内外に発信できるアーティストになりたい。
原研哉氏と平田オリザ氏の両名が私のロールモデルです。

これからも頑張ります。

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