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日記 昼寝の季節

 七月一日をもって田植えを完了した。二日頃から「半夏生」であるが、それまでに田植えを了う習わしだ。なんでも、これ以後に植えても収量が少ないという。だからそれを念頭に毎年奮闘する。今年も辛々なしおえた。
 森下さん曰く、むかし百姓は半夏生から昼寝を解禁したそうだ。田植えが済み、梅雨が明けかけ、気温が高まる時節であるから、道理にかなった慣習といえよう。そうしてこの頃、この辺では「田休み」という慰労の宴会を各村で催したという。
 ここ数日わたしは、田植えのために放ったらかした仕事に追われている。主には草刈りに奔走しつつ、夏野菜の世話に、ジャガイモやニンニクの収穫もした。

 あれこれと片づけるべき仕事が山積しているものの、田植えを終えられたことで気持ちにゆとりができる。仕事にのぞむ際にも、生き物たちを横目に見る余裕がある。
 いよいよ、昼に一旦ビールを飲み、ゆっくり昼寝ができる季節の到来だ。野辺ではキリギリスが先駆けて成虫となり、イナゴたちも続いている。ニック(鶏)の餌となる彼らを作業中に捕るのがたのしみな季節でもある。かかってきやがれ、夏。

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