語学学習はパターン認識
私が初めて英語に触れてから早30年近くが経過し、50近い第二外国語を無秩序に漁り始めてからも20年近く経とうとしています。この間、身に付いた言語も身につかなかった言語もそれぞれあったのですが、それらの経験を通して一つ結論としてはっきり言えることがあります。
それは
「言語の習得はパターン認識である」
ということです。
この結論はあくまでも私個人の経験に基づくものでしかありませんが、それなりに正しいのではないか、と思っています。
言語習得におけるパターン認識とは?
いきなりこんなことを言っても「何言ってんだコイツ(^ω^;)」と思う方が多いと思うので、説明してみようと思います。
日本で英語(に限らずその他外国語も)学習といえば、まず単語や文法を個々に学んでそれらを組み合わせて英語を理解したり発したり、という発想をするのが一般的かと思います。
私も以前はそう思っていたのですが、現在は全く逆だと思っています。つまり、「まず文脈や場面と内容があって、その中から種々の語彙や文構造などをパターンの認識を通して習得していく」ということです。
要するに、まず発言や文の意味が最初に来て、単語や文法は最後に来るということです。よく考えてみたら、伝えるべき内容がなければ言語があっても意味がないのだから当たり前といえば当たり前です。
どういうことかというと、「語彙や文法は大量のインプットを経由してパターンとして学習される」ということです。
簡単な例を出しましょう。以下の文を読んでみてください。
とある外国語(ここでは言語Aとします)の文と、その英語訳のセットを10個用意しました。(この記事の趣旨的には)言語Aの読み方はローマ字読みで構いません。
Estudyante ako. - I am a student.
Guro ako. - I am a teacher.
Doktor ako. - I am a doctor.
Pulis ako. - I am a police officer.
Abugado ako. - I am a lawyer.
Magsasaka ako. - I am a farmer.
Nars ako. - I am a nurse.
Mang-aawit ako. - I am a singer.
Mananayaw ako. - I am a dancer.
Tagapangasiwa ng opisina ako. - I am a manager.
はい、おそらく皆さんある文法法則を発見したと思います。私はこれらの文がどういう文法規則で成立しているか一切言及していないにも関わらず、です。そもそもこの言語が何語かすらおそらくほとんどの方は知らないかと思います。それでも既に皆さんはこの謎の言語Aで自分の職業を表現する方法を掴んだはずです。
これはかなり単純な例に過ぎませんが、文法規則の大半は直接的に規則を明示されるより、この手のパターンとして認識した方が習得が容易です。もちろん外国語の文法を全くのゼロから全部パターン認識で習得するというのは現実的ではありませんから、最初の本当に基本的なところは文法書などでざっと確認するのもありだと思います。
とはいえ、細かい文法規則をすみからすみまで暗記してからそれらの規則を厳密に適用しようという試みはかなりの確率で失敗するかと思われます。そもそも言語の文法には例外が数多くあり、それらの例外まで一個一個覚えて使いこなすというのは現実的ではありません。
また、語彙も基本的には同じです。使われている場面を山盛り見聞きすることで、どのような状況でどのような語が使われるのか徐々に覚えていきます。
また件の言語Aさんに登場してもらいましょう。
Negosyante ako.
Negosyante siya. - He/She is a businessperson.
さて、今回は1番に英訳がありません。しかし、先ほど挙げた10個の例文と次に続いている2番の例文と照らし合わせてみたらおそらく皆さん1番の意味も完全に理解できたと思います。
さらに、ここまで挙げた計12の例文を参照して、↓の英文を言語Aに訳すことまで出来ると思います。
He is a farmer.
She is a singer.
こんな感じで、何一つ文法説明をされないまま皆さんこの謎言語Aを結構理解してしまったはずです。
ちなみに、以前私が気まぐれでクロアチア語を数日間学習した時もChatGPTを使って似たような手法を使ったらメチャクチャ捗りました。
なお、上記の例文の羅列でピンときた方もいるかもしれませんが、文法説明は少な目にして大量の例文をブチ込んで規則を刷り込むというのは、ちょうど語学学習アプリのDuolingoがやっていることだったりします。
上級単語にも単語帳は不要
昨日↑のような動画を見ました。IELTSでBand 9.0を取るのに必須(らしい)単語が33個紹介されていましたが、28個くらいは既に知っているものでした。私はもう15年は英単語帳も英単語教材も何もやっていないのですが、普段から大量に英語のニュースや本、Web記事などを読み漁っているのでその中で勝手に覚えたのです。
IELTSで高得点取ろうと思ったら筆記と会話も高レベルでこなす必要があるため、日本語訳を覚えたところで使いこなせない単語ばかりではあまり意味がないと思われます。そういう意味でも実践の中でのインプットが不可欠でしょう。
なお、少し前にIELTSの模試を解いてみたところ、割といい感じの結果を出すことが出来ました。
実際にこのような方法で外国語を習得した方の例
さて、例が私だけでは心許ないので私よりレベルが高そうな方に登場してもらいます(積極的に虎の威を借っていくスタイル😂)。
↑の記事はYoutubeで語学学習界隈を徘徊しているとたまに見かける、Kazu LanguagesさんというYoutuberの方が出版された本についてのレビューなのですが、面白い部分があったので引用させていただきます。
「フレーズを蓄積してその中から文法法則を抽出し、答え合わせのために文法を勉強」
やったぜ、この記事に書いたのとほとんど同じようなやり方でめっちゃ上達してる人がいたぞ😂
というわけで、バチクソ虎の威を借って説得力をマシマシにしたところで本記事を終わりにしたいと思います🤣
余談: 謎の言語Aについて
途中で出てきた謎言語Aはフィリピンで使われているタガログ語です。何一つ実践せずに、この間古本屋の洋書コーナーで買った350ページくらいある立派な文法書↓で勉強しています(だめぢゃん🤣)。
日本語のタガログ語教材買おうとしたら大体の場合3千円以上はかかると思われますが、これは中古で400円くらいだったので超得しました😂 (英検1級の問題集も時々試してみたいと思うのですが、中古でも大体1000円以上します。結果として100円とか200円で投げ売りされてるIELTSの模試の方ばかり買ってしまうことに😂)
タガログ語は何か文法が独特だと聞いて関心を持っていたので、身につかなくても良いからとりあえず興味本位で読んでみます😂