はじめに ーどうして料理を教わるのか編
昨年の暮れ、青森に郷土料理を食べにいく機会があった。青森の郷土料理には「津軽伝承料理」と言われる由緒正しいレシピがあって、津軽地方のお母さんたちが「アカツキの会」を結成し、グループで継承しているもの。私は、そこで伝承料理を教わりながら自分たちでも「風丸食堂」というも開いている若手の女性2人にご馳走になった。
那須のズンダ和え、胡瓜とミョウガと餅米の「すしこ」(和物の一種)、名物イカメンチ、そしてホッケの飯ずし(いいずし)。地元でとれる食材で、色合い、味わい、心のこもった丁寧なおもてなしを受けた。京都のように豊富な材料が手に入らない青森で、少しでも彩りを鮮やかに保とうとする、そして少しでも美味しく作ろうとする女性ならではの心の葛藤を想像し、勝手に愛おしさを感じた。
そしてその時、ふと考えた。
自分は母から料理を伝承してもらったと言えるだろうか?
伝承、つまり世代を越えて引き継がれていくもの。それを青森の女性はこう言っていた。
「案外、簡単なんですよ。書かれたレシピと、1回通しでつくること。それだけで再現できる。でも、レシピはきちんと書き留めないといけません」
料理が大好きで、いつも美味しい食卓を用意してくれている母親から、たとえその一部でも作り方を聞いておかないと、後悔しても仕切れない。そう思ったら、母にこう言ってた。
「お母さん、料理教えて!」
毎月教わって、季節ごとに違う食材も使いながら、ちゃんと私が作れるようになる。それは心から出てきた言葉だったように思う。それから、母と私の料理を伝承する取り組みが動き出した。
とはいえ、母は私のペース、つまり毎月きちんとは動いてくれない。体調も配慮しないといけないし、あまり急かしすぎると悪気はないのだが、ぷいっと「だったら面倒だから嫌だな」と言ったりもする。だから、とにかくつくるプロセスが楽しく、孫の存在も利用しながら、始めることにした。
1月のレシピ: みかんのジャム
1月のレシピ: みかんジャム
母は、私の息子 菊三が大好きだ。目に入れても痛くないとは、母と菊三のことを表しているのではと思うくらい。そして菊三に、毎回、季節の果物を使って色々なジャムを作るのだ。
イチゴ、キウイ、ブルーベリー、ルバーブ。どれも母が得意な手作りジャム。そこで初めてのレシピは、みかんジャムづくりにした。果物は季節のものに変えても、基本は同じ。知っておくと作れる幅がグッと広がる。
皮を剥いて半分に切り、さらに1/4くらいの大きさにする。
お鍋でジャムを入れる瓶を煮沸しておく。そうすると作ったジャムが長持ちする(2ヶ月はもつ)。
みかんをミキサーにかける。我が家のミキサーだと、2回に分けて砕いた。
お鍋に入れて、沸騰するまで強中火にかける。
沸騰したら、グラニュー糖をいれ、レモンを半分入れる。
灰汁をとりながら、20-30分弱火にかける。弱火は、鍋にギリギリ火が届かないくらい。
出来上がり!
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